『ゴースト・ライト』

カナダ・ケベック州で誕生した、日本でも大人気のサーカスカンパニー、マシーン・ドゥ・シルクが、世田谷パブリックシアタ―に初登場します。
マシーン・ドゥ・シルクは、世界各地で700回以上も上演されたカンパニーと同名作品『マシーン・ドゥ・シルク』で2018年に日本ツアーを行い、そのスリリングかつパワフルな超絶アクロバットや、コメディタッチのユーモアあふれるパフォーマンスで観客を魅了しました。

『ゴースト・ライト』は、マシーン・ドゥ・シルクの中でも人気のナンバー“ティーターボード（シーソー）”のスペシャリストで、サーカスアーティストの登竜門と言われる『Festival Mondial du Cirque de Demain』で金賞を受賞した、マキシム・ロレンとユーゴ・ダリオによってうまれたデュオ作品です。

飛行の陶酔感、無重力の軽やかさ、避けられない落下の運命……
息をのむような見事な技の数々と、言葉を超えて心に響くストーリーを兼ね備えた魅力的なアクロバットステージをお楽しみください。

西元まり（ライター・サーカス研究者）

コンセプトに基づいてサーカス技を流れるように演出し作品にする「現代サーカス（コンテンポラリーサーカス）」は、今や、ダンスや演劇、ミュージカル、オリンピック開閉幕式などにも取り入れられ、私たちが目にする機会も多い。シルク・ドゥ・ソレイユの本社があるカナダ・ケベック州は、フランスやオーストラリアと並んで、1980年初頭から現代サーカスの作品を数多く世界に発信してきた。ケベック州モントリオールやケベックシティには世界有数のサーカス学校があり、さらには、子どもたちがプールやダンス教室に通うような感覚でサーカスを学べるプログラムもたくさんある。こうした環境でケベック州では多才なアーティストが育成され、プロとなって自分たちのカンパニーを次々と創設している。

さて、そんなケベック州から大注目の現代サーカスカンパニー「マシーン・ドゥ・シルク」が6年ぶりに日本にやってくる。彼らが初来日した2018年、カンパニー名と同じ名の『マシーン・ドゥ・シルク』というショーを見て、私は心底、仰天した。「ティーターボード」と呼ばれる、まるで空を飛ぶかのような高さまでアクロバティックに跳躍するシーソー芸をはじめとして、絶妙なコンビネーションがあってこその、計算され尽くした美しく無駄のない動き。抱腹絶倒のタオルダンスは、彼らの代名詞ともいえるほど有名な演目となった。こんなにカッコよくて技術も演出も最先端で、しかも笑いのセンスまで抜群な彼らって、いったい何者？　これは絶対、現地で取材しなくちゃ!!　2023年夏、ケベックシティにある彼らのスタジオを訪ねた。
そこは、1896年設立の古いサン=シャルル・デ・リモワルー教会。この歴史ある教会を改修してサーカススタジオに変えている。私が訪ねた時もまだ工事中で、その中で彼らは作品づくりに励んでいた。創設者のひとりで芸術監督のヴァンサン・デュベが、迷路のようにつながるたくさんの部屋を隅々まで案内しながら、進行中のプロジェクトを説明してくれた。2013年設立の彼らが2020年にようやく手に入れた自分たちのホーム。それを自分たちでこれから大きくしていくんだという、まさにビジョンがいっぱい詰まった場所。彼らの揺籃期を目の当たりにした思いだった。

『ゴースト・ライト』は2020年10月、フランスのオーシュで開催された有名なサーカスフェスティバルで世界初上演された作品だ。しかし、covid-19でツアー中止を余儀なくされた。ヴァンサンは言う。
「中止になったプロジェクトが３つほどあったのだけれど、その代わりに僕らはここで作品を集中してつくることができて、とても創造的で活動的な、特別な時間を過ごした。2018年の日本ツアーでの体験は、みんなとてもよかったと言っていて、また日本で次の上演が決まったらなって話していたんだ」
こうしてようやく実現した6年ぶりの来日。原題の副題「落下と飛翔の間」にあるように、サーカスの特性である空中空間を、ティーターボードによって最大限に活かし、たったふたりで物語を紡いでいく。ある時は軽やかに回りながら宙を跳んだかと思えば、ある時は緊張感溢れる関係性をバランスによって描き出す。そのふたつの身体には、限りない力が内に秘められていて、それらが光と影を動かしていく。目の前で繰り広げられるマジカルなその世界を、ぜひ全身で感じてみてほしい。

アートファームとは、さまざまな芸術が生まれ、育ち、花が咲き、実がなる場所です。演劇、ダンス、音楽、サーカス、落語に、ファッション、現代美術などのパフォーマンスやワークショップをとおして、多くのアートと触れ合うことができる場です。さまざまな人が集まり、子どもと大人の垣根なく楽しむことができる様々な催しを開催いたします。劇場のサマーシーズンが、まさにアートで満たされた「農園」になるのです。

世田谷パブリックシアター芸術監督　白井晃

マシーン・ドゥ・シルク『ゴースト・ライト』公演の関連企画として、公演に出演するアクロバットのスペシャリスト、マキシム・ロレンとギヨーム・ラルーシュによるサーカスワークショップを開催します。

こども向けアクロバット入門と、クリエイションの発展を目的としたパフォーマー向けワークショップの2プログラムを展開。

ワークショップ詳細ページよりお申込みいただけます。みなさまのご参加をお待ちしております。

サーカス創作ワークショップ詳細

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▼インタビュー　ほか
7/12(金)産経新聞 朝刊　マキシム・ロレン　ギヨーム・ラルーシュ　インタビュー

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【公式チケットリセール「チケトレ」について】
『ゴースト・ライト』では、ご購入者様ご本人の来場が難しく公演チケットを譲りたい場合、また公演チケットを入手したい場合に公式チケットトレードリセール「チケトレ」をご利用いただくことが可能です。
チケットの出品・購入をご希望のお客様は https://tiketore.com/ からご確認ください。