『ワークショップ論 ― 演劇ワークショップの力』
Vol.1「ワークショップ概説―理論と広がり」
2009年12月13日(日) 16時〜18時
高尾 隆
(東京学芸大学芸術・スポーツ科学系音楽・演劇講座演劇分野特任准教授)
《概 要》
ワークショップ論シリーズの1回目は、ワークショップとは何かを明確に定義するのではなく、
受講生も参加してワークショップという概念をめぐる問題意識をあぶり出し、論点を整理した
見取り図を共有するものだった。結果として、プラグマティズムに端を発して実践と理論の
往復を目指してきた歴史的経緯と、もっぱらコミュニケーションと結びつけて語られる今日の
ワークショップへの関心とその背景にある社会状況、2つの切り口からワークショップを考える
内容となった。
ワークショップを思考の対象として主題化する営み自体が海外では例を見ないというが、
ならばワークショップの手法を取り入れてワークショップを考察するという行為も、かなり
珍しいものだろう。今回はそれが講座という場でレクチャー形式で行われたが、ではワーク
ショップについてのレクチャーを文字で記録することができるか?という逆説はどこまで
解消できているだろうか。読み手の判断を仰ぐばかりである。
記録:中村美帆(東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究専攻博士課程)
はじめに
この講義はワークショップ論シリーズの第1回になる。第1回だけでワークショップが
分かるわけがない(笑)。シリーズが終わるときになって、何か分かるかもしれないし
それでも分からないかもしれないが、まずはワークショップの問題が浮かび上がるように
するのが、今日の趣旨である。
そもそも、ワークショップについてレクチャーをする行為自体、非常に逆説的である。
せっかくワークショップのことを考えるので、ワークショップ的なやり方を取り入れて
いきたい。だから今日はみなさんの考えや疑問を聞きながらオーダーメイドで講義を
作っていきたい。
1.アイスブレイク:3枚のカードのワーク
1−1 ワークの進行
《ワークの進行の記録》
赤青緑の3種類のカードを参加者にそれぞれ1枚ずつ配布する。
赤:私とワークショップの関わり
ワークショップと自分の関わりの自己紹介を記入
青:ワークショップのイメージ
ワークショップのイメージ、あるいは私が考えるワークショップの定義など
緑:ワークショップについての疑問
普段接しているワークショップを少し離れたところから改めて考えてみる
例:「ワークショップは何故このようなやり方になっているんだろう?」