概要

撮影:細野晋司

 

アイルランドの劇作家ショーン・オケイシーによる歌あり、笑いあり、涙ありの賑やかな“反戦悲喜劇”『The Silver Tassie 銀杯』。
第一次世界大戦から第二次世界大戦へと変遷する激動の時代の中で、オケイシーが鳴らした警鐘は、この混迷の現代にどんな音色で響くのか!?

90年前に発表された骨太でスケール感のある本作を、日本演劇界を代表する演出家の一人・森新太郎と、出演・中山優馬の初顔合わせにより本邦初演で上演いたします。

 

<物語>

第一次世界大戦中のアイルランド、ダブリン。銀杯(優勝カップ)を抱え、輝かしい将来を嘱望された一人のフットボール選手ハリー・ヒーガンは歓喜にわく人々の輪の中にいた。だがその後、戦地へと向かい、彼の人生は一変してしまう―――。

希望に満ちた人生を選択できるはずだった一人の青年ハリー・ヒーガン(中山優馬)が、「戦争」の犠牲になっていく過程を描く反戦ドラマ。青春期特有の切ない恋愛ドラマも織り込まれながら、戦場での究極状態とダブリンでのありふれた日常の中における些細な笑いの要素もふんだんに散りばめられています。さらに20曲以上の歌にも彩られた作品構成は、不思議な魅力とパワーを持ち、演劇的醍醐味に満ち溢れたスケール感のある作品です。


<作品について>

1928年、『The Silver Tassie 銀杯』は、アイルランド国民劇場協会を設立しノーベル文学賞受賞者としても知られるウイリアム・バトラー・イェイツにより、ダブリンのアベイ劇場での上演を拒否されました。そのため本作の初演は、翌年1929年10月のロンドン・ウエストエンド、アポロ劇場で行われ、母国アイルランドでの上演は、6年後の1935年8月、まで待たねばなりませんでした。初演から現在に至るこの一世紀に近い歳月の中、本作の上演機会は決して多くはありませんでしたが、近年ではロンドンのナショナルシアターで2014年に上演され、これを英各紙が絶賛し、本作が現代にも通じる普遍的な要素を備えた作品であることが、立証される形となりました。

祖国アイルランドでの初演が見送られたのは、「ダブリン市民の欺瞞・不寛容・残酷さ」を描いたことが、当時の愛国者たちにとって受け入れがたいものであったことは大きな理由と言えるでしょうが、この戯曲の構造自体が複雑で「混沌としている」ということも、大きな理由の一つであったと考えられます。しかし一方で、本作には、魅力的な会話・鋭い風刺・重量感のあるストーリー展開に加え、戦争の恐怖と無益さについての深淵なる提言があり、今こそ上演されるべき戯曲として、相応しい魅力を湛えています。


<森新太郎×世田谷パブリックシアター 強力タッグ第4弾>

2014年、森新太郎は30代にして、読売演劇大賞の大賞(グランプリ)・最優秀演出家賞・芸術選奨新人賞の受賞を『汚れた手』『エドワード二世』の演出で果たし、名実ともに日本演劇界を代表する演出家の一人と称され、次々と話題作を立ち上げ続けています。

当劇場の制作・主催公演では、世田谷パブリックシアターでの2012年『ハーベスト』でイギリスの養豚業に従事する一家の100年の物語を、14年『The Big Fellah ビッグ・フェラー』ではニューヨークを舞台にIRA(アイルランド共和軍)の30年間にわたる闘いをダイナミックかつ緻密な構成で舞台に立ち上げ話題を集めました。『ハーベスト』『ビッグ・フェラー』はともに、イギリスで活躍を続ける同時代作家リチャード・ビーンによる作品であり、いずれも市井の人々が政治や国策に翻弄される理不尽な状況を克明に描いた骨太な作品で、本邦初演の公演でもありました。また昨年のシアタートラムでの『管理人』では、ハロルド・ピンターの難解な不条理劇をエッジを効かせてテンポよく演出し、出演の温水洋一氏は本作で紀伊国屋演劇賞の個人賞を受賞するにいたりました。

今回の『The Silver Tassie 銀杯』はまず森からの提案で企画がスタートしましたが、今一度戦争の悲惨さと平和に尊さを再認識できる機会を提供してくれるのではないかという思いから、上演に踏み切ることになりました。またアイルランドにも留学(2013年・文化庁在外研修)し、アイルランド関連作品の演出も多く手掛けてきた森ならではの手腕が存分に発揮される作品になるのでは、という思いも込められています。

 森新太郎と世田谷パブリックシアターの強力タッグ第4弾として、“犠牲を容認する社会”に警鐘を鋭く鳴らす本作の本邦初演に、どうぞご期待ください。

公式ツイッターはこちら @ginpai2018sept

スタッフ/キャスト

【作】ショーン・オケイシー
【翻訳・訳詞】フジノサツコ
【演出】森新太郎
【美術】伊藤雅子 【照明】服部基 【音楽】国広和毅 【音響】高橋巖 【衣裳】西原梨恵
【ヘアメイク】鎌田直樹 【演出助手】石田恭子 【舞台監督】澁谷壽久
【出演】中山優馬 矢田悠祐 横田栄司 浦浜アリサ 安田聖愛 土屋佑壱

   麻田キョウヤ 岩渕敏司 今村洋一 チョウヨンホ 駒井健介 天野勝仁
   鈴木崇乃 吉田久美 野田久美子 石毛美帆 永石千尋 秋山みり

   山本亨 青山勝 長野里美 三田和代

小林110

中山優馬

貫地谷110

矢田悠祐

小田110

横田栄司

 

 

 

 

 

 

崎山110

浦浜アリサ

藤田110

安田聖愛

古川110

土屋佑壱

 

 

 

 

 

 

佐野110

山本亨

佐野110

青山勝

佐野110

長野里美

佐野110

三田和代

 

 

 

 

 

 

佐野110

麻田キョウヤ

佐野110

岩渕敏司

佐野110

今村洋一

 

 

 

 

 

 

佐野110

チョウヨンホ

佐野110

駒井健介

佐野110

天野勝仁

 

 

 

 

 

 

佐野110

鈴木崇乃

佐野110

吉田久美

佐野110

野田久美子

 

 

 

 

 

 

佐野110

石毛美帆

佐野110

永石千尋

佐野110

秋山みり

当日券情報

1.電話予約
当日朝10:00~開演の2時間前まで世田谷パブリックシアターチケットセンター(電話03-5432-1515 )にて承ります。

2.窓口販売
開演の60分前より、世田谷パブリックシアター入口の当日券受付 にて販売します。

※前売券は残席がある限り、前日までご予約を承ります。
・世田谷パブリックシアターチケットセンター
公演日前日19:00まで、店頭&電話03-5432-1515にて受付
・世田谷パブリックシアターオンラインチケット
公演日前日23:30まで受付
詳細は各公演日当日の10:00以降に、世田谷パブリックシアターチケットセンター(03-5432-1515)までお問い合わせください。

初日コメント

日本演劇界を代表する演出家の一人・森新太郎と、個性豊かな俳優陣による
本邦初演『The Silver Tassie 銀杯』が、11月9日(金)、ついに開幕いたしました!
多彩な出演者による初日コメントをお届けいたします。

 

◆中山優馬さん[ハリー・ヒーガン役]

客席から笑い声も聞こえて、素敵な初日を迎えられました。お芝居と観客の皆さんの持つエネルギーがぶつかるのが分かり、もっと強大な力が必要だと思いました。また、想像していた以上に壮大な作品が舞台に立ちあがり、森さんの演出のすごさを感じています。ハリーという役を通して、実際の戦場より、当たり前だった何かを失って帰ってきてからの日常の方が、ずっと戦争だなと思いました。日本初演のこの作品を今、ここで観ることはとても価値あることですし、受け継がれていくべき舞台だと思います。戦争や宗教など難しいと感じるような要素もありますが、役者の皆さんもスタッフの皆さんも素晴らしいので気負いせず観ていただきたいです。

◆矢田悠祐さん[バーニー・バグナル役]

長い稽古期間があったはずですが、毎日、森さんの演出の中で課題やできないことをクリアにしていくことに夢中であっという間に幕が開けました。僕が演じるバーニーは戦争を経て足が動かなくなったわけでも、視力を失ったわけでもない。勲章を貰い堂々と帰ってきて本当はうまくいっているはずですが、ある視点からは悪い人物に見えたり、でもそこが人間臭くもあります。ただ単に「かわいそう」という感想だけではなく、戦争という大きな出来事を経て変わっていく人達に対して「どう思います?」と投げかけているような作品だと思います。他愛のない会話での笑いや、泣くところもあり、見たことの無い世界が繰り広げられていると断言できます。ぜひ、楽しみにいらしてください。

◆横田栄司さん[テディ・フォーラン役]

初日にして完成度がかなり高い作品になっているんじゃないかなと思っています。森さんの稽古場は抜きんでて稽古量が多いので、これまでいろんな初日を迎えてきましたが、稽古の大事さを久しぶりに実感しています。稽古は裏切らないってよく昔から言われますけど、たくさん稽古するのって大事だなと、すごく贅沢な稽古を送れたと、今日初日を開けて実感しました。日本人にはあまり馴染みのない作品ですが、とっても現代的な作品ですし、若者たちはキラキラ輝いているし、おじさんおばさんたちはみんな面白く素敵です。絶対見逃しちゃいけない一本ですし、今年の演劇史上を彩る、華やかで骨太な良い作品に参加できて本当に幸せです。

◆浦浜アリサさん[スージー・モニカン役]

90年経った現代でも上演できる素晴らしい戯曲と森新太郎さんのあっと言わせる演出で、幕が開いた瞬間から五感でびっくりしていただけると思います。稽古中は不安ばかりでしたが、みなさんに感動していただけるという確信を持って初日を迎えることができて本当にうれしいです。看護師として戦場に向かい何千何万と亡くなった兵士達を見てきたスージーは成長をしますが、それは残酷でもあり、そんな時代に生まれたスージーのことをすごく悲しく思うし、現代には蒸し返したくない。人生には様々な壁がありますが人に対してだけはあきらめない時代になってほしいと改めて思いました。来て絶対後悔させないという確信を持っておりますので、ぜひ何度でも観に来てください!

◆長野里美さん[フォーラン夫人役]

私自身も経験がないほどいろいろ盛りだくさんなお芝居なので、お客様の反応が予想できず不安でしたが、幕間での拍手と、スタンディングオベーションまで起きたことで、喜んで頂けたんだなと安心しました。フォーラン夫人という人は、悲惨な状況にあっても、魂が全然穢されない強さを持っている人だなと思います。あんまり考えのいきわたらない人だとも思うんですけど(笑)、そこがいいのかなと。あと、性質が私と割と近い感じがするんです(笑)だから役を作るという感覚がなくお芝居が繋がっています。ずっと黄色い光がこの役を動かしているように演じたいと考えていたんですが、今日見てくださったお客様にもそれを感じて頂けたようで、私自身がフォーラン夫人にすごく入っているように感じました。

 

森新太郎さんインタビュー記事

演出・森新太郎さんのこれまでのインタビュー記事をご紹介いたします。
各リンクページよりご参照ください。
記事によっては、会員登録が必要となる場合がございます。あらかじめご了承ください。

・朝日新聞(https://www.asahi.com/articles/DA3S13760800.html?iref=com_footer

・毎日新聞(https://mainichi.jp/articles/20181025/dde/018/200/034000c

・ステージナタリー(https://natalie.mu/stage/pp/gimpai

・omoshii WEB(http://omoshii.com/interview/14442/

制作発表/コメント

2018年9月26日、『The Silver Tassie 銀杯』の制作発表を行いました。
演出を務める森新太郎さん、出演の中山優馬さん、矢田悠祐さん、横田栄司さん、浦浜アリサさん、安田聖愛さん、三田和代さんによるコメントとお写真をニュースページにてご紹介しています。ぜひご覧ください。

コメント掲載ニュースページはこちら

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演出家・翻訳家コメント

◆演出 森新太郎 コメント

第一次大戦中、約20万人のアイルランド人がイギリス兵として戦場に向かった。それは、イギリス帝国内でアイルランドが対等の立場を得るための、積極的な戦争協力であった。すぐにイギリス側が勝利するという楽観的な憶測は外れ、戦争は長期化、地獄のような塹壕戦を兵士たちは味わうことになる。そして大戦の終結から10年後、ショーン・オケイシーはこの戯曲を書いた。一種の反戦劇である。

その数年前から、ダブリンの下層民たちを描いた悲喜劇「ダブリン三部作」によって、彼の名はすでに世に知られていたが、それらは常に物議を醸していた。彼は笑いをふんだんにまぶしながらも、市井の人々のありのままを描写した。そこに描かれたダブリン市民の欺瞞・不寛容・残酷さは、当時の愛国者たちにとって受け入れがたいものだった。その為、時に上演は妨害され、暴動にまで発展したと言う。『The Silver Tassie 銀杯』に至っては、劇場側が上演自体を拒絶したため、初演はロンドンで行われた。本作品では、ダブリンにおけるありふれた日常と、戦場における極限状態とが対比的に描かれる。そのどちらにも等しく‘暴力’が存在するということを、オケイシーは人々に訴えたかった。

 ロンドンの初演から90年、おそらく今回が日本での初演となる。彼の鳴らした警鐘は、現在の我々にどう響くであろうか。他に類を見ない、この奇妙かつパワフルな反戦悲喜劇を、どうか劇場で目撃していただきたい。


◆翻訳・訳詞 フジノサツコ コメント

数年前に、この戯曲が上演されたビデオの一部を見る機会があり、以来、読んでみたいと思っていたのですが、邦訳が存在せず、自分で翻訳する以外に打つ手なしといった状況でした。ダブリン訛りあり、コックニー訛りあり、第一次世界大戦中に使用された軍独特のスラング、また聖書からの引用も一部あるため、古語やラテン語、そしてその引用が反語として使われている等、時間がかかりましたが、オケイシーの描く魅力的なキャラクターに支えられ何とか最後まで読み切ることが出来ました。

翻訳・訳詞については、本戯曲では、上述した以外に、韻文も多用されているため、それらが他の文体となじみつつも浮き上がって来るようなものになればと思っています。

ストーリーは、主人公ハリーを中心に、非常に起伏に富んでおり、それ以前にオケイシーが用いた家族を中心に描き出す手法とは一線を画す内容です。一見、青春物のように見え、そこには青年たちと、戦場に彼らを送り出す大人、国家、宗教といった、個と体制の相容れぬ現実が、厳しい目で描かれています。送り出すことに、誰もが後ろめたさを感じつつも、何故送り出してしまうのか。音楽が好きなオケイシーが劇の終わりに私たちに投げかけるものとは。観客に考える事を突きつける作品です。

メディア情報

▼レビュー
11/15(木)エントレ 公演レポート
11/15(木)演劇キック 公演レポート
11/14(水)エンタステージ 公演レポート
11/14(水)イープラス「SPICE」 公演レポート
11/8(木)ローチケ宣言! 稽古場レポート
11/5(月)げきぴあ 稽古場レポート

▼インタビュー
11/5(月)ミュージカル 中山優馬さんインタビュー
11/2(金)ステージナタリー 森新太郎さんインタビュー/矢田悠祐さん×横田栄司さん×土屋佑壱さんインタビュー/国広和毅さんインタビュー
10/30(火)読売新聞 森新太郎さんインタビュー
10/27(土)omoshii WEB 森新太郎さん×矢田悠祐さん×横田栄司さんインタビュー
10/25(木)毎日新聞 森新太郎さん×中山優馬さんインタビュー
10/22(月)明星 中山優馬さんインタビュー
10/17(水)awesome! vol.28  矢田悠祐さんインタビュー
9/27(木)STAGEnavi vol.25 中山優馬さんインタビュー
8/27(月)BEST STAGE 10月号 中山優馬さん×矢田悠祐さん×横田栄司さんインタビュー
8/27(月)STAGE SQUARE vol.34  中山優馬さん×横田栄司さん 撮影レポート

動画

舞台写真

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公演日程表

◎=ポストトークあり 
1月14日(水)14:00 登壇予定:森新太郎(演出) 中山優馬・横田栄司・矢田悠祐 
11月20日(火)14:00 登場予定:矢田悠祐・土屋佑壱・麻田キョウヤ・今村洋一・天野勝仁
11月22日(木)18:30 登壇予定:森新太郎(演出) 中山優馬・横田栄司  野村萬斎(芸術監督)
※開催回のチケットをお持ちの方がご参加いただけます。
■=視覚障害者のための舞台説明会
要事前申込・無料。11/18(日)13時の開演前に、舞台装置や衣裳など視覚に頼らなければわかりづらい場面をご説明いたします。本公演のチケットをお持ちの方が対象。 
お問合せ・お申込み:03-5432-1526