概要
ノーベル文学賞受賞作家ピンターの三人芝居に
大胆かつ緻密な演出で名を馳せる森新太郎が挑む!
ガラクタを拾い集める男と、ガラクタを処分したい男と、
ガラクタ同様に拾われてきた男による
狂気とユーモアの“ピンター・ワールド”、ここに開幕!
世界の演劇界に多大な影響を及ぼしたノーベル文学賞受賞の鬼才ハロルド・ピンター。その代表作『管理人』に、日本演劇界の最前線で活躍する演出家の一人、森新太郎が挑みます。
この三人芝居に名を連ねるのは、青年ミック役の溝端淳平(=ガラクタを処分したい男)、その兄アストン役の忍成修吾(=ガラクタを拾い集める男)、宿無し老人デーヴィス役の温水洋一(=ガラクタ同様に拾われてきた男)。それぞれに異なる個性を持つ、森いわく「完璧」な顔合わせで、絶妙にアンバランスなトライアングルをつくります。
切れ味鋭い新訳、エッジの効いた森新太郎の演出、そして男優3名の異色のアンサンブルにより、小劇場シアタートラムに濃密な空間が展開されます。20世紀の「不条理劇」を現代へとアップデートする果敢な取り組みに、どうぞご期待ください。
演出・森新太郎 コメント
舞台の出来事はロンドン西部にある小さな一室で起こります。
戯曲冒頭のト書きによれば、その部屋は大量の廃品=ガラクタで溢れかえっており、今日の日本で言うところのいわゆる“ゴミ屋敷”です。
登場人物は三人。この部屋にガラクタを拾い集めてくる男と、この部屋からガラクタを処分したい男と、この部屋へガラクタ同様に拾われてきた男です。彼らが何者でどんな人生を送ってきたのか、ピンターは何一つはっきりとは提示してくれません。全てが曖昧。
ただひとつ確かなことがあるとすれば、それは彼らがこの部屋において、常にある種の緊張状態に置かれているということでしょうか。そこでは、自分の居場所を巡っての駆け引きや闘争が、延々と容赦なく繰り広げられます。「アホらしい!」と笑えてしまうくらいに。
そんな滑稽なせめぎ合いの様は、我々が生きている現代社会そのものかもしれません――。
徐賀世子さんによる切れ味のいい新訳のもと、ユーモアと臨場感に満ちたピンター劇をお届けできたらと思います。
どうぞお楽しみに。
『管理人』 “The Caretaker” について
ノーベル文学賞受賞のイギリスの劇作家ハロルド・ピンターが1959年に発表。英ナショナル・シアター調査の「20世紀の英語戯曲」で9位にランクインするなど、ピンターの代表作として名高い作品。登場人物は、職を失くしたホームレス寸前の老人と、とある兄弟の3人だけ。三者の間で虚実皮膜のような会話が展開されていく、ユーモラスで摩訶不思議な作品。
ストーリー
舞台はロンドン西部にある家の一室。
住み込みで働いていたレストランを首になったデーヴィス(温水洋一)は、偶然知り合ったアストン(忍成修吾)に自分の家に来ないかと誘われ、これ幸いとついていく。だが翌朝、いきなり現れたアストンの弟ミック(溝端淳平)に不審者扱いされ激しく責め立てられる。デーヴィスの前に交互に現れる、切れ者のミックと無口で謎めいたアストン。彼らはそれぞれ、この家の「管理人」にならないかとデーヴィスに提案してくるのだが――。
【受賞】
第五十二回 紀伊國屋演劇賞 個人賞(温水洋一)
第45回伊藤熹朔賞 本賞(香坂奈奈・美術)
宣伝美術:小松清一 宣伝写真:細野晋司
スタッフ/キャスト
【作】ハロルド・ピンター 【翻訳】徐賀世子
【演出】森新太郎
【美術】 香坂奈奈 【照明】 大迫浩二 【音響】 高橋巖
【衣裳】 西原梨恵 【アクション】渥美 博 【ヘアメイク】 柴崎尚子
【演出助手】 五戸真理枝 【舞台監督】 瀬﨑将孝
【出演】溝端淳平 忍成修吾 温水洋一
演出家・出演者コメント
『管理人』11/26に開幕いたしました!
ピンター作品に初めて挑む気鋭の演出家 森新太郎さん、ガラクタを処分したい男ミック役の溝端淳平さん、ガラクタを拾い集める男アストン役の忍成修吾さん、ガラクタ同様に拾われてきた男デーヴィス役の温水洋一さんの初日を迎えた心境、また作品・ご自身の役の魅力について語ったコメントをお届けいたします。
▼森新太郎さん [演出]
初日を迎えて、改めてピンターは人間の愛というものを描きたかった作家なのではという気がしています。稽古中、字面だけではわからなかった役の関係性が俳優を通して立ち上がってきて、それがあまりに切なくて、こんなに哀しいのかと感じました。1960年ロンドン初演の作品ですが、さすがにピンターだけあって普遍的な人間の痛みを描いていて、いつの時代にやっても突き刺さる人には突き刺さる作品。のめり込んでしまう人は兄弟やデーヴィスの過去、この先のことなど、どんどん気になって引き込まれて、抜け出せなくなるのでは。
出演者3人は完璧な顔合わせです。温水さんは飄々としながらもまわりに意識をビシッと張り巡らせ、忍成くんは圧倒的な集中力で彼の世界をつくり、溝端くんは華があり、そこからとてつもなく深い闇を垣間見せてくれて、僕が想像した以上にそれぞれ見事に役を膨らませてくれました。
僕は気分が塞がっている時にこの作品を読んだら面白く感じたのですが、同じくちょっと気分が塞がっていたり、人生に行き詰っているかもと思う人に観てもらえたら「人間ってこうなのかもな」と、救われた気持ちになるかもしれません。人生にどん詰まっている方にこそ、ぜひぜひ観ていただきたい舞台です。
▼溝端淳平さん [ミック役]
抱えてきたものをお客さんに観てもらえる初日はワクワクして楽しかったです。ピンター作品は一筋縄ではいかないとは覚悟していましたが、森さんの飽くなき探究心や何かを掘り出そうという執着心に魅せられて、稽古を積み重ねてきて、培ってきたものを出すことができました。答えを提示するのではなく、お客さんの想像力をかき立てる、如何様にでも解釈できるところがこの作品の魅力で、僕も演じていて毎日発見があります。ミックは「異物」だと思っているのですが、異物として舞台に出る感覚、支配している感覚というのは、演じていてとても楽しいものだと思いました。
▼忍成修吾さん [アストン役]
僕が演じるアストンだけでなく、ミックもデーヴィスも、この戯曲自体が本当に面白くて、全部繋がっているように思うんです。でも「これってもしかして……」という発見を、あえてみんなで共有しないで、それぞれがこっそり持っている。森さんの策略なんだと思います。森さんはギリギリの高さの階段を一段ずつ用意してくれて、ようやく登れたと思っても更に上に階段がある。考え方によっては苦しいですけど、食らいついていけばだんだんハイになって楽しくなってきます。そして今いる所から最初の自分を見下ろすと、凄く高くまで登っていることに気付くんです。これからも森さんの演出を信じていきたいと思います。
▼温水洋一さん [デーヴィス役]
2年ぶりの舞台なのですが、これは相当手強いぞ、と。初日が終わった今の気持ちは、これまでの作品で感じたことのある初日の解放感とかではなくて、ふわふわしているというか、こんな感覚になったのは初めてかもしれないです。お客さんがひとつの部屋を覗き見しているようなお芝居で、デーヴィスは出番もセリフも多いのですが、でも大変さは三人とも同じ。森さんとも話して、「無様」が似合う奴を演じようと最初から決めていましたが、もっともっと無様でも良い。そんな無様で憎たらしいデーヴィスを演じることも楽しみたいですね。
当日券情報
1.電話予約
当日朝10:00~開演の2時間前まで世田谷パブリックシアターチケットセンター(電話03-5432-1515 )にて承ります。
2.窓口販売
開演の1時間前より、シアタートラムロビーの当日券受付にて販売します。
※前売券は残席がある限り、前日までご予約を承ります。
・世田谷パブリックシアターチケットセンター
公演日前日19:00まで、店頭&電話03-5432-1515にて受付
・世田谷パブリックシアターオンラインチケット
公演日前日23:30まで受付
詳細は各公演日当日の10:00以降に、世田谷パブリックシアターチケットセンター(03-5432-1515)までお問い合わせください。
ツアー情報
★兵庫公演
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
12/26(火)18:30 ・ 27日(水)11:00/16:00
メディア情報
『管理人』放送のお知らせ
3/5(月)0:00~(4日の深夜)のNHK‐BSプレミアム「プレミアムステージ」にて、放送が決定しました。詳細はこちら
※放送日時が変更になる場合があります
▼劇評
12/12(火)毎日新聞 演劇回顧2017年
12/11(月)朝日新聞-「国問わず通じる「弱い者叩き」」
12/8(金)日本経済新聞―「現代に生きる者の寄る辺なさ」
12/7(木)公明新聞―「近来にない、挑戦的な舞台」
12/2(土)産経新聞―「寄る辺ない現代映す不条理劇」
11/30(木)毎日新聞夕刊―「リアルな息づかい」
▼公演記事・インタビュー
12/27(水)ステージスクエア 溝端淳平インタビュー
11/28(火)週刊朝日12月8日号 温水洋一インタビュー
11/22(水) 毎日新聞夕刊 温水洋一インタビュー
11/22(水)The Japan Times 溝端淳平インタビュー
11/19(日)9:55~日本テレビ「誰だって波瀾爆笑」溝端淳平出演(MC)
11/16(木)朝日新聞夕刊 森新太郎×溝端淳平インタビュー
10/4(水)TOKYO HEADLINE vol.700 溝端淳平×忍成修吾×温水洋一 インタビュー
11/7(火)CREA12月号 公演紹介
11/3(金・祝)19:00~日本テレビ「沸騰ワード10」溝端淳平ゲスト出演
11/2(木)ぴあ+演劇11月号 森新太郎 表紙 & 巻頭インタビュー
10/5(木)8:30~11:00 TBSラジオ「伊集院光とらじおと」 温水洋一さんゲスト出演
10/4(水)fabulous stage vol.04 溝端淳平×忍成修吾 インタビュー
9/12(火)+act 溝端淳平インタビュー
8/29(火)チケットぴあ/YAHOO! JAPANニュース
森新太郎×溝端淳平×忍成修吾×温水洋一 インタビュー
8/24(木)イープラス SPICE 溝端淳平インタビュー
●せたがやアーツプレス11号 溝端淳平 インタビュー
動画
舞台写真
no images were found
公演日程表
◎=ポストトークあり(出演=森新太郎/溝端淳平 忍成修吾 温水洋一)※開催回のチケットをお持ちの方がご参加いただけます
■=視覚障害者のための舞台説明会あり(劇場まで要申込み・無料、本公演のチケットをお持ちの方対象)詳細はこちら
△=収録のため客席にカメラが入ります
『管理人』の戯曲には煙草を吸うシーンが出てきます。本公演でも戯曲の意図に沿い喫煙シーンを予定していますが、小道具として健康に害の無い物を使用いたします。お客様には予めご了承いただきたくご案内申し上げます。
観劇サポート
当劇場の観劇サポート・バリアフリーサービスについてはこちらよりご確認ください。