概要

日本留学で出会った新劇に魅せられ、芸術に情熱を注いだ田漢(でんかん)の半生を、
中国演劇界注目の演出家、田沁鑫(でん しんきん)が現代的な演出で描き出す!

世田谷パブリックシアターでは、開場以来、世界のトップアーティストたちの舞台作品の数々を招聘してまいりました。そして2018年10月、日中平和友好条約締結40周年を記念して日本に留学経験もあり、のちに中国国歌の作詞をはじめとした歌詞や映画、戯曲などを数多く残し、中国文化に多大な功績を遺した田漢の半生をドラマチックに描き出した『風をおこした男―田漢伝』(2001年中国国家話劇院制作北京大学百周年記念講堂で初演 原題「狂飆」)を中国でもトップレベルの舞台芸術大学、上海戯劇学院との共同主催で上演します。

作・演出を手掛けるのは中国で最も歴史が古く、レパートリーが豊富な劇場のひとつである中国国家話劇院に所属し、中国話劇(話劇:セリフと自然な身体動作を基礎とする演劇)の演出家として中国演劇界の国宝とも言われている田沁鑫です。彼女の出世作ともいわれる本作は、中国の話劇110周年にあたる昨年、2017年に16年ぶりに中国で再演されました。初演時の演出に大きく手が加えられ、8台のデジタルハイビジョンカメラを用いた現代的な映像演出は、そのビジュアルの新鮮さだけでなく、時空と空間を超え、観客もまるでドキュメンタリーのように田漢が過ごした歴史の中を行き交うような印象を与え、中国に新たな形式の演劇や文化を取り入れた彼の芸術への情熱を鮮明に描きだし、より高い評価を得ました。
また、田漢役を上海戯劇学院の卒業生でもあり中国の映画、テレビドラマで主演を重ねる金世佳(きん せいか)が演じるほか、明日の中国の演劇界を支えていく若き上海戯劇学院の学生たちが出演します。


<物語>

その生涯を今まさに閉じようとしている田漢の脳裏に、人生で出逢った女性たちの姿が次々と浮かび上がってきた。若き日の田漢は飽くことなく愛を追い求め、狂ったように演劇活動に命を燃やした。激動の時代に、彼は魯迅が軽蔑した四角関係にのめりこみ、世間のタブーなどには目もくれず、偽善の仮面を遠慮なく剥ぎ取った。中国の「演劇魂」と呼ばれた田漢は、どのようにして「ロマンチシズム」の虜になっていったのか? 芝居が人生なのか、はたまた彼の人生が芝居なのか? 田漢は、己の欲するまま、まるで気がふれたかのように演劇に取り憑かれ、その生涯を風のように走りぬけていくのであった。本作は芸術によって祖国を滅亡から救おうと、その生涯を捧げた一人の芸術家の凄烈な生き様の物語である。

 

<田漢(でんかん)について>

1898年中国湖南省出身。 1968年70歳で没。劇作家、詩人。1916年には日本に留学し、東京高等師範学校(現・筑波大学)英文科に学んだ、1922年に帰国。妻の易漱瑜とともに雑誌『南国月刊』を創刊、戯曲(劇文学)を発表する。その後も戯曲を発表し続け、中国話劇の代表的劇作家の一人となる。1935年の映画〈風雲児女〉の主題歌として『義勇軍行進曲』を作詞したが、1966年からの文化大革命で、多くの知識人、文化人とともに批判、投獄され、1968年12月、獄中でその生涯を閉じた。1979年、北京で田漢の名誉を回復する追悼大会が盛大に執り行われた。中国話劇三大創始者の一人と称される。

スタッフ/キャスト

【作・演出】田沁鑫(でん しんきん)

小野寺修二

田沁鑫

中国の話劇(セリフと自然な身体動作を基礎とする演劇)の演出家として
中国演劇界の国宝的存在と言われ、中国演劇界に不動の地位を築く。
代表作『四世同堂』(2010年)、『青蛇』(13年)、『北京源寺』(15年)は
数々の賞を受賞し、「興行収入記録を次々と塗り替える作品の担い手」として、
今まさに脚光をあびる話題の演出家。また、ドイツのシャウビューネ劇場や、
ロシアのワフタンゴフ劇場なども参加をした演劇祭「鳥鎮戯劇節」の2017年度芸術督を務めるなど活動の幅を広げ、本作で日本初登場を果たす。

 

 

 

 

 

【出演】金世佳(きん せいか) ほか

金世佳

金世佳

1986年上海生まれ。上海戯劇学院演技科卒業。
2009年に日本へ留学、大阪芸術大学大学院修了。
2008年、TVドラマ「がんばれテニス王子<原題:「加油!网球王子」(中国版
「テニスの王子様」)>にてデビュー。近年では主演の時代冒険ドラマ「美人製造」(2014年)で湖南電視台“青春日曜劇場”番組の最高視聴率を記録。同年、主演映画「一本のスプーン(原題:「一个勺子」)」が第51回台湾映画金馬賞最優秀映画にノミネートされる。映画、TVドラマに多数出演しているほか、2017年『風をおこした男─田漢伝』(原題:「狂飆」)に田漢役で出演し高い評価を得ている。

当日券情報

1.電話予約
当日朝10:00~開演の2時間前まで世田谷パブリックシアターチケットセンター(電話03-5432-1515 )にて承ります。

2.窓口販売
開演の1時間前より、劇場入口の当日券受付にて販売します。

※前売券は残席がある限り、前日までご予約を承ります。
・世田谷パブリックシアターチケットセンター
公演日前日19:00まで、店頭&電話03-5432-1515にて受付
・世田谷パブリックシアターオンラインチケット
公演日前日23:30まで受付

詳細は各公演日当日の10:00以降に、世田谷パブリックシアターチケットセンター(03-5432-1515)までお問い合わせください。

合同取材会フォトレポート(2018年9月5日)

043 三名

向かって左から、金世佳さん・黄昌勇さん・田沁鑫さん

 

 9/5(水)、早稲田大学構内で開催されるシンポジウムに合わせて、当公演の合同取材会が行われ、作演出・田沁鑫さん、主演・金世佳さん、上海戯劇学院学長・黄昌勇さんら関係者が来日されました。

 

040 田さん

 

 

質疑応答では、モチーフとして田漢を取り上げるにあたり意識したポイント、ドキュメンタリー的に映像を使った演出の意図や、中国における話劇の位置づけについてなど、興味深いやりとりが交わされました。

 

033 金さん

 

金世佳さんは、自らが演じる田漢のキャラクターについて、その誠実さに強い魅力を感じると述べました。また、金さん自身も留日経験のある田漢と同じく、学生時代に日本で演劇を学んでいたという経緯から、田沁鑫さんに促され、日本語のセリフを披露する場面もありました。

 

039 黄さん

 

黄昌勇さんは、中国を代表する演出家・田さんと上海戯劇学院の卒業生である金さん、そして現役の学生たちが共演するこの舞台に大きな期待を寄せている、と語りました。

同日、田さんによる劇場の下見も行われ、10月の公演に向け、最終調整が進んでおります。
公演は二日間のみと、大変限られた日数ではございますが、中国演劇界の最前線を走る『風をおこした男―田漢伝』の衝撃を、どうぞ劇場でご体験ください。

日本公演関連シンポジウム「田漢と文芸協会の時代」

『風をおこした男-田漢伝』の演出家と主演俳優、さらに上海戯劇学院学長、
田漢の姪が来日し、シンポジウムが開催されます。

   
   日時:9月5日(水) 14時~17時
   会場:早稲田大学文学部(戸山キャンパス)34号館453教室(東京都新宿区戸山1-24-1)
   受講料:無料(要予約)
   予約申込締め切り:8月29日(水)
   予約方法:ご希望の方は氏名、年齢、連絡先を明記の上、
   下記アドレス宛にメールをお送りください。
   Mail : denkansympo@gmail.com
   お問合せ:一般社団法人対外文化交流協会 Tel 03-6802-6266
   詳細はこちら

 

主催:一般社団法人対外文化交流協会 共催:早稲田大学文学部

※当シンポジウムは外部団体主催の催しとなりますので、劇場窓口・チケットセンターではお問い合わせ・ご予約共にお受付できません。あらかじめ、ご了承ください。

メディア掲載

動画

公演日程表

◎=ポストトーク ※開催回のチケットをお持ちの方のみご参加いただけます。

※中国語上演・日本語字幕〈舞台両サイド(上手・下手)の舞台に近い壁に縦書きで表示します。〉