概要
戦火に引き裂かれた家族、人間の尊厳とは!?
2014 年度の各演劇賞を受賞した衝撃作、再び。
『炎 アンサンディ』は、レバノンでの内戦を経験し、亡命を果たした作者ならではの視点から、祖国の内戦を背景に、自らの家族のルーツを解き明かしていくというサスペンスフルな衝撃作です。『灼熱の魂』(邦題)というタイトルで映画化もされ、アカデミー外国語映画賞にもノミネートの他、各国際映画賞にも輝いた折り紙つきの戯曲です。
世田谷パブリックシアターは、2014年にこの重く残酷でありながら深い愛に満ちた物語を上村聡史演出で上演しました。戯曲そのものの上質さはもちろんのこと、戯曲の本質を丁寧に掬いあげる上村の手腕、そしてキャスト陣の好演が相まって、その年の各演劇賞を受賞するなど絶賛を博しました。
再演も全員同じスタッフとキャストで挑みます。麻実れいが10代から60代までの女性の生涯を一人で演じ、その他の出演者が一人で複数の役に扮するのも大きな見どころの一つです。
初演には無かった演出も加わり、“さらに大きく豊穣な作品”を目指します。
内戦の混乱の中でも貫き通された母子の壮絶な絆を、この作品でぜひ目の当たりにしてください。
初演をご覧になった方にも、見逃された方にも、忘れがたい観劇体験となるはずです。
【2017年度上演 受賞】
第42回菊田一夫演劇賞 大賞 麻実れい
(『炎 アンサンディ』のナワル、『8月の家族たち August: Osage County』のバイオレットの役の演技に対して)
【2014年度上演時 受賞歴】
第69回文化庁芸術祭賞 演劇部門 関東参加公演の部 大賞
受賞理由:スケール大きく現実の国際問題に斬り込んだ作品で秀逸である。過去と現在が行き来し、場所も中東とカナダが交錯する。中東出身でカナダに逃げた母(麻実れい)の遺言で、双子の姉弟は中東に渡り、母の軌跡を追う。内戦の過酷さがしっかり台詞劇として伝わり、作ワジディ・ムワワド、演出の上村聡史と役者陣を大いに評価する。
第22回読売演劇大賞 最優秀演出家賞 上村聡史
(『炎 アンサンディ』『ボビー・フィッシャーはパサデナに住んでいる』の演出)
第56回毎日芸術賞 第17回千田是也賞 上村聡史
(『炎 アンサンディ』『アルトナの幽閉者』『信じる機械』の演出)
第7回小田島雄志・翻訳戯曲賞 藤井慎太郎
【2014年度上演時劇評】
世田谷パブリックシアターの企画・制作による「炎 アンサンディ」は、本年度の優秀舞台のひとつとして回顧されるだろう。(中略)遺言に従って祖国に帰った姉弟は自らのルーツを探ることになる旅の果てに、衝撃的な家族の歴史の真実を知る……という展開が「オイディプス王」を連想させる。そういうスケールと格と品とを備えている人間の「運命」に関する悲劇で、この点が遠い中東と日本を結びつけている。麻実が切ってはめたような適役。その威厳と包容力は日本の俳優には珍しい。(大笹吉雄 朝日新聞 2014年10月2日夕刊)
内戦を背景に引き裂かれた家族の関係、そこに絡め取られ、あらゆるものを憎みながら、それでも赦すこと。中東の現実を思わせる悲劇から、こんなにも、いとおしい物語が生まれている。(高橋宏幸 日本経済新聞 2014年10月7日夕刊)
しばし言葉を失う舞台に出合うことは、年にそう何本もない。内戦を背景にした、ある家族を巡る物語は、衝撃的で残酷、そして愛に満ちている。(中略)憎しみの連鎖は家族を引き裂き、運命を狂わせる。沈黙の果て、ナワルが残酷な運命に翻弄されながらも子供たちに残した愛の深さに打たれる。決して遠い国の物語ではない。(濱田元子 毎日新聞 2014年10月8日夕刊)
家族愛と、殺りく、暴力への嫌悪に引き裂かれた母の沈黙の向こう側、人として残された尊厳と母性の深さを体現する麻実が圧巻。カナダと中東を往復し時間も前後する戯曲の流れを、上村はシンプルな広い傾斜舞台で空間化した。少女時代のナワルが恋した若者など何役も演じ分ける岡本健一はもとより、ナワルの友人を演じる那須佐代子らの存在感も光る。戦乱の絶えない遠い国を舞台にした家族の悲劇を日本人が演じ、見ることの距離を最初は感じたが、いつか距離は消え、最後は胸が熱くなった。演出家の志、それに応えた俳優、スタッフに拍手を送りたい。(山内則史 読売新聞 2014年10月1日夕刊)
舞台写真撮影:細野晋司
スタッフ/キャスト
【作】 ワジディ・ムワワド
【翻訳】 藤井慎太郎
【演出】 上村聡史
【出演】
麻実れい 栗田桃子 小柳友
中村彰男 那須佐代子 中嶋しゅう 岡本健一
【衣裳】 半田悦子 【ヘアメイク】 川端富生 【アクション】 渥美 博 【映像】 猪爪尚紀
【演出助手】 的早孝起 【舞台監督】 大垣敏朗
ストーリー
中東系カナダ人女性ナワルは、ずっと世間に背を向けるようにして生きてきた。その態度は実の子供である双子の姉弟ジャンヌとシモンに対しても同様で、かたくなに心を閉ざしたまま何も語ろうとしなかった。そのナワルがある日突然この世を去った。彼女は公証人に、姉弟宛の二通の謎めいた手紙を遺していた。公証人は「姉にはあなたの父を、弟にはあなたがたが存在すら知らされていなかった兄を探し出して、その手紙を渡して欲しい、それがお母さんの願いだった」と告げる。その言葉に導かれ、初めて母の祖国の地を踏んだ姉弟は、封印されていた母の数奇な人生と家族の宿命に対峙することになる。その果てに姉弟が出会った父と兄の姿とは!
舞台写真
撮影:細野晋司
メディア情報
SETAGA YA ARTS PRESS Vol.9 上村聡史×麻実れい 対談(p3~p4)
6/1(木) 宝塚イズム 劇評
3/23(木) 東京中日スポーツ 劇評
3/12(月) ニュースソクラ 公演情報
3/6(水) 毎日新聞夕刊 劇評
3/6(月) すばる4月号 上村聡史インタビュー
3/2(木) シアターガイド 上村聡史×麻実れい×岡本健一 インタビュー
3/1(水) an・an No.2043号 公演情報(公演みどころ)
2/25(土) おとなスタイル 岡本健一 インタビュー
2/25(土) 産経新聞 岡本健一 インタビュー
2/21 (火) 読売新聞夕刊 上村聡史×麻実れい×岡本健一 インタビュー
2/15 (水) 毎日新聞夕刊 中嶋しゅう インタビュー
2/11 (土)、2/18(土) 6:00 – 9:00 『土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!』(TBSラジオ) ゲスト:麻実れい
2/10 (金)モシィ・マグ VOL.8 麻実れい インタビュー
1/27 (金) STAGE navi vol.12 麻実れい インタビュー
1/27 (金) STAGE SQUARE Extra’17 岡本健一×中嶋しゅう 対談
トラムシート発売
好評につきトラムシートを発売いたします。
トラムシートは座席ではなく、客席最後部の壁に備え付けられたバーに寄り掛かれる半お立見のスペースです。通常の座席とは異なりますので、ご了承のうえ、お求めください。
【トラムシート】
一般 6,000円
高校生以下 3,000円
U24 3,000円
発売日:2/26(日)10:00~
当日券情報
1.電話予約
当日朝10:00~開演の2時間前まで世田谷パブリックシアターチケットセンター(電話03-5432-1515 )にて承ります。
2.窓口販売
開演の45分前より、シアタートラムロビーの当日券受付にて販売します。
※前売券は残席がある限り、前日までご予約を承ります。
・世田谷パブリックシアターチケットセンター
公演日前日19:00まで、店頭&電話03-5432-1515にて受付
・世田谷パブリックシアターオンラインチケット
公演日前日23:30まで受付
詳細は各公演日当日の10:00以降に、世田谷パブリックシアターチケットセンター(03-5432-1515)までお問い合わせください。
ツアー情報
★兵庫公演
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
日時:2017/3/24(金)15:00、25(土)13:00
公演日程表
◎=終演後ポストトークあり 登壇者:麻実れい、岡本健一、栗田桃子
※開催回のチケットをお持ちの方がご参加いただけます
■=視覚障害者のための舞台説明会あり(劇場まで要申込み・無料、本公演のチケットをお持ちの方対象)詳細はこちら
▼=学生団体が入ります