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SePTのレクチャー(後期)2000年11月〜2001年3月

1.【創作の方法】「稽古場で作られるもの 松本修」

2.【ドラマティスト研究】「土方巽の世界」

3.【シアター・マネージメント講座V】「世田谷パブリックシアター A to Z」


"観客"として舞台をより楽しみたいと思っている方、"舞台づくりのプロ"になりたいと考えている方、あるいはすでに"プロ"で新しい創作のヒントがほしいと思っている方、こういった興味も経験もさまざまな人たちが集まって、舞台芸術についての新たな楽しみや知識を共有する場、それが<SePTのレクチャー>です。
このレクチャーには、たんに机に座って講師の話を聞くだけではない、さまざまな仕掛けが用意されています。
たとえば、世田谷パブリックシアターの上演作品をめぐって参加者同士が意見を交換したり、プロの作り手からものづくりの秘訣を受講者が聞き出したり、舞台作品やその創作の方法をめぐって、活発なやりとりが生まれるような場づくりが考えられています。 世田谷パブリックシアターが4年目を迎えた今年は、前期と後期に分けて6つのコースを開催します。
後期の3コースでは、世田谷パブリックシアターのアソシエイト・ディレクター松本修さんが、3月にシアタートラムで上演予定の『アメリカ』の公開稽古を交えながら、自らの作品について語る「創作の方法」、慶応義塾大学アート・センターの森下隆さんと舞踊研究家の國吉和子さんのコーディネートで、舞踏の創始者、土方巽の世界についてゲストを交えながら多角的に論じる「ドラマティスト研究」、世田谷パブリックシアターを中心としたホール・劇場の運営に関するセミナー「シアター・マネージメント講座」など、充実した企画が並びます。
すでに終了した前期の講座で、稽古場での実演を交えたレクチャーが大変好評だったため、後期も同じ形態で『創作の方法』を行うはこびとなりました。作品の創造過程に興味がある方におすすめです。
世田谷パブリックシアターの上演事業とともに、舞台芸術との新たな出会いの場であるSePTのレクチャーに、どうかご参加ください。


1.【創作の方法】「稽古場で作られるもの 松本修」
講師:松本修(演出家)
日程:12/19(火)、1/16(火)、2/20(火)、3/27(火)(全4回)
定員:40名
受講料:3,000円

説話的物語(ストーリー)とは別の演劇独自の「舞台上の物語」を作り出すことが演出の仕事です。題材とするテキストから、どう「身体の物語」と「空間の物語」を立ち上げていくか、重要なのはやはり稽古場での作業の中身です。慣習的な従来の稽古のやり方を疑い、検証するところから私の創作は始まりました。読み合わせ稽古というのは必要なのだろうか?劇作家の書いた台詞やト書きは絶対尊重すべきなのか?翻訳劇というものへの違和感・気恥ずかしさをどう考えればよいのか?演技の質が違う俳優たちが共演する時、その違いにどう対処すればよいのか?そういった考察と具体的な試みそのものが、その時々の私の表現方法となりました。これまでの作品の映像や演出資料、俳優の証言、新作「アメリカ」の稽古場見学などを通じて「自分で戯曲を書かない演出家の創作とは何か」を理解していただけたら幸いです。

*受講生は『アメリカ』(シアタートラム、3月)公演を割引料金にてご覧いただけます。

●松本修(まつもと・おさむ)
1955年生まれ。演出家。MODE主宰。世田谷パブリックシアター・アソシエイトディレクター。

終了しました。


2.【ドラマティスト研究】土方巽の世界
コーディネーター:森下隆×國吉和子(舞踊評論家)
日程:11/20(月)、12/11(月)、1/22(月)、2/26(月)、3/12(月)(全5回)
定員:40名
受講料:4,000円

舞踏は20世紀後半の日本で創造された舞台芸術です。海外でも高い評価を得て、舞踊史の一潮流として認められてはいるものの、未だに体系的に捉えられてはいません。
1960年代の破壊と反乱の時代、「反芸術」や「反権威」が叫ばれる時代に舞踏は誕生しました。創始者である土方巽は同時代の演劇・映画・美術・文学に大きな影響を与え、「アングラのプロモーター」としてディアギレフになぞらえられる舞踏家ですが、今や、というより生前から伝説の人でもありました。それだけに土方巽その人も謎めいて、彼が展開した暗黒舞踏は秘儀とも見られ、客観的な理解が及ばないまま、舞踏そのものが拡散し、ついには今日、収束しつつあるともいえます。
今回は伝説の枠を外し、土方巽の舞踏の成立の歴史や思想的背景、身体観や技法をとおして、舞踏の表現の本質を追及し、その身体表現としての革新性と画期性をともに考えたいと思います。講座では、舞台映像や写真、「舞踏譜」(協力:慶応義塾大学アート・センター、土方巽記念資料館)を使用し、ゲスト講師(数名)を交え、さまざまな方法で、土方巽の芸術の魅力にアプローチする予定です。

●森下隆(もりした・たかし)
1950年生まれ。1972年より土方巽の舞踏公演の制作に携わり、現在は土方巽記念資料館と土方巽アーカイヴ(慶応義塾大学アート・センター)の運営に従事。
●國吉和子(くによし・かずこ)
舞踊研究、舞踊評論。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、同大学文学部講師。論文に「暗黒舞踏再考」など。

終了しました。


3.【シアター・マネージメント講座V】「世田谷パブリックシアター A to Z」
講師:高萩宏(世田谷パブリックシアター・ゼネラルプロデューサー)
日程:11/15(水)、12/6(水)、1/10(水)、2/7(水)、3/7(水)(全5回)
定員:40名
受講料:5,000円

平成12年5月現在、全国の公立文化会館は2,031館を数え、まだまだ増え続けています。全国公立文化施設協議会(公文協)の調査によれば、全国のホールの平均的な稼働率は、56.4%です。東京圏という特殊な場所ではありますが、世田谷パブリックシアターの二つの劇場、パブリックシアター、シアタートラムは平成9年4月の開場以来、稼働率は90%を超え、年間14万ほどのお客様が二つの劇場にご来場になりました。本年秋には50万人目のお客様をお迎えします。
世田谷パブリックシアターについて、歴史的な経緯、劇場のハード、組織運営、プログラム、予算構成についてわかりやすく解説していきます。単に観客でいたりワークショップの参加者でいたりするのでは飽き足りなくなった人、劇場での仕事に興味のある人、私ならもっとうまく劇場を運営できると思っている人、地域の団体がどうして優先的に劇場施設を使用できないかと思っている人、とりあえず何でも興味のある人、を対象に世田谷パブリックシアターを素材にして、公共劇場の裏側に迫ります。
毎回、各分野の専門のスタッフを交えて劇場についての雑多な知識を、できるだけほかの地域、ほかの国の例なども交えながら話していきたいと思います。アーツマネージメントの初歩講座としてもご利用ください。

●高萩宏(たかはぎ・ひろし)
1953年生まれ。劇団夢の遊眠社、東京グローブ座を経て、現在世田谷パブリックシアター・ゼネラルプロデューサー。

終了しました。
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SePTのレクチャー(前期) 2000年6月〜10月

1.【創作の方法】「伊藤キムの場合」

2.【ドラマティスト研究】「20世紀の日本演劇(2)〜三島由紀夫・寺山修司・別役実・唐十郎〜」

3.【舞台芸術のクリティックW】「新しい演劇知を探して」


 “観客”として舞台をより楽しみたいと思っている方、“舞台づくりのプロ”になりたいと考えている方、あるいはすでに”プロ”で新しい創作のヒントがほしいと思っている方、こういった興味も経験もさまざまな人たちが集まって、舞台芸術についての新たな楽しみや知識を共有する場、それが<SePTのレクチャー>です。
 このレクチャーには、たんに机に座って講師の話を聞くだけではない、さまざまな仕掛けが用意されています。
 たとえば、世田谷パブリックシアターの上演作品をめぐって参加者同士が意見を交換したり、プロの作り手からものづくりの秘訣を受講者が聞き出したり、舞台作品やその創作の方法をめぐって、活発なやりとりが生まれるような場づくりが考えられています。
 世田谷パブリックシアターが4年目を迎える今年は、前期と後期に分けて6つのコースを開催する予定です。
 前期の3コースでは、いま日本でもっとも注目される振付家・舞踊家のひとり伊藤キムさんが、7月に行なわれる世田谷パブリックシアターでの公演の前後に、稽古場での実演を交えながら自らの作品について語る『創作の方法』、写真誌『デジャ=ヴュ・ビス』の編集長、八角聡仁さんが複数のジャンルを横断しながら、20世紀の日本演劇を代表する劇作家・演出家−三島・寺山・別役・唐−を論じる『ドラマティスト研究』、西堂行人さんの監修のもと、受講生みずからが文章を書き、発表なども行う実践的な批評のゼミナール『舞台芸術のクリティック』など充実した企画が並びます。
 また、『舞台芸術のクリティック』は今年から、再受講が可能になりました。継続的に演劇に参加する場として利用していただければ、と考えています。世田谷パブリックシアターの上演事業とともに、新たな舞台芸術との出会いの場であるSePTのレクチャーに、どうかご参加ください。


【創作の方法】「伊藤キムの場合」
講師:伊藤キム(舞踊家・振付家)
日程:6月9日、16日、7月21日(全3回)
定員:40名
受講料:2500円

  私の踊りの基礎は、土方巽を始祖とする「舞踏」です。「外からの借り物ではなく、自分にとっての本物の動き・形を見つけ、それを利用してダンスにする」のが彼の方法だと私は解釈しています。それには当然、ダンサー自身が「自分の内的世界を探る」作業が必要です。つまり、振付家によって用意されたものを習得するだけでなく、ダンサーが自身の力と感性を総動員しなければなりません。私のカンパニーでは、常に週2回、それぞれ4時間程度の稽古があり、そこが作品づくりの土台になっています。ストレッチや筋トレを含めた基本トレーニング、イメージや条件を設定したインプロヴィゼーションなど、あらゆる方法で体を問いつめ、踊りにしていく。この講座では、スタジオで実際の稽古を観て、作品づくりの現場に触れていただきます。そこでは、伊藤キムとダンサー達の感性のキャッチボールが行なわれているはずです。

1回目 即興の使い方「蝶の循環〜秋吉台バージョン」

2回目 「抱きしめたい」の現場

3回目 「生きたまま死んでいるヒトは死んだまま生きているのか?」など、作品の解説。

●伊藤キム(いとう・きむ)
1987年、舞踏家・古川あんずに師事。95年、「伊藤キム+輝く未来」を結成。作品では根源的なテーマとして「日常の中の非日常」を、風刺と独特のユーモアを交えて表現している。96年、バニョレ国際振付賞受賞。国内外での公演活動を行っている。


【ドラマティスト研究】「20世紀の日本演劇(2)
〜三島由紀夫・寺山修司・別役実・唐十郎〜」

講師:八角聡仁(批評家)
日程:6月12日(月),7月17日(月),8月21日(月),9月18日(月)、10月23日(月)(全5回)
定員:40名
受講料:4000円

 「20世紀の日本演劇」のシリーズを引き継ぐかたちで、今回はほぼ1960年代という時代に的を絞り、4人の代表的な劇作家、演出家を取り上げます。
 1960年代とは、明治以来の「近代化」の孕んでいた問題がさまざまな領域で一斉に噴出するとともに、日本の近代演劇が大きな転換を遂げた時代にほかなりません。そして、既成の「新劇」に代わる新たな現代演劇の創出を志向するその運動は、世界同時的に起こった文化や芸術の「変革」の波とも並行するものでした。そこで生じた歴史の断層を検証することは、今日の演劇を考える上でも喫緊の課題であると言ってもいいでしょう。
 果してどのような歴史的文脈から彼らの活動が生まれ、そこにどんな可能性と限界があったのか。それを、グローバルな政治・経済の動きや、同時代の文学、美術、映画、写真などとの連関も視野に入れながら、なるべく具体的に作品を読解することを通して捉えなおしてみたいと思います。

●八角聡仁(やすみ・あきひと)
1963年生まれ。批評家。京都造形芸術大学助教授。演劇論、映像論などの他、95年から99年まで写真誌『デジャ=ヴュ』及び『デジャ=ヴュ・ビス』編集長。


【舞台芸術のクリティックW】「新しい演劇知を探して」
講師:西堂行人(演劇評論家)
日程:6月30日(金),7月28日(金),8月17日(木),9月14日(木),10月19日(木),11月9日(木),12月21日(木),1月25日(木),2月22日(木),3月22日(木)(全10回)
定員:25名
受講料:8000円

 今年で4年目を迎える「舞台芸術のクリティック」は、演劇や舞踊など舞台芸術の批評を実践していく講座です。今年度はいくつか新基軸を加え、さらにパワーアップした講座にしたいと思います。
 この講座は二つの軸によって構成されます。一つは、個別のテーマをいとぐちにしながら、現代の舞台芸術を知るための理論を考察し、作家論、舞台芸術の歴史を探るもので、現代の新しい「演劇知」を研究します。
  二つ目は、隔月ペースで受講者に劇評や評論を書いてもらい、少人数に分かれて相互に論評し、批評を具体的に実践するものです。そして年度末には、長編批評作品を書き上げることを目標とします。
 この3年間の成果は、雑誌「PT」で「最優秀論文」として掲載されています。また受講生主導による「ステージカオス」という雑誌が刊行され、各論文が発表されています。2000年3月段階で2号刊行されました。
 受講対象は、演劇や舞踊に興味を持ちながら、これまで書くことに踏み切れなかった人、あるいは今後、批評を本格的に書こうとする意欲ある人で、できるだけ幅広い人を対象とします。学生や研究者、これから劇場の文芸部員を志望する者はもとより、演劇を生活のなかの豊かな楽しみ、知として活用したい人など、ぜひ参加してください。
 また今年度から、一度受講された方で再度受講したい方のために一定枠を設けました。
こちらは別枠で受付をいたしますので,第1期から第3期の受講生で参加ご希望の方は、お早めにその旨を明記してお申し込みください。
 演劇評論、舞踊評論の新しい書き手のための開かれた場を一緒に作りたいと思います。

●西堂行人(にしどう・こうじん)
1954年生まれ。演劇評論家。著書に『演劇思想の冒険』『小劇場は死滅したか』『ハイナー・ミュラーと世界演劇』他。大学などで日本や世界の「演劇史/論」を講じる。

開講時間:午後7時00分〜午後8時45分(すべてのコース共通)
場所:世田谷文化生活情報センター セミナールームA (レクチャーの内容によって会場を変更する場合がございます)
〒154−0004世田谷区太子堂4−1−1キャロットタワー5F
交通:東急新玉川線「三軒茶屋」下車 徒歩2分 東急世田谷線「三軒茶屋」下車すぐ 小田急・東急バス「三軒茶屋」下車すぐ

複数のコースを受講される場合は割引料金があります。
応募が定員をこえた場合は抽選となります。


お問合せ:世田谷パブリックシアター学芸係 TEL 03−5432−1525
  FAX 03−5432−1529

終了しました。

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