公演情報->「エレファント・バニッシュ」


世田谷パブリックシアター+コンプリシテ(ロンドン)共同制作
「エレファント・バニッシュ」
(村上春樹短編集『象の消滅』(英語版)より)


「エレファント・バニッシュ」チラシ
公演チラシ(宣伝美術:有山達也)

「エレファント・バニッシュ」舞台写真   「エレファント・バニッシュ」舞台写真その2
前回の舞台より 撮影:青木司
 

当劇場では、チケットレス・システムによるインターネット販売を実施しております。クレジットカードをお持ちのお客様は、ホームページ上でチケットをお買い求めいただけます。電話予約やチケットの事前受け取りが不要となる、新しい便利なサービスです。この機会に是非ご利用ください。詳しくはこちら

※なお、公演が近づき売り切れ公演がございます。ご希望の公演日が売り切れの場合は、くりっくチケットセンター 03-5432-1515(10:00〜18:00)までお問合せください。




6月26日、『エレファント・バニッシュ』開幕!
初日の舞台に続々と反響が寄せられています。



Photo by 青木司

「人」や「モノ」が
目まぐるしく動き、「意味」と「カタチ」を
変えていく様子は、初演より明らかに滑らかで
洗練されており、美しさを増していました。・・・・
「エレファント・バニッシュ」観客の視覚と脳をくすぐる、
他に例をみない作品でした。
 (Y.Fさん、28歳)

 夜、車から東京の街を見ては感じる、混沌として漠然としたやるせなさ。焦燥感。なのに傍からそれを見ている自分の目はとても冷静だ。やや難解な印象と共に遊び心と冷めた視点の共存した村上春樹が描く世界とマクバーニーの視線。「エレファントバニッシュ」を見てそれがどこかで繋がった。
 (M.Sさん、28歳)

 現代の「TOKYO」に住む人々の内にある心の闇を外国人の視点から描いてみせる。その視点が共感できるものであろうと受け入れ難いものであろうと、この試みを目撃することは私たち現代の日本人にとって意義深いことであると思います。もちろん、出演者たちのアクロバティックな身体表現も見ものです!
 (M.Mさん、22歳)

 初演と再演を見た上で感じたのは、1年間が経過した今でも、脈々と流れる茫洋とした現実感である。この世界は現実なのか、それともどこかで組み込まれた「現実らしいもの」なのか。録画ビデオ、ライブ映像、そして生身の役者から発せられる3次元のリアリティ。これらを通して、自分自身の存在に自信が持てなくなっていた。私が見ているものの境目はどこなのか。混乱している自分がいた。
 消えたのは巨象ではなく、現実に今、生きているという虚像なのである。
 (かつをさん、36歳)


 日々進化していくまさに現代の人間の舞台が観ることができて幸せだった。
 (T.Yさん、19歳)


 斬新な演出とセットに衝撃を受けました。今まで観ていた作品とはぜんぜん違い演出にはあらゆる可能性があるということを実感させてくれた作品です。オープニングもこんな始まり方があるんだと全てが驚きの連続でした。まるでジェットコースターに乗っているような気分であっという間の95分でした。
 (Yさん)


 村上春樹の世界が、見事に舞台化されていた。今まで本で読み、頭の中で想像してきた村上春樹の世界が、目の前にあるという不思議な体験。
 サイモン・マクバーニーが演出したことにより、日本の芝居とはかなり雰囲気の違う、異質な印象を受けた。もちろんそれは不快なのではなく、誤解を恐れずに書くと「奇妙」なのだ。そして素晴らしく格好良かった。(R.Oさん、22歳)

出演者の演技力だけで成り立つ演劇ではなく、画像、音響など様々な技術を通してそれぞれのスタッフが参加する、真のコラボレーションとしての演劇が、これほど見事な成果をあげた舞台を見たのは、私にとって初めての経験でした。
 (M.Kさん、48歳)

 「象」はいったいどこにいってしまったのだろうか。どうしてあの女性は幾日も眠ることができなかったのだろうか。解明されることのない、迷宮入りのミステリー小説を読んでしまったような感覚。そして、予想もしない手法で予想もしないことが展開していく。フライングする男は夜中に妻とハンバーガ屋を襲撃する。水のイメージと冷蔵庫のイメージが作品の無機質製をさらに際立たせていた。「象」の消滅はほんとうにバランスの問題だったのだろうか。それとも、いつのまにかなにかを消滅させてしまう、人間社会へのアイロニーなのか。
 (C.Kさん、26歳)

 そのほかのレポートはこちら>>




村上春樹の短編をモチーフに世界的に注目を集めた
サイモン・マクバーニーの話題作が待望の再演!!


 昨年夏、コンプリシテの演出家サイモン・マクバーニーと共に、世田谷パブリックシアターが世界に放った話題作『エレファント・バニッシュ』が、今年、再び世田谷パブリックシアターからワールド・ツアーに旅立ちます。
 6月26日(土)〜7月11日(日)の東京公演の後、ニューヨークのリンカーンフェスティバルに招聘され、さらにロンドン、パリほかでの公演が予定されています。大絶賛された昨夏のロンドン公演に続き、今年も同じ主催者(バービカン劇場)の招聘で、1ヶ月にわたる長期公演を行なうのは、日本発の舞台作品としては特筆すべき稀有なこと。視覚的のみならず、そこに描かれた物語が、言葉の壁を乗り越え、見事に伝わったことが実証されたと言えるでしょう。まさに世界的な注目を集めている作品といえます。今年は、さらに洗練されたスタイリッシュな舞台として『エレファント・バニッシュ』をお届けします。

 村上春樹×サイモン・マクバーニー=『エレファント・バニッシュ』

 サイモン・マクバーニーは、1998年の『ストリート・オブ・クロコダイル』来日公演をきっかけに、世田谷パブリックシアターで日本人俳優と断続的にワークショップを行なってきました。<日本文化を読み解く>というテーマの下、当初、谷崎潤一郎のテクストを中心に進めてきましたが、ワークショップを重ねるにつれ、マクバーニーのみならず日本人の俳優でさえも、自分が日本の歴史や文化について知らないことが多いという事実に直面することになったのです。そこで、過去とは分断されたかのように見える<現代>の日本を出発点に舞台をつくりたいという欲求が高まり、村上春樹の作品と出会うことになりました。
 欧米でも人気の高い村上春樹の作品は、国内でこそ<日本人離れしたポップな感覚>が漂う作品として受け取られていますが、マクバーニーは村上作品が、ユニバーサルでありながらも<非常に日本的>だと語っています。
 例えば、外国から来る人々は、東京が他の多くの大都市と同じ消費社会でありながらも、高精度に統制され、同時に、その中に小さな畳の空間を抱えている都市であることに当惑することがあると言います。マクバーニーは、西欧人が是と非、善と悪というアリストテレス的二元論で物事を判断するとすれば、一方、日本人は<世界を統一された、集合的なもの>としてみていると考えています。彼は、<不可解な出来事>と<現実>とが必然的につながる村上作品の中の<見なれた世界でもあるが、同時にまったく異質な世界>に、<現代>の日本を重ね合わせます。
 さらにマクバーニーは、「村上は根本的に見方が違っていても(あるいはそれゆえに)、すべての人を蝕む病について語っている」と、村上作品にあるテーマの普遍性を指摘します。
 村上春樹の作品に登場する人々は、非常に慌しくそして単調な日常を送っています。しかし彼らが外の世界に見せている自分は<仮面>にすぎず、それぞれが抱える<隠された主観的世界>と現実世界の歪みの中で、身動きがとれずにいるようにみえると、マクバーニーは考えています。こうしたことから生じる、現代の都市に生きる人々が根源的にかかえるこうした<疎外感>や<不安>を、村上作品は見事に掬い上げている点に、マクバーニーは強く惹かれました。この不安は、世界共通の感覚であることを感じ取ったからです。何の変哲もない日常的な都市生活のなかから飛び出してくる非日常。これらの出来事によって、現代の断絶された消費社会に住むということがどういうことなのかという問いに迫ったのが『エレファント・バニッシュ』です。

 目を離せない、日々、進化していく舞台

 サイモン・マクバーニーと日本人俳優のコラボレーションは、10週間もの長期にわたり、村上春樹の短篇「象の消滅」「パン屋再襲撃」「眠り」の3篇を触媒にして、昨年、『エレファント・バニッシュ』が誕生しました。
 物語はある日、突然、動物園の象舎から象が消えてしまうというシュールな現実を目の当たりにした主人公が、その不可思議な日常を綴った「象の消滅」。深夜、激しい空腹に耐えられずパン屋を襲撃するという行動に駆り立てられた新婚の夫婦を描いた「パン屋再襲撃」。17日間、一睡もできずに「アンナ・カレーニナ」を読み耽る歯科医の妻を描いた「眠り」。語り手の<僕>が遭遇する日常の中の<非日常性>を軸に、マクバーニーと俳優たちがテクストを一つ一つ掘り起こし、鍛え抜かれた俳優の身体を通して、村上ワールドを再現してゆきます。
 今回演出家の要求を満たした俳優たちは、一人芝居「ソロ・アクト・ライブ」シリーズでマイムや小道具を使ったパフォーマンスによる個性的な世界を築き上げている吹越満、そして遊◎機械/全自動シアター解散後、女優として新しい道を歩み始めた高泉淳子、ミュージカルからストレートプレイまで幅広くこなす宮本裕子、演劇集団「円」の期待の若手瑞木健太郎、ジャック・ルコック国際演劇学校で学び、パリでマイムを中心に活動を続ける望月康代、ワークショップ開始当初より作品創りに関わり続けてきた高田恵篤、演劇集団「円」の実力派で、常に新しい活動にチャレンジを続ける立石凉子の7人。いずれも「演劇」というジャンルを多角的にとらえた、個性的な活動を展開している俳優陣です。マクバーニー演出作品の魅力である視覚的な美しさ、ことに俳優の流麗な動きに、さらに、変幻自在な舞台空間を創りだすルパート・ボールの映像が加わった見事なコラボレーションは、演劇界はもちろん、映画、美術、文学とさまざまな分野の人々から大きな関心を集めました。
 「村上の想像力が生み出した世界を統一するテーマを見事に具現化してみせた」(The Guardian紙)
  と言わしめた本作品を、是非ご期待ください。

【出演者メッセージ】
吹越満・写真
  吹越満
再演をすると聞いて「お、そうか、それなら客席で観てみたいなぁ」と、一瞬思ったこともあったが、やはりねぇ。 客席にいる側でなくて良かった、と思える再演にしなければと思います。
高泉淳子・写真
  高泉淳子
98年に『ストリート・オブ・クロコダイル』を観た時の衝撃は忘れられない。2002年にロンドンでサイモンと出会い、03年にサイモンの舞台に上がった。これは私にとって大きな事件だった。そしてこの6月、サイモンとまた組むことになった。「さて、どうしたものか……」。逃げられない。仕方がない。2回やるという事は、すっかり事件の共犯者(コンプリシテ)だ。またまた大事件を企てるしかないですね。
宮本裕子・写真
  宮本裕子
どんな舞台でも初日を迎え千秋楽に至る迄、日々成長するもの。 でも『エレファント・バニッシュ』は違います。今も発育しています。
2003年3月、ロンドンにて稽古が始まった瞬間に生まれ出て、昨年の東京公演は、第一次成長期あたりでしょうか。ロンドン公演までには反抗期もありました。手に負えないものです。 今、稽古に入っていなくて、みんな、バラバラの生活をしていても、『エレファント・バニッシュ』は発育し続けています。 6月、カンパニーが東京に集合し稽古に入る頃には、ちょっぴり胸がふくらみ始めた第二次成長期かな。
東京公演の時は、思春期を迎えている頃だと思いますので、第二次反抗期だったら、どうしよう。
瑞木健太郎・写真
  瑞木健太郎
舞台を始めてから10年目、30才になる今年、このような舞台に参加できて、とても嬉しく思います。 『エレファント・バニッシュ』は私にとって、村上春樹さんの世界を自由に飛びまわり、自分自身の固定観念をねじる挑戦です。現在はまだ稽古に入っておりませんが、興奮と緊張に縛られず、みなさんと楽しみながら、頭と体を柔軟にして自分にしかできない『エレファント・バニッシュ』を創造していきたいと思っています。新しい『エレファント・バニッシュ』を楽しみにしていて下さい。
望月康代・写真
  望月康代
2003年7月。ロンドン、バービカンのホテルで『エレファント・バニッシュ』チームと別れて約半年。再びコンプリシテと仕事をする機会に恵まれました。ロサンジェルス・フィルハーモニー・オーケストラとパフォーマー8人による公演『Strange Poetry』。とどまることを知らないサイモンのあふれ出る創造のエネルギーに、改めて「この人たちって、やっぱりすごい」と感嘆。
さて2004年。あの危険と喜びに満ちた冒険が、もうすぐまた始まります。「再演といっても、僕の作品は決して同じということはない。もういろいろアイディアは考えてるんだ」と、演出家も片目をつぶって微笑んでいます。微笑みというよりは、不敵な笑いというべきか。動き、進化し続けるサイモン・マクバーニーの舞台。それに関わる私たちもとどまってはいられない。あのチームでの新しい挑戦を、今から楽しみにしています。
高田恵篤・写真
  高田恵篤
サイモンと続けた5年間のワークショップ。最初の4年は谷崎潤一郎の作品でワークショップを積み重ねていました。それが5年目に村上春樹になった。彼の中でどういう変化があったのかはよくわかりませんが、サイモンはじめ外国人スタッフは村上春樹が日本的であると言います。日本的ってどういうことか? 我々日本人にはよくわからない。外からの方が日本的、あるいは日本人的ってことを客観的に理解できるような気がします。
サイモンの独特な作品創りの作業の中で、役者としてこの作品にどう向かいあうか、どういう演じ方が必要であるか、演出家にのみ込まれないようにするにはどう関わっていくかは、再演する時の、自分にとっての一つのテーマであると思います。まぁ、いい役者が揃ってますし、一段とおもしろい作品をお見せできるのではと、自分自身も期待しています。

立石凉子・写真
  立石凉子
ちょうど一年前の今頃、ロンドンで稽古が始まりました。 10本以上の作品をかかえて、毎日毎日、モチーフを作っていくものの、これからどんなものができあがっていくのか、皆目見当がつきませんでした。
再演にあたって、土台はあるよネってところから始まるものの、またこの先どうなるか分からないというのが本音です。 あの贅沢でヘトヘトの時間をもてるのが、楽しみというか、よーし、またがんばらなきゃ…という気分です。
[演出] サイモン・マクバーニー
 
[出演] 吹越満 高泉淳子 宮本裕子/瑞木健太郎 望月康代/高田恵篤 立石凉子
 
[公演日程]
2004年6月 26日(土)17:00
27日(日)14:00
28日(月)休演
29日(火)19:00★
30日(水)19:00
2004年7月 1日(木)19:00★
2日(金)19:00
3日(土)14:00/19:00★
4日(日)14:00
5日(月)休演
6日(火)19:00
7日(水)14:00/19:00
8日(木)19:00
9日(金)19:00
10日(土)14:00/19:00
11日(日)14:00
★=終演後ポストトークあり
 
[料金] 全席指定
一般 A席6,500円/B席4,500円、ベンチシート6,000円
SePT倶楽部会員割引 <A席のみ>6,000円
世田谷区民割引 <A席のみ>6,300円
*未就学児童入場不可
 
[会場] 世田谷パブリックシアター
 
[前売開始] 2004年4月25日(日)
SePT倶楽部会員先行予約 2004年4月10日(土)〜
世田谷区民先行予約 2004年4月24日(土)
 
[チケット取扱]
くりっくチケットセンター 03-5432-1515
チケットぴあ 0570-02-9988・9999
Pコード専用 0570-02-9966(Pコード352-569)
イープラス http://eee.eplus.co.jp
ローソンチケット 0570-00-0403
CNプレイガイド 03-5802-9999
JTBエンタメチケットデスク 03-3865-5489
世田谷区民割引はくりっくチケットセンターにて前売りのみ取扱い
 
[託児サービス] 全公演あり(定員あり・要予約)
対象:生後6ヶ月以上9才未満(障害のあるお子さまについてはご相談ください)
料金:2,000円
お申し込み:世田谷パブリックシアター  03-5432-1530(10:00〜12:00)
※ご利用希望日の3日前までにお申し込み下さい。
 
[車椅子スペース] 専用の車椅子スペースをご用意しております。ご観劇前日までにお申し込みください。ご希望公演の該当エリアのチケット料金の10%割引でご購入いただけます。また、お付き添いの方1名様は無料となります。
お申し込み: くりっくチケットセンター  03-5432-1515
(10:00〜18:00/月曜不定休)
なお、お座席でご観劇になる場合も、お席までご案内させていただきますので、劇場(03-5432-1526)へ予めご連絡をお願いします。
 
[お問い合せ] 世田谷パブリックシアター
 
[主催] 世田谷パブリックシアター
 

TOP
 
back
 
home
  next