ワークショップ・レクチャー

『世界の同時代演劇』
SPT×ITI レクチャーシリーズ『世界の同時代演劇を知る!』

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『世界の同時代演劇を知る!』レクチャーシリーズとは。
第一線の作品創造から地域に向けた教育普及事業まで行う公共劇場―世田谷パブリックシアター(SPT)と、世界の演劇動向に最も詳しい国際演劇協会(ITI)の両者がタッグを組んだレクチャーシリーズ。「演劇と社会」「世界の同時代演劇」「演劇の海外交流」を三本柱に、同時代の演劇を知るレクチャーをさまざまな切り口から企画していきます。

「世界の同時代演劇」では、特定の国や地域を取り上げ、その演劇舞踊事情について、基礎的な知識から始めて最新の動向までを学びます。普段知る機会の少ない国を重点的に扱っていきます。レクチャーに参加して、さらに詳しい内容を学びたくなった方には、レクチャーとは違うインタラクティブな勉強会もご用意しています。

 
 
日程 2012年
(1)Vol.1 ルーマニア
●レクチャー 「ルーマニア語圏演劇の現在―民主革命とソ連解体後のルーマニアとモルドヴァから」 6月7日(木) 19時~21時
●勉強会 「ルーマニアの『演出家の時代』」
     6月16日(土) 14時~16時
●勉強会 「ロシア演劇とルーマニア演劇の折衷―モルドヴァ」
     6月20日(水) 19時~21時
講師:七字英輔(演劇評論家)

(2)Vol.2 ケベック(カナダ)
●レクチャー 「ケベック舞台芸術の現在―演劇・ダンス・サーカス」
     6月26日(火) 19時~21時
●勉強会 「ケベック舞台芸術―ナショナリズムと文化政策」
     7月4日(水) 19時~21時
講師:藤井慎太郎(早稲田大学教授)

(3)Vol.3 中東
●レクチャー 「中東演劇の現在―アラブ演劇とその背景」
     7月19日(木) 19時~21時
●勉強会 「東アラブ世界の演劇―レバノン、ラビア・ムルエを中心に」
     7月25日(水) 19時~21時 
●勉強会 「西アラブ世界の演劇―アルジェリア、カテブ・ヤシンを中心に」 8月2日(木) 19時~21時
講師:鵜戸聡(日本学術振興会特別研究員) 

※レクチャーのみ、勉強会のみの参加も可能です。
 
 
内容 (1)Vol.1 ルーマニア
●レクチャー
  1989年の「民主革命」でチャウセスク独裁体制が倒されるまで、ルーマニア演劇界は 西欧との交流が閉ざされ、西側からは「陸の孤島」と見なされてきました。しかし、69年 にアメリカに亡命し、かの地で花開いた演出家のアンドレイ・シェルバンが証明するよう に、当時から優れた俳優や演出家を擁する「演劇立国」でした。現在では、独自に発展 遂げたルーマニア演劇の面白さは人口に膾炙し、ヨーロッパでも有数のクライオーヴァ国 際シェイクスピア演劇祭、シビウ国際演劇祭の開催国として知られていますが、そこに至 るまでの道のりを具体的な例とともに辿ります。また、かつてはルーマニア領でありなが ら、第2次大戦後、ソ連に編入され、91年に独立した、日本とはより縁が深いモルドヴ ァ共和国の演劇についても触れたいと思っています。

●勉強会
初回は、ルーマニア演劇を扱います。俳優の強靭な身体性と同時にその俳優を自在に操るシルヴィウ・プルカレーテ、ミハイ・マニウチウ、ガーボル・トムパといった演出家のテキストへの解釈、造形性からくる演出の魅力こそが、ルーマニア演劇の魅力です。東欧各国の才能があつまるルーマニア演劇のその知的なテキストの読み込みについて考えます。
 二回目は、モルドヴァ演劇について勉強します。その中心となっているのは、日本へもたびたび来日公演をはたしているモルドヴァの国立劇場ウジェーヌ・イヨネスコ劇場です。創設者である俳優グループの面々は、モルドヴァ出身ルーマニア人でありながら、ソ連に組み入れられたためにモスクワの演劇大学を卒業しました。ロシア演劇とルーマニア演劇の中で精彩を放ってきたモルドヴァ演劇について考えます。

(2)Vol.2 ケベック(カナダ)
●レクチャー
 1980年代以降、世界的に知られることになったケベックの舞台芸術(演劇、ダンス、サーカス)について、代表的なアーティストを映像を用いながら紹介し、その大きな特徴を考えてみたいと思います。ロベール・ルパージュ(演劇)、ドゥニ・マルロー(演劇)、ワジディ・ムワワド(演劇)、エドワール・ロック(ダンス)、シルク・デュ・ソレイユ(サーカス)などを考えています(が、変わるかもしれません)。

●勉強会
そうしたケベックの舞台芸術の発展は、何もないところから生じたものでもありません。1960年代からケベックではカナダからの分離独立を目指すナショナリズム運動が高まりましたが、カナダにおけるフランス語圏としての文化政策の整備が同じ時期から進み、アーティストが育ち、活動するための環境がすでに存在していたことを見逃すことはできません。ナショナリズムと舞台芸術の関係について、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。

(3)Vol.3 中東
●レクチャー
 アラブ演劇の特徴とは何でしょうか? 観衆がまず気付くのはその政治性の高さでしょう。現代政治(あるいは戦争や占領)の文脈を抜きにしてアラブ演劇は語れません。さらに、女性が舞台に立つことを嫌う傾向や、アラビア語の言文不一致(話し言葉と書き言葉の乖離)など、アラブ世界に特有の社会的・言語的要素が演劇にも関わってきます。東京国際芸術祭の「中東シリーズ」など、日本でも上演された作品に触れつつ、その背景を多面的に論じてみるつもりです。

●勉強会
 アラブ諸国の演劇史を簡単に概観してから、具体的な作品を足がかりに議論しましょう。レバノン戦争を背景にした演劇・文学・映画や、ラビア・ムルエの挑発的なパフォーマンス、植民地時代のショー・ビジネスから独立後の民衆演劇に至るアルジェリアのパフォーミング・アーツなど、舞台からはみ出しがちな芸術について広く扱う予定です。  誰かを演じるよりも自分そのままを舞台に上げること、記録メディアによる表象のズレやイデオロギーの硬直を舞台にさらすこと、ただ歌をうたうこと… そういったことについて一緒に考えてみましょう。

※(1)は後日掲載予定。
 
 
場所 (1)~(3)世田谷文化生活情報センター セミナールーム(三軒茶屋駅前キャロットタワー5階)
 
 
講師 《プロフィール》
(1)Vol.1 ルーマニア
七字英輔(しちじえいすけ)
1946年大分県生まれ。東京都立西高校卒。月刊『ローリングストーン』日本版、季刊『is』(ポーラ文化研究所)の各編集長を経て、1980年代から演劇批評を執筆。90年代からはモルドヴァの劇団を招聘するなど東欧演劇との交流をもつ。著書に『演劇は越境する』(三一書房)。国際演劇協会(ITI/UNESCO)日本センター会員。現在、読売演劇大賞選考委員。

(2)Vol.2 ケベック(カナダ)
藤井慎太郎(ふじいしんたろう)
早稲田大学文学学術院教授(演劇学・文化政策学・フランス語圏文化論)。共編著に『演劇学のキーワーズ』(ぺりかん社、2005年)、共訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、2009年)、『演劇学の教科書』(国書刊行会、2009年)。

(3)Vol.3 中東
鵜戸 聡(うど さとし)
東京大学大学院総合文化研究科満期退学。博士(学術)。アルジェリアやレバノンなど、主にフランス語圏アラブ世界の文学や演劇、映画などを研究。共著に『アルジェリアを知るための62章』(明石書店)、『反響する文学』(風媒社)、共訳書に『時間はだれも待ってくれない: 21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集』(東京創元社)などがある。
 
 
参加費 レクチャー 各回1,000円
勉強会 (1)1,000円(全2回) (2)500円(全1回) (3)1000円(全2回)
※受講日に会場にてご精算いただきます。
 
 
募集人数 10~25名程度
※先着順に受付いたします。定員に達し次第、受付を終了いたしますので、あらかじめご了承ください。
 
 
申込み方法 以下申込みフォームか、または劇場(03-5432-1526)までお申込みください。
 
 
お問合せ 世田谷パブリックシアター学芸 03-5432-1526
 
 
備考 [主催] 公益財団法人せたがや文化財団/社団法人国際演劇協会日本センター
[企画]  世田谷パブリックシアター/社団法人国際演劇協会日本センター
[協賛]  アサヒビール株式会社/東レ株式会社
 
 
受付は終了致しました。
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