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ドラマ・リーディング15+シンポジウム
【フランス現代演劇特集 劇言語の力と可能性を求めて】
 

 
 
現代社会が大きな目標を失い、グローバリズムの波に漂うなか、フランスでは見失った生の手触りを求めて、劇作家たちが新たな劇言語を構築しようと試みてきました。<フランス現代演劇特集>では、フランスから劇作家を招き、ドラマ・リーディングやトーク、日本の劇作家とのシンポジウムなどさまざまなアプローチで、劇言語のもつ力やその可能性を探ります。

まずその第一弾は、ベルナール=マリ・コルテス特集です。1980年代以降のフランスで最も重要な劇作家コルテス。執拗なまでに他者を求め続け、戦いを挑むコルテスの劇言語は、フランス現代演劇のなかでも特別なポジションにあるといってもいいでしょう。今回は、彼の短編戯曲『森の直前の夜』を佐藤信の演出で斎藤晴彦が、モニ・グレコの演出でイヴ・フェリー(この戯曲はフェリーのために書き下ろされた)が、リーディングを行います。また、上演後にはコルテスの劇言語をめぐるシンポジウムを行います。

ベルナール=マリ・コルテス特集
 
11月27日(火)19時 『森の直前の夜』(日本語ヴァージョン)

翻訳: 佐伯隆幸
演出: 佐藤信   出演:斎藤晴彦
*佐伯隆幸氏によるアフタートークあり。
 
11月28日(水)19時 『森の直前の夜』(フランス語ヴァージョン)
演出: モニ・グレゴ
出演: イヴ・フェリー
 
●両日とも、開演の1時間前よりロビーにてコルテスのドキュメンタリービデオ(日本語字幕なし)を上映しています。
 
ベルナール=マリ・コルテスBernard-Marie Koltes
1948年生まれ。89年にエイズによって41歳の若さで亡くなる。ベケット、ブレヒト以降に趨勢となった「物語」の解体に抗して、特異な形で「物語」への回帰を果たそうとした彼の饒舌なエリクチュールは、現代社会における孤独、欲望、恐怖、愛憎を描き出す。主な作品に『綿畑の孤独のなかで』(87年)『ロベルト・ズッコ』(90年)等。
 
『森の直前の夜』la Nuit juste avant les forets(1977年)
夜、孤独でうらぶれた男が、雨の街中にたたずむ。そして見知らぬ相手(舞台には登場しない)に向かって、貧しさ、人生、闘い、夢、世界の連帯へのかすかな期待を、とぎれることなく語り続ける。社会の周辺に生きる者の孤独を壮絶に描いた、イヴ・フェリー氏のために書かれた作品。
 
 
 
第二弾は、アヴィニョン演劇祭などを通じて、劇作家の発掘を行ってきたテアトル・ウヴェールを中心とした特集です。ミシェル・ヴィナヴェール、フィリップ・ミンヤナ、エマニュエル・ダレルの戯曲を鐘下辰男、宮沢章夫、川村毅の各氏が演出するドラマ・リーディングをはじめとして、ウヴェールの活動の軌跡をたどるセミナー、作家本人を招いてのシンポジウムなどを行います。
 
フランス同時代作家特集
 
11月30日(金)19時 『アンヌ・マリ』
作: フィリップ・ミンヤナ
翻訳: 長島確、大磯仁志
演出: 宮沢章夫
出演: 手塚とおる、小田豊、宋ひさこ
 
フィリップ・ミンヤナPhilippe Mynyana
1946年生まれ。劇作家、俳優、演出家。79年以来、30本近くの作品を発表、ベケット、ヴィナヴェール等から顕著な影響を受けたミンヤナの作品は、終始一貫して人間関係に対する内的探索を試みるものである。テレビ・ラジオの作品も多く手掛ける。主な作品に『部屋』(86年)『目録』(88年)等。

『アンヌ・マリ』ANNE-MARIE (2000年)
20年前。フランス東部の村にある、広く住みにくそうな家。3世代が同居、全くといっていいほど愛情はなく、殺伐とした雰囲気。ドアの隙間から、ふたりの男(おそらく近所の者たち)が、家の中にいる年老いた女とその娘の様子を観察している・・・。ラジオ・ドラマのために書かれた、作者ミンヤナの独創的で鋭く、句読点のない、性急なエクリチュールが特徴的な作品。
 
 
12月1日(土)14時『地下室』
作: エマニュエル・ダルレ
翻訳: 石井惠
演出: 川村毅
出演: 小沢寿美恵(劇団昴)、新井純
笠木誠、登山規弘、友田憲宏(第三エロチカ)
 
エマニュエル・ダルレEmmanuel Darley
1963年生まれ。15年間に渡る書籍関係の仕事の後、まず小説、それから戯曲を書き始める。処女作『バディエ・グレゴワール』(98年)、『影』(2000年)は共にテアトル・ウヴェールより出版されている。99年より、学校などで劇作のワークショップを多く手掛ける。ダルレの繊細なエクリチュールは、人間の苦悩や理不尽さを軽いタッチで描き出す。
 
『地下室』Souterrains(2001年)
とあるマンション。夜。もの音に怯える男と女。隣の部屋を覗く男と女。長年の恨みつらみを言い続ける老姉妹、そして、昼間は身を隠し、夜に建物の中を徘徊する男・・・。同じ時間、同じ空間に存在する、3つの現実世界の中に、自分自身の盲目さ故に他人に対して心を開くことができない人々を描く。
 
 
12月2日(日)14時 『職さがし』
作: ミシェル・ヴィナヴェール
翻訳: 藤井慎太郎
演出: 鐘下辰男
出演: 南果歩、今井朋彦、他

ミシェル・ヴィナヴェール Michel Vinaver
1927年生まれ。劇作家、小説家、批評家。元フランス・ジレット社社長。現実を直接に描く「日常の演劇」の実験に取り組む。『職さがし』(71年)『労働と日々』(79年)など、実業界に取材した作品も多い。彼の作品は、かみ合わない断片的な対話から構成され、そこに表象される言説や思想の交錯によって劇的な構造が構築されていく。
 
『職さがし』La demande d'emploi(1971年)
ファージュは職を失い、ある企業の管理職のポストを得るために面接を受けている。その一方で、左翼かぶれの娘と、夫が安定した職を失ったことに耐えることができない妻と対立する。人間心理や時間経過が実験的に究極まで細分化され、時間軸そして空間軸が交差する中で、言葉が生みだされた瞬間の現実が明らかにされていく。
 
*参考資料
PT3号 戯曲『綿畑の孤独のなかで』(コルテス作)掲載
PT4号 関連記事「同時代劇作家との出会いを求めて-テアトル・ウヴェールの活動」
PT9号 特集:ヌーヴェル・フランス 戯曲『ロベルト・ズッコ』(コルテス作)掲載
 
 
 
シンポジウム&セミナー
シンポジウム
11月28日(水)20時30分(ドラマ・リーディング終演後)
『コルテスをめぐって』
パネラー: 佐伯隆幸、佐藤信、ルシアン・アトゥン、モニ・グレゴ、イヴ・フェリー
12月2日(日)17時 (ドラマ・リーディング終演後)
『劇言語の力と可能性を求めて』
パネラー: 宮沢章夫、鐘下辰男、川村毅、ミシュリーヌ・アトゥン、ルシアン・アトゥン、ミンヤナ、ダルレ、八角聡仁
 
セミナー
11月26日(月)19時
『フランス演劇の現在』
出演: パトリック・ドゥ・ヴォス
12月1日(土)19時
『テアトル・ウヴェールの活動について』
出演: ルシアン・アトゥン、ミシュリーヌ・アトゥン

テアトル・ウヴェール Theatre Ouvert
1971年、アヴィニヨン演劇祭に、「同時代の劇作家と観客が出会う場」として誕生。88年、創作のための国立演劇センター第1号となり、パリに本拠地を構える。劇作家を発掘し、彼らの作品を広く普及させることを目的とし、出版、リーディング、上演活動を精力的に行う。ディレクターのアトゥン夫妻は、今回初来日。テアトル・ウヴェールの活動について、具体的に話していただきます



[料金]
(全席自由・税込)
ドラマ・リーディング 各日1,000円
シンポジウム、セミナー 各日500円
全公演&シンポジウム&セミナー通し券 5,000円
 
[チケット取扱] くりっくチケットセンター 03‐5432‐1515
チケットぴあ 03‐5237‐9999
 
[前売開始] 2001年10月16日(火)
 
[会場] リーディング&シンポジウム=シアタートラム
セミナー=キャロットタワー5Fセミナールーム
 
[お問合せ] 世田谷パブリックシアター 03‐5432‐1526
 
[主催] フランス現代演劇の一年実行委員会
[後援・助成] フランス大使館文化部、AFAA
[助成] 笹川日仏財団
[協力] テオロス
[企画制作] 世田谷パブリックシアター
  

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