公演情報->シリーズ「レパートリーの創造I」「時の物置」


世田谷パブリックシアター・プロデュース企画
シリーズ「レパートリーの創造I」「時の物置」




江守徹・写真 有馬稲子・写真 辰巳琢郎・写真
江守徹
有馬稲子
辰巳
         
根岸季衣   雛形あきこ・写真    
根岸季衣
雛形あきこ

世田谷パブリックシアターでは今年、現代劇作家の作品を連続上演していく
新たな企画「レパートリーの創造」をスタートさせます。


 その第1弾としてご紹介する劇作家が、卓抜なストーリー展開、人物造形の面白さ、軽妙な台詞、今日的なテーマ設定などで定評があり、幅広い観客層に支持されている永井愛です。誰にとっても身近な世界を題材に、誰もが面白く楽しめる作品でありながらも、常に劇作家として「社会で生きる自分」を見る目を失わず、時に批評性をもった眼差しで時代をとらえるウェルメイド・プレイの書き手として、国内のみならず海外においても高い評価を得ています。
 世代を超えて多くの観客に愛される永井愛作品を連続上演することは、作品自体の魅力を再確認するだけでなく、劇作家の演劇に対するスタンスを明らかにし、さらには社会における演劇のあり方に新たな発見をもたらすことでしょう。
 2004年6月〜11月にかけて連続上演する代表作3本の先陣を切ってご紹介するのが、98年の再演時に読売演劇大賞優秀作品賞を受賞した『時の物置』です。この作品は「時代の変化を個人の生活の場から描く」彼女の、戦後生活史劇三部作の一作目として書き下ろされ、日常を生きる人々の群像劇として大きな反響を呼びました。東京下町の新庄家の茶の間を舞台に、昭和という激動の時代の転換期を市井の人々のまなざしから、淡々と描く秀作です。
 演出に、俳優・演出そして翻訳までこなす江守徹を配し、懐かしき昭和30年代を妹尾河童の美術で再現しながら、現代の私たちが忘れかけている日本人の心を描きます。

●あらすじ
 舞台は高度成長期を迎えた1961年、東京。安保反対闘争の余熱を残しつつ「所得倍増」のスローガンに後押しされ、「レジャーブーム」が叫ばれ「テレビ、電気洗濯機、冷蔵庫」の三種の神器が家事を飛躍的に進歩させつつあった夢のような時代。
 貧乏だが、士族出身で誇り高い「新庄家」には、まだテレビがない。
 ところが、納戸に下宿する謎の女・ツル子がテレビをもらってしまい、近所の面々が入り浸る始末。新庄家の主婦でもある、延ぶは気が気ではない。娘の詩子夫婦がツル子にテレビを贈ったのは何か下心があってのことなのだ。
 息子の光洋は中学教師の傍ら私小説を書いている。夢を捨てきれない青年のような志を持った光洋だがまだ認められてはいない。同人誌仲間の萩とは恋愛関係にあるが愛憎渦巻き微妙な状況になっている。
 孫の秀星は大学の自治会長に立候補、当選してしまい学内改革に燃えるが、結局セクトに足を引っ張られ挫折。その妹、高校生の日美は女優であったという母に会うために自身も女優になりたいという夢を持っている。
 家族と家族を取り巻く人々が舞台上で昭和30年代の東京が再現され、そこで実際に生を営んでいるがごとく、生き生きと描かれる。それぞれの想いや志、挫折や衝突などを通じて起こるさまざまな出来事が、戦後、劇的に変化する昭和という時代の歴史的エピソードと巧みに絡み合いながら描写される。
 やがて、ツル子は新庄家を黙って去り、茶の間にはTVが1台、変化の象徴のように置かれる。新しい時代の波が怒涛のように訪れ、人々の暮らしも考え方もその波にもまれ、新しい方向へと流される予兆を物語るように。
 ―人々の忘れられない「時」が新庄家の茶の間に刻まれてゆく―

●プロフィール

  ■永井愛(ながい・あい):作
桐朋学園大学短期大学部演劇専攻科卒業。1981年大石静とともに女性二人だけの劇団二兎社を旗揚げ。91年大石静退団後、二兎社代表となり、作・演出を手がける。94年〜96年にかけて手がけた『時の物置』『パパのデモクラシー』『僕の東京日記』は、時代の転換期を生活の場から描いた「戦後生活史劇三部作」として高い評価を得る。社会批評性のあるウェルメイド・プレイは、幅広い年齢層の観客に支持され、日本の現代演劇界を代表する劇作家の一人として海外でも注目を集めている。第1回鶴屋南北戯曲賞(97年)、芸術選奨文部大臣新人賞(97年)、岸田國士戯曲賞(99年)、第52回読売文学賞(シナリオ戯曲賞)(00年)、第1回朝日舞台芸術賞秋元松代賞(01年)など多数の賞を受賞。日本劇作家協会会長。

■江守徹(えもり・とおる):演出・出演
東京都出身。62年高校卒業後、文学座付属演劇研究所に入所。66年同座員となり、以来、俳優、演出家として活躍。『オセロー』で73年度紀伊國屋演劇賞個人賞、映画『社葬』で89年度日本アカデミー賞優秀助演男優賞、『ウェストサイドワルツ』『恋ぶみ屋一葉』の演出で、94年度読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞。『元禄太平記』『葵〜徳川三代〜』(NHK大河ドラマ)などテレビドラマにも出演。また自ら『似顔絵の人』などの劇作や、ジム・カートライトの『リトル・ヴォイス』や、ピーター・シェーファーの『アマデウス』など翻訳も手がける多彩なアーティスト。最近の主な舞台作品として、『コペンハーゲン』『ウィンザーの陽気な女房たち』(01年出演)『リトル・ヴォイス』(02年出演)『さぶ』(03年出演)『山ほととぎすほしいままに』『リチャード三世』(03年演出・出演)など。

■妹尾河童(せのお・かっぱ):美術
1930年生神戸生まれ。グラフィック・デザイナーを経て、54年独学で舞台美術家としてデビューする。以来、演劇、オペラ、ミュージカル、歌舞伎などの舞台美術、またテレビ美術など映像デザインの分野においても活躍する、現代日本を代表する舞台美術家。
紀伊國屋演劇賞、サントリー音楽賞、文化庁芸術祭優秀賞、読売演劇大賞ほか多数の賞を受賞。エッセイストとしても知られ、ユニークなイラストが入った「河童が覗いた」シリーズはなど、お馴染みの著書も多い。97年には初の小説『少年H』(上・下巻)を発表、ベストセラーになり、毎日出版文化賞・特別賞などを受賞。

●出演者プロフィール

■有馬稲子(ありま・いねこ):新庄延ぶ
宝塚歌劇団を経て、東宝、松竹などで日本映画の黄金期を支える女優として『東京暮色』『彼岸花』『わが愛』など、数多くの作品に出演。1954年岸恵子、久我美子と共に「にんじんくらぶ」を設立。独立プロとして『人間の条件』など映画製作にも活発に取り組む。63年、『浪花の恋の物語』で初舞台を踏む。以来、舞台活動にも積極的に取り組み、宇野重吉、木村光一演出作品に出演。81年初演の『はなれ瞽女おりん』は代表作として現在も600回を越える公演を重ねている。80年、紀伊國屋演劇賞受賞。89年芸術選奨文部大臣賞受賞、95年紫綬褒章授章、03年勲四等宝冠章叙勲。

■辰巳琢郎(たつみ・たくろう):新庄光洋
大阪市出身。京都大学在学中は関西一の人気劇団『そとばこまち』を主宰。84年卒業と同時にNHK朝の連続テレビ小説『ロマンス』で全国区デビュー。以来、知性・品格・遊び心と三拍子揃った俳優として、テレビ、舞台、映画だけでなく、クラシックコンサートの司会、海外旅行、晩餐会のプロデュース、また六本木男声合唱団ではテノール1を担当するなど様々なジャンルで活躍中。主な作品に舞台『草迷宮』、劇団新派『滝の白糸』、ひとり芝居『乗りおくれた 夜明けに』、『キャンディード』、映画『橋のない川』『手紙』、テレビ『 のくいしん坊!万才』(フジテレビ)、『浅見光彦シリーズ』(TBS)、『女神の恋』(NHK)。今春からの新・朝の連続テレビ小説『天花』に出演。

■雛形あきこ(ひながた・あきこ):月岡ツル子
東京都出身。1992年に『おべんきょう』(TBS)で女優としてデビュー。その後、グラビアで活躍、『聖者の行進』(TBS)『夜逃げや本舗』(NTV)『結婚の条件』(ANB)『最後の弁護人』(NTV)『恋する京都』(NHK)等、テレビドラマにも多数出演し、注目を浴びる。01年には映画『極道の妻たち〜地獄の道連れ』に出演。また『エデンの南』(02年)、『さぶ』『畳屋バラッド』(03年)、『ねずみ小僧危機一髪』(04年)など舞台にも積極的に取り組み、活動の幅を広げている。

■根岸季衣(ねぎし・としえ):萩富貴子
東京都出身。桐朋学園大学卒業後、1975年につかこうへい演出『ストリッパー物語』で初舞台を踏み、主役を務め脚光を浴びる。その後、舞台、テレビ、映画に数多く出演。際立った個性と存在感で知られる実力派女優として活躍中。最近の主な作品として、映画『命』『DRIVE』『さよならクロ』『ゲロッパ!』『この世の外へ クラブ進駐軍』『天国の本屋〜恋火』(6月公開)、TV『警視庁鑑定班2004』へのレギュラー出演、舞台『スサノオ―神の剣の物語―』、『山ほととぎすほしいまま』などがある。

■田根楽子(たね・らくこ):磯谷貞子
石川県出身。劇団三十人会、自由劇場、東京乾電池などの舞台を経て、映画やテレビにも数多く出演。最近は東宝、こまつ座など舞台での活躍の場も広い。主な主演作品は、映画『病院へ行こう』『僕らはみんな生きている』『青春デンデケデケデケ』、テレビドラマ『弁護士・猪狩文助』(TBS)『救命病棟24時』(フジテレビ)『ハマの靜香は事件がお好き』(フジテレビ)、舞台は『國語元年』『春は爛漫』『りぼん』など。

■河合美智子(かわい・みちこ):加賀美詩子
神奈川県出身。1983年、相米慎二監督の映画『ションベンライダー』で主演デビュー。以後、多くのテレビドラマ、映画に出演し、96年『ふたりっ子』(NHK)のオーロラ輝子役で大ブレイク。また『ラブ・レターズ』やミュージカル『ペーパー・ムーン』など舞台作品にも多数出演。現在『東京パラダイス』(文化放送)パーソナリティ、土曜ワイド『ポッカヤ事件カルテ』シリーズにレギュラーとして活躍中。

■駒塚由衣(こまづか・ゆい):魚住佳枝

東京都出身。81年劇団四季『小さき神の作りし子ら』に主演。『フェードル』『アプローズ』『ジーザスクライスト スーパースター』など劇団四季の数々の舞台に出演、87年に退団。以降、『一絃の琴』『あぐり』(NHK)、『注文の多い料理店』などのテレビドラマや、映画『東京日和』『金融腐食列島 呪縛』などに出演。また声優として、エリザベス・テーラーやシガニー・ウィーバーをはじめ洋画のヒロインの吹き替えを担当するなど、活動の場を広げている。最近の舞台作品に、堤泰之作・演出『煙が目にしみる』、永井愛作・演出『日暮町風土記』『ゴロヴリョフ家の人々』など。

■かんのひとみ(かんの・ひとみ):野平みさお
富山県出身。劇団道学先生の団員として、『佐竹君がガリガリに痩せた理由』『サラサラとぷとぷ』『無頼の女房』など、ほとんどの公演に出演。Player's market『サヨナラ・ニッポン』(00年)などの外部出演や、TVやラジオ出演など、活動の幅を広げている。

[作] 永井愛
 
[演出] 江守徹
 
[美術] 妹尾河童
 
[出演] 有馬稲子/辰巳琢郎/雛形あきこ/根岸季衣/木津誠之/田根楽子/駒塚由衣/かんのひとみ/河合美智子/江守徹 ほか
 
[公演日程]
2004年6月 5日(土)18:00
6日(日)14:00
7日(月)19:00
8日(火)14:00
9日(水)休演
10日(木)14:00/19:00
11日(金)19:00
12日(土)13:00/18:00
13日(日)14:00
14日(月)14:00
15日(火)14:00
16日(水)休演
17日(木)14:00/19:00
18日(金)19:00
19日(土)13:00/18:00
20日(日)14:00

[料金] 全席指定
一般 A席6,800円/B席5,300円
SePT倶楽部会員割引 <A席のみ>6,000円
世田谷区民割引 <A席のみ>6,500円
 
[会場] 世田谷パブリックシアター
 
[前売開始] 2004年4月4日(日)
SePT倶楽部会員先行予約 2004年4月1日(木)〜
世田谷区民先行予約 2004年4月2日(金)
 
[チケット取扱]
くりっくチケットセンター 03-5432-1515
チケットぴあ 0570-02-9988・9999
Pコード専用 0570-02-9966(Pコード353-083)
イープラス http://eee.eplus.co.jp
ローソンチケット 0570-00-0403
JTBエンタメチケットデスク 03-3865-5489
世田谷区民割引はくりっくチケットセンターにて前売りのみ取扱い
 
[託児サービス] 全公演あり(定員あり・要予約)
対象:生後6ヶ月以上9才未満(障害のあるお子さまについてはご相談ください)
料金:2,000円
お申し込み:世田谷パブリックシアター  03-5432-1530(10:00〜12:00)
※ご利用希望日の3日前までにお申し込み下さい。
 
[車椅子スペース] 専用の車椅子スペースをご用意しております。ご観劇前日までにお申し込みください。ご希望公演の該当エリアのチケット料金の10%割引でご購入いただけます。また、お付き添いの方1名様は無料となります。
お申し込み: くりっくチケットセンター  03-5432-1515
(10:00〜18:00/月曜不定休)
なお、お座席でご観劇になる場合も、お席までご案内させていただきますので、劇場(03-5432-1526)へ予めご連絡をお願いします。
 
[お問い合せ] 世田谷パブリックシアター
 
[主催] (財)せたがや文化財団
 

TOP
 
back
 
home
  next