2019年12月10日、『メアリ・スチュアート』の制作発表を行いました。
演出を務める森新太郎、出演の長谷川京子、シルビア・グラブ、三浦涼介、吉田栄作、鷲尾真知子、山崎 一、藤木 孝によるコメントをお届けします。

撮影:田中亜紀
【登壇者コメント】
▼森新太郎(演出)
若い頃に、所属する劇団から借りたままだったシラーの『メアリ・スチュアート』を、年を経てひょんなことから読み返してみたら、「すごい、これはいまの日本の話じゃないか」と驚愕しました。シラーの戯曲は、二人の女王の対決はもちろん、その周りで権力を持った男たちが、野心と保身のために右往左往する姿をとてもリアルに描いています。笑えるくらい必死なその姿は私たちがよく見ている光景でもあり……。また、男社会で生き抜く二人の女王は、一番共感できるはずの存在でありながら、最後の最後まで一番分かりあえず、許しあえない。そんな状況は皮肉でもあり、でも、まさにこれが人間なんだなと。私が上演したい一心で選んだ作品ですので、喜びと同時に覚悟を持ちながら演出していきたいと思っています。
▼長谷川京子(メアリ・スチュアート役)
今回このような大役を頂いて背筋が伸びる思いです。この作品は、女王二人と周りでうごめく男性たちのキャラクター設定や人間関係が非常に面白い戯曲です。男性たちが権力に目を光らせて動く姿は現代と変わらず、どこか滑稽にも見えますし、実は女王二人が一番男前だったのではとも感じます。稽古では森さんに、自分の癖や今までなんとなくごまかしてやってきたところを細かくご指摘いただき、痛いところを毎日つかれているのですが(笑)、心が折れないように精進しようと頑張っています。身を引き締めて、体力もつけて、きちんとしたかっこいい“メアリ・スチュアート”になるように仕上げていきたいと思っています。
▼シルビア・グラブ(エリザベス女王役)
私はいま台本と向き合いながら、あまりのセリフ量の多さにおびえているところです。
普段はミュージカルや、ストレートプレイでもコメディーが多いので、今回、ストレートプレイのこのハードな作品を私はしっかり演じ切れるのか……。
素晴らしいキャストの中に入れていただきすごくうれしいのですが、今はまだ不安しかありません。ただ、森さんがいま一番やりたかった作品だと仰ったのをお聞きして、私も覚悟を決めて、とにかく厳しい状況にも耐えていこうと思いました。
本番が怖いけれど、楽しみです。
▼吉田栄作(レスター伯ロバート・ダドリー役)
今回の作品は、題材が史実で外国の戯曲。本格的な稽古が始まる前に、その世界観を自分なりに調べたりする中で、映画「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」を観たりしました。とても面白く見入って、歴史的な背景なども参考になったのですが、映画ではメアリが断頭台に上がるまでの細かい過程はあまり描かれていません。今回の舞台では、その過程がしっかりと描かれていますので、映画とセットで観ていただいても面白いかもしれません。今回演じるレスター伯は、二人の女王の心を掴んだであろう男なので、どうぞお楽しみに!
▼三浦涼介(サー・エドワード・モーティマー役)
本格的な稽古開始を前に3日間のプレ稽古があったのですが、すでに心が折れかけております(笑)。でも、本当に膨大なセリフで綴られる、歴史ある作品に出演させていただけることに心から感謝しています。
森さんのご指導のもと、たくさんの先輩方に学ばせていただき、精一杯、僕なりにモーティマーを演じさせていただければと思います。
世田谷パブリックシアターでお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。
▼鷲尾真知子(ハンナ・ケネディ役)
この作品に出演させていただくことは私にとって新たな挑戦だと思っています。
この作品をシラーが書いたのが200年前、題材となる史実は400年前、人って変わらないなあって本当に思います。なんて愚かしく、切ないのだろうと。私が演じるメアリの乳母ハンナも含め、登場人物は自分のことしか考えない人ばかりです。でもそこにはそれなりの理由があって、ハンナはハンナなりに一生懸命生きている。私の今回の大きなテーマは、「いかにメアリを愛せるか。愛して、愛して、愛し抜けるか」です。本当に身勝手な男ばかりの中で、私はメアリを愛したいと思います。どうぞ皆さま、劇場に足をお運びください。
▼山崎 一(大蔵卿バーリー役)
私が演じるバーリーはエリザベスの右腕ともいえる重鎮で、すっごく、もうめちゃくちゃ嫌なやつなんです(笑)。
メアリからすると強硬派であり、とても冷酷な人物で、とにかく彼女を追い詰めていく存在です。本当に嫌なやつだなあと思っていましたが、森さんが仰ったように、ある意味、日本の政治家とよく似た部分のある人物。そこからヒントが得られるかなと、ひそかにほくそ笑んでいるところです。
とにかくとことんメアリをいじめ抜いて、嫌われるようにしたいと思います。
▼藤木 孝(シュローズベリー伯タルボット)
この作品のスクリプト(台本)を拝見して、まず僕がふっと感じたことは「スリル」「スピード」「サスペンス」。もっといえば、「ワクワク」「ドキドキ」。
これは役者だけではなく、お客様がこの作品を観てくださったときに、まず感じることじゃないかと思うんです。「ワクワク」「ドキドキ」というのは、脈拍が速くなっちゃうような、そんな感じですね。それをどんなふうにお稽古を通じて耕していけるか、森船長を頼りにしております(笑)。
みんなで力を合わせて、お客様に楽しんでいただけるような作品にできたらと思っております。
『メアリ・スチュアート』
【日程】 2020/1/27(月) ~ 2020/2/16(日)
【会場】 世田谷パブリックシアター
【作】フリードリヒ・シラー
【上演台本】スティーブン・スペンダー
【翻訳】安西徹雄
【演出】森新太郎
【出演】長谷川京子 シルビア・グラブ 三浦涼介 吉田栄作/
山本 亨 青山達三 青山伊津美 黒田大輔 星 智也
池下重大 冨永 竜 玲央バルトナー 鈴木崇乃 金松彩夏/
鷲尾真知子 山崎 一 藤木 孝
公演ページはこちら