今回は、開幕まであと10日を切ったある日の稽古についてレポートします!
稽古場には本番さながらのステージセットが準備されていました。中央には回転する盆舞台、ある演出の仕掛けとしてセットされている屋根のような宙吊りのボード、そして舞台上のいたる所に置かれている沢山の小道具……。
この日は通し稽古という、本番と同じ段取りで初めから終わりまで一度も止めずに行う稽古で、実際に稽古場を暗転させた状態からスタートしました。開始早々、マイクを演じる篠山輝信さんの膨大な台詞。「俺の言ってる事わかりにくいですか?」「まだ説明してなかったよね。」といった観客に直接話し掛ける台詞を、稽古場にいる一人一人の目をまっすぐ見て話す篠山さんの姿が印象的です。会場となるシアタートラムは客席と舞台の距離がとても近い劇場。この劇場の特徴を一層惹き立てるような演出です。
また他にも『チック』では空間を駆使した演出を沢山楽しむことができます。出演者が盆舞台を活かしたシーン転換を行ったり、劇中でライブカメラを撮影したり……ほかにも少年2人が旅する車に観客も一緒に乗っているような感覚を味わえたりと、仕掛けが満載です。期待の演出家・小山ゆうなさんの遊び心溢れる世界を是非劇場で体感してみてください。
篠山さんのモノローグと共に、次々と舞台上に現れるのはチックとマイクを取り巻くキャラクターの濃い登場人物達。以前のチック通信でも紹介したように『チック』では土井ケイトさん、あめくみちこさん、大鷹明良さんの3名で20人近い人物を演じ分けます。いつの間にか違う衣裳で次の役を演じている3名に驚き、「次はどんな役なのだろう……」ときっと期待が高まっていくはずです。
そんな中、登場シーンで強烈なインパクトを放つのは柄本時生さん演じるチック。何を考えているのかわからない不思議な雰囲気を醸し出していますが、話が進むにつれ徐々にチックの優しさが垣間見えてきます。また旅先で出会う人達はユーモアがありながらも温かい人ばかりで、きっとお気に入りのキャラクターやシーンが見つかります。
公演は8/13(日)から27(日)まで。その後9/5(火)、6(水)には兵庫公演もあります。劇場でお待ちしています!
「チック」の公演情報はこちらから
https://setagaya-pt.jp/performances/201708tschick.html