屏風 Les Paravents
あの『屏風』が、世田谷パブリックシアターに帰ってくる!
 フランスの小説家・劇作家ジャン・ジュネ(1910~86)の戯曲『屏風』。その長さ、登場人物の多さ、アルジェリアの独立戦争をアクチュアルに扱うなど、上演困難な要素に満ちているこの怪物戯曲に、2002年春、今もっとも注目を集めている若手演出家フレデリック・フィスバックが糸あやつり人形の結城座と共に挑戦しました。
パリ・コリーヌ国立劇場での1ヶ月に渡るロングラン公演で、「私たちは『屏風』を通じたこの長い旅(短い休息を含み4時間)の虜になる。心を揺さぶられ、幻惑され、忘れがたいイメージの数々を記憶に中に焼き付けられる」(リベラシオン誌)と評され、各地で「結城座の人形は、人間的に物語る」と絶賛されました。
 戦場を彷徨い、「死」の国へと向って旅する貧しい3人の家族の物語。この主人公を演じる3人のフランス人俳優と、結城座による33体もの人形たちとの競演、人形浄瑠璃の手法を取り入れたフランス語による語り、映像・・・伝統と現在が絡み合う舞台は、「生」と「死」の世界が交錯する壮大な叙事詩の中に、再び私たちを導いてくれるでしょう。

フランス現代演劇界注目の若手演出家フィスバックが、超大作『屏風』に挑戦!
『屏風』は、世界的に著名なフランスの小説家・劇作家ジャン・ジュネ(1910〜86)の代表作です。16もの<画(タブロー)>からなるその長さ、100人近くに及ぶ登場人物、ジュネ自身による過剰な演技プランへの指示、そして、アルジェリアの独立戦争という、フランス人にとって、ある意味でタブーとされている大文字の歴史をアクチュアルに扱っているという点において、この戯曲は、上演困難な戯曲とされています(初演となった66年のロジェ・ブランの演出、83年のパトリス・シェローの演出、そして92年のマルセル・マレシャルによる演出が記憶に残るぐらいです)。少なくともフランスにおいて、『屏風』は、演出家に対する大きな挑戦であるといえます。

その長大な戯曲に、今フランスの若手演出家の中で最も注目を集める演出家フレデリック・フィスバックが挑みます。これまでも日本で、劇作家平田オリザ氏と『われらヒーロー』(作ジャン・リュック・ラガルス)を共同演出したのを皮切りに、パリで『東京ノート』(作・平田オリザ)を演出上演するなど、日本の演劇とは深いかかわりと興味を持って活動を続け、同時にフランス演劇界に日本の現代演劇についての興味を喚起した仕掛け人でもあります。

俳優3人、語り手2人、「結城座」の人形遣い6人、人形33体による物語
 フレデリックは、今回の共同製作とアダプテーションであえて大幅に出演者の数を減らしています。主人公であるサイード、母親、レイラの3人は、フランス人俳優が演じ、残りの全ての役(!)を、6人の人形遣いたちが操る人形(たち)と、フランス人俳優2人による語り手が担当します。360年以上もの歴史を持つ糸操り人形「結城座」による、操りの妙技、そして人形浄瑠璃(文楽)の手法を取り入れた、フランス語による語りと人形の動きの一体感が、この芝居の見所のひとつでもあります。

サイードの物語。レイラの、母親の物語。初演時のスキャンダル。私たちの最近の歴史・・・。上演というよりも、物語るために、フィスバックは舞台が提供できるあらゆる手段を使い、「トータル・シアター」を目指します。

「『屏風』は、舞台のための詩であり、政治の言葉が一言も発せられることなく政治をかき立てるという、この詩的な側面がいいのです。芸術作品は、観客の心と頭に、世界観を示すという点において、政治的なものになりうるのです・・・。」

▼ 『屏風』について ▼ プロフィール ▼ 公演概要