公演情報->「しあわせな日々」・「芝居」 |
20世紀のラストをベケットで 10月公演「秋のエチュード」では、共同演出にイデビアン・クルーの井手茂太、指輸ホテルの羊屋白玉を迎え新たな魅力を引き出したMODEが20世紀のラストに選んだ作品は今世紀を代表する劇作家、サミュエル・ベケット作の「しあわせな日々」と「芝居」。 出演は松本作品の常連である大崎由利子、品川徹、黒木美奈子の他に、転形劇場出身で、自らベケットの翻訳も手がけるという鈴木理江子。チェーホフやワイルダーの大胆なアレンジで高い評価を得ている松本が、この2作品をどのように演出するのかご期待下さい。 「しあわせな日々」〈HappyDays(1961)/0h les beaux jours(1963)> 舞台はまばゆい炎天下の草原、小高く盛り上がった丘。第一幕は、その中央に、まだ色香の漂う中年過ぎの女性ウィニーが腰まで埋もれている。第二幕になると、彼女は首まで埋もれた状態になる。ウィニーはこの格好で、身だしなみを整え、陽気におしゃべりを続ける。蘇る思い出、古典の一節、愛着の品々へのいとおしさ、夫とのたわいのない会話……。 夫ウィリーは丘のふもとの穴に住んでいる。彼は、ウィニーの質問に言葉少なに答えるほかは、終始寡黙である。 「芝居」〈Play(1964)/Comedie(1966)> 舞台には、同じ形の灰色の壷が三つ置かれている。それぞれの壷から男一人と女二人の顔が突き出ている。どの顔もじっと正面を向き、年齢格好も顔立ちも判じがたく、まるで壷の一部と化している。スポットライトを浴びた人間がライトにうながされるようにしゃべり出す。男が女と浮気したことが妻にばれ、問い詰められているらしい。三人はそれぞれ同じことを繰り返し、話は堂々巡りを続ける。 サミュエル・ベケット (1906年4月13日〜1989年12月22日)作家、批評家、劇作家。 アイルランドのダブリンに生まれ、パリで死亡。フランス語と英語で作品を書き、日本では1952年に書かれた「ゴドーを待ちながら」<原題:En attendant Godot(仏)Waiting for Godot(英)>で最もよく知られている。 1969年ノーベル文学賞受賞。 松本 修 俳優として10年間、文学座に在籍後、1989年に演劇集団MODEを設立。チェーホフの作品を現代日本の劇として構成、演出して高い評価を得る。95年「わたしが子どもだったころ」で文化庁芸術祭優秀賞、読売演劇大賞優秀作品賞を受賞。現在、北海道演劇財団アドバイザリーディレクター、世田谷パブリックシアター・アソシエイトディレクター。98年「プラトーノフ」で湯浅芳子賞を受賞。最近の演出作品に99年「ガリレオの生涯」(柄本明主演)、2000年「三人姉妹」(風吹ジュン主演)がある。また、今年4月には「月ノ光」(作・演出:竹内銃一郎)に久々に俳優として出演。 大崎由利子 1951年生まれ。舞台芸術学院より「劇団中村座」(93年「金杉忠男アソシエーツと改名」)に入団、解散までの全作品に出演。「旅路の果て」「白い地図」「若草物語」「年の初めの例として」などの松本修演出作品にも多数出演。 品川徹 1935年生まれ。劇団自由劇場を経て、68年太田省吾主宰の劇団転形劇場設立に参加。 88年の劇団解散まで主要メンバーとして全作品に出演する。その後、舞台、映像で活躍。最近の作品に、「水の駅」(太田省吾演出)「ガリレオの生涯」「三人姉妹」(松本修演出) 鈴木理江子 1948生まれ。ジャック・ルコック演劇学校(パリ)を経て、74〜88年まで転形劇場に在籍。「水の駅」など主要舞台に出演。99年よりベケットのテキストの舞台化「ベケット・ライブ」を始める。訳書に「ベケットとヴァンーヴェルデ」(共訳:みすず書房) 黒木美奈子 81年文学座研究所入所。1989年のMODE旗揚げに参加。以降多くの作品に出演。 「わたしが子どもだったころ」「きみのともだち」「魚の祭」(MODE)、「夫婦善哉」(龍昇企画)、「銀河鉄道の夜」(北海道演劇財団TPS)など |
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