公演情報->「リア王の悲劇」 |
「リア王の悲劇」
THE TRAGEDIE OF KING LEAR |
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たった一つの決断が、底なしの絶望へと老王を引きずり込む――シェイクスピア悲劇の中でも、迷いや過ちを犯す人間の悲哀を余すところなく描き切った傑作が、佐藤信演出、石橋蓮司主演という強力なタッグで蘇ります。世田谷パブリックシアター主催公演『ゴドーを待ちながら』(2000年)などで、西洋戯曲の魅力を引き出してきた彼らが新訳で挑む、この秋注目の作品です ■『リア王の悲劇』レクチャーが開催されます 本作品への興味を深めるために、「翻訳」、「戯曲」、そして「映像」という多角的なジャンルから論じます。 詳細はこちら>>
世田谷パブリックシアターで上演中の『リア王の悲劇』。連日観客の皆様から 続々と反響がよせられています。
石橋蓮司さん演じるリア王は、様々に変化していった。人の顔をねめつけ、人々を一喝する慢心の王。それが次第に、寸断なく思考が飛び続け、奇声を発する正気を失った人へと変わる。ちょこまかと動くかと思うと、不意に力強く舞台を踏み鳴らし、また次の瞬間には階段を転げて落ちていく。子供のように何をしでかすか分からない行動。そしてラストは、正気と狂気の狭間ながら愛するものを失った人間の姿。このラストは圧巻である。後姿から溢れ出す、圧倒的な絶望感。台詞がないにも関わらず時間を支配し、後姿で嘆く絶望をより大きなものへと変えていく。長大な物語を納めるに相応しい、重厚なシーンだった。(Kazuさん 27歳) 何より、リア王を演じた石橋蓮司さんはすばらしい。抑えた、でも内にこもり過ぎない演技が絶妙。なんでリアは、人は、こんな風にしか生きられないんだろう?400年も前に書かれたこの物語に起こった過ちを、今もなお繰り返し続けているのではないか・・・洞窟の底にいる私たちよりも、愚かさに気付いたリアたちの方がはるか地上に近い。観ていて、せつなくなってきた。(S・Aさん 30歳) 「俳優の勝利」とは、こういう時に言うのだろうか。登場人物が丁寧に描かれていたのが印象深い。特に二幕で、正気を失ったリア王(石橋蓮司)と両目を失ったグロスタ公(二瓶鮫一)との会話は、シェイクスピアのセリフはこんなにも深い心情が語られていたのかと思わせるほど心を打つものだった。コーディーリアの石橋けいは、可憐だが落ち着きのある声で、役柄そのままの誠実さと気丈さを伝えていた。(S・Iさん 38歳) 手塚とおるの道化がいい。舞台が進むにつれ高まっていく緊張感の中観客はその滑稽な動作や言葉に吹き出してしまう一方でふとこちらに向けられる鋭い眼差しと真理を射貫いた一言に思わず戦慄を覚える。(E・Eさん 20歳) 「人間の愚かしさは普遍だ」シェイクスピア作品を観るたびに強く思ってしまう。シェイクスピア作品のなかでも、リア王を題材にしたこの作品は、人間の愚かしさを描いたものではダントツではないだろうか?偉大な権力をもった一人の王が、発狂したみずぼらしい一人の老人に成り下がっていく。周りを取り巻く人物・環境のなんと変化の早いことだろう…見ている者に息つく暇を与えない。息つく暇を与えない中にも、登場人物の印象は深く刻まれる。大半の登場人物が私利私欲のために醜い姿を露呈する、しかしその中でも真に人を思い行動できる人物もいる。どちらの姿も私たち人間の中にある己を形成する人格の一部である。この作品をみて苦しいようなでもどこか、すっとする感情が芽吹く。どうかこの作品を観て欲しい。斬新な舞台設計もたまらない。(M・Zさん 25歳) 幕が上がるとともに、とにかく舞台セットの壮大さと美しさに圧倒されました。舞台全体に映像を映し出す技法や、衣装など、美術作品として目を楽しませてくれる要素がいっぱいだったところに大満足でした。あんなに段差ばかりのところで演技をしなければならない俳優の方々が大変だなあ、という私の心配をよそに、彼らは派手な戦闘シーンや空間を目一杯使ったダイナミックな演技を見せてくれました。(M・Mさん 22歳) 衣装がすばらしい舞台だった。簡素な大階段の舞台に鮮やかな衣装が美しく映えていた。特にリア、ゴネリル、リーガン、コーデリアのマントはすばらしい。使うあてもないが欲しくなってしまったほどである。(T・Oさん 23歳) 鼓童の音楽はシェイクスピアの世界に見事に融合していましたね。太鼓の音は人々の運命を知らせる神託のように感じられました。(K・Yさん 35歳) 近藤弘幸の新訳も小気味いい。エドマンドによる仕掛け、ニセ手紙の文面の肝心の一句は、岩波文庫では「父上がもし僕がお起こしするまで熟睡なさるようになるならば」とする。これでは何のことやら回りくどい。新訳は直接的に「もし親父を永久に眠らせることができれば」と迫る。その他今まで難解だった場面も簡明に訳出し、戯曲の向かうところを明確にして、ストレートに観客を舞台へと引き込む名訳だ。(ひらりんさん 40歳) メール・インターネットによって直接目や耳で触れることなく他者とコミュニケーションをとれるようになってから、うすうす自覚はあった自分のコミュニケーションのありようの変化に思い至りました。ともかく、言葉だけでない、身体からわきたつエネルギーとともにコミュニケーションをここまで見事に表現した演劇には久々に出遭いました。(M・Mさん 32歳) 物語の中で次から次へと発展する事件それ自体は紛れもなく遠い世界の昔話なのに、それをとても身近に感じられたのは、キャストの皆さんの演技の素晴らしさ(リア爺さんの生々しいこと!)と、全編を通して伝わってくる各登場人物の感情や「老い」「家族」といった現代にも(現代にこそ?)問われ続けているテーマがリアルで心が揺さぶられたからだと思います。ずっしりと、心に残る作品でした。(H.Sさん 28歳)
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