公演情報->『月の向こう側』 |
ロベール・ルパージュ 作・演出
『月の向こう側』 the far side of the moon (英語上演・日本語字幕付) |
[公演概要]
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世田谷おもしろ座2002参加作品 |
■つくばカピオホールにて11月3日(日)と4日(月)14時開演の公演あり。 |
◇映像の魔術師 ロベール・ルパージュ、待望の新作◇ |
世田谷パブリックシアターでは、今秋、東京国際芸術祭との共同主催で、カナダのケベック市からロベール・ルパージュ作・演出の一人芝居『月の向こう側』を招聘いたします。 ロベール・ルパージュは映像表現を巧みに取り入れ、独自の演劇空間を創出する、現在、世界中で最も注目されている演出家の一人です。ルパージュは、日本文化、とりわけ伝統芸能への造詣が深く、『月の向こう側』では、歌舞伎のスペクタクル性や文楽のテクニックを随所に盛り込んだ斬新な舞台構成を展開します。ルパージュ・マジックとも呼ばれる彼の魔法のような舞台は、観る者の心を片時も離さず、その卓抜なエンターテインメント性は、他の追随を許しません。 |
◇『月の向こう側』に見える―20世紀という時代◇ |
『月の向こう側』では、長い間確執のあった兄弟が、母親の死を乗り越えて和解するまでのプロセスを、西側に先行したソ連の宇宙開発計画の推移と絡めながら、重層的に描き出した作品です。 物語の主軸となる兄弟は、さながら米ソ対立のように、対照的な性格の二人。一方は、順風満帆なテレビに出演する天気予報士で、ジム通いを怠らないゲイの男性。かたや宇宙に取り憑かれた、うだつのあがらない研究者。この二人の確執を通して、私たちの普遍的な課題、人は他者とどう向き合うかを問いかけています。もしその他者が最愛の母であったら、あるいは気にさわる兄弟であったら、西側からみた「敵」の文明であったら、はたまた広大な宇宙であったら、人はその他者とどう向き合うか。観る者にそんな問いかけを提示する『月の向こう側』は、兄弟の確執というミクロの次元を通して、米ソという二大対立項に支配されていた20世紀後半という時代を照射している意欲作です。 |
◇観るものを虜にする「ルパージュ・マジック」全開◇ |
ルパージュは空間を幾重にも広げ、イマジネーションの無限の可能性を証明してみせる稀有な演出家であり、その手法は世界中から「ルパージュ・マジック」と賞賛されています。 『月の向こう側』で展開するルパージュ・マジックの片鱗をご紹介しましょう。 この作品では、ルパージュ特有の回転ミラー、自在に動くパネルやプロジェクターを効果的に利用して、ルパージュ・マジック健在の舞台空間が思う存分楽しめます。特に舞台の中心的なイメージである丸窓が、洗濯乾燥機の覗き窓、バーの壁時計や月面に、さらには宇宙ロケットのハッチ等、変幻自在に変化していく様は、観客の想像力を多いに刺激し、片時も飽きさせない魔法のよう。また、文楽の影響を受けているルパージュは、宇宙飛行士が宇宙遊泳する様を、人形で巧みに表現してみせています。 |
◇ローリー・アンダーソンの曲に乗せ、20世紀を映し出す魔法の鏡◇ |
さらに今回は、パフォーミング・アーツとテクノロジーを融合した先駆的存在であるローリー・アンダーソンが『月の向こう側』のために曲を書き下ろしています。ルパージュとアンダーソンのコラボレーションは、舞台ファンのみならず音楽ファンが待ちに待った、最高に刺激的なの共同作業と言えるでしょう。 |
作・演出:ロベール・ルパージュ(Robert Lepage) |
1957年、カナダのケベック州に生まれる。 1978年、カナダの演劇学校コンセルバトワール・ダール・ドラマティークを卒業後、フランスに留学、パリでアラン・クナップに師事。 1982年、カナダに戻り、テアトル・ルペールに参加。ここから本格的な演劇活動が始まる。 1986年に東洋系移民を題材とした『ドラゴンズ・トリロジー(竜)三部作』、1992年フランス語の『シェイクスピア三部作』の発表で一躍脚光を浴びる。同年にはロンドンのナショナルシアターでの『夏の夜の夢』の演出と、ひとり芝居『ニードルズ・アンド・オピウム』で、ともに絶賛を浴びた。 1993年1月にはカナディアン・オペラ・カンパニーによる『青ひげ公の城』と『期待』で初のオペラ演出を手がけて成功。世界的に注目される演出家のひとりとなる。 1990年、オタワのカナダ国立芸術センターのフランス語劇の芸術監督に就任、国際的な活動を広めるために1993年に退任。翌年、新しい創造集団エクス・マキナを結成。小道具や映像を巧みに用い、空間を幾重にも広げ、イマジネーションの無限の可能性を証明してみせる彼の舞台、そのルパージュ・マジックが日本にお目見えしたのは1993年のパナソニック・グローブ座でのテアトル・ルペールによる『シェイクスピア三部作』であった。その後、ひとり芝居『ニードルズ・アンド・オピウム』を上演し、高い評価を受けた。 また1993年にはグローブ座カンパニー公演『マクベス』『テンペスト』の演出(出演は平幹二朗、毬谷友子、上杉祥三ほか)に続き、1994年にはマイケル・ナイマンのオペラ『テンペスト』演出のために再来日している。 本格的なオリジナル作品の日本上演は1995年の『ヒロシマ――太田川七つの流れ』(ワーク・イン・プログレス)が初めてとなった。1996年2月には自身の脚本・演出の『ポリグラフ(うそ発見器)』を上杉祥三、毬谷友子、明楽哲典の出演で東京芸術劇場にて上演した。 1999年にはサイトウ・キネン・フェスティバル松本で小沢征爾指揮による『ファウストの劫罰』を演出し、音楽界でも話題となったことは記憶に新しい。 『月の向こう側』はタイムアウト賞、イヴニングスタンダード最優作品賞(2001年ロンドン)といった賞を数々受賞し、各国をツアー中。現在、ルパージュは最新作『Apasionada』の世界ツアーと、5作目の映画制作、英国ナショナルオペラと共にジョージ・オーウェルの 『1984』の翻案化に取り掛かっている。 |
出演:イブ・ジャック(Yves Jacques) |
ケベック・シティ生まれ。8歳の頃からバンドを結成し、ドラムを担当。10代になってからは演劇とマイムをオックスフォード・アート・センターで、パーカッションをケベック高等音楽院で学ぶ。 演劇学校を1977年に卒業後、音楽仲間と作り上げたパロディーミュージカル『スリック・アンド・アウトラグズ』で注目を浴びるようになる。作品は成功をおさめ、ケベックとモントリオールで上演され、1984年にはケベック州を再演ツアーした。 1984年、『アメリカ帝国の衰退』での演技で役者としての評価を確立する。その後も映画、テレビ、舞台で活躍。主要舞台作品としてはブレヒト作『ガリレオ』や『三文オペラ』、絵映画作品としては『モントリオールのジーザス』 (1987年カンヌ審査員賞)、ロックオペラ『ジミーの伝説』等。1993年からはパリに移り住み、フランス、チェコ共和国、ポルトガル、ハンガリー、ベルギー、スウェーデンで映画作品に出演する。 パリでの舞台デビューは、1996年1月のジェローム・サヴァリ演出のオスカー・ワイルド作『まじめが肝心』。1999年秋、オスカー・ワイルド作『理想の夫』のゴーリング卿役を演じ、モントリオールの舞台に復帰。2000年夏にはゴルドーニの 『ベニスの双子』で賞賛を得る。 1999年からはフランスとケベック両国の映画作品で活躍。パトリス・ルコント監督に出演したり、ジュリエット・ビノシュ、ジョン・マルコヴィッチ、ジェラルド・デュパルディー等と共演。 2001年2月、フランス文化省の芸術文化騎士賞を授与される。 2001年秋からはロベール・ルパージュ作・演出の『月の向こう側』でフランス、アメリカ、ニュージーランド、メキシコ、ドイツ、ノルウェイ、日本、ケベック、カナダで世界ツアーを行っている。 |
音楽:ローリー・アンダーソン(Laurie Anderson) |
過去25年に渡り、ローリー・アンダーソンの舞台作品はアメリカならびにヨーロッパで高い評価を得る。映画作品やダンスカンパニーのために作曲をするだけでなく、アメリカ人飛行士の先駆者アメリア・エアハートの人生に刺激を受け創作したオーケストラ作品『アメリア・エアハートの歌』も発表。ローリー・アンダーソンは現在、最新作 『Happiness』(女性の1人芝居)でアメリカをツアー中。 |
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