公演情報->「まちがいの狂言」 |
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◆21世紀開幕。世田谷パブリックシアターはシェイクスピア2作品連続上演◆ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
21世紀の幕開けとなった2001年、世田谷パブリックシアターは世界中で現在も上演されつづけ、永遠の力をもちつづけているシェイクスピアの作品を4月と6月に上演致します。 4月は狂言の「万作の会」との提携公演による『まちがいの狂言』です。 6月は20世紀末(11月21日〜1月12日)、パリで大絶賛されたピーター・ブルック演出の『ハムレットの悲劇』(エイドリアン・レスター主演)が来日公演を行います。 |
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◆現代に甦る、狂言シェイクスピアの世界◆ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
4月21日〜28日に上演される野村萬斎演出による『まちがいの狂言』は、シェイクスピアの初期の作品で、シェイクスピアがプラウトゥスの『メナエクムス兄弟』を下敷きに書かれたといわれている『まちがいの喜劇』から題材をとり、日本を代表するシェイクスピア学者である高橋康也(プロフィール後掲)が万作の会のために書き下ろした新作狂言です。 万作の会は1991年英国で開催されたジャパン・フェスティバルの参加作品として、『ウィンザーの陽気な女房たち』に材をとり、やはり高橋康也書き下ろしによる新作狂言『法螺侍』を日本(東京グローブ座)と英国(マーメイドシアター、その他)で上演し、この試みは高い評価を得ました(野村万作演出)。 その後、この作品は香港、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドでも上演され好評を博しました。 そして、今回万作の会は2度目のシェイクスピア作品、野村萬斎演出による『まちがいの狂言』の上演をおこなうこととなりました。 |
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◆注目の狂言師・野村萬斎、異文化への挑戦◆ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
野村萬斎は1966年に野村万作の長男として生まれ、3歳のときから舞台を踏み、狂言師として活躍する傍ら、古典芸能の世界にとどまることなく、次から次へと新しい挑戦・実験をつづけている、現在最も注目されている表現者の一人です。 萬斎は、1994年に文化庁の派遣により、英国に1年間留学し、時代とともに変容を遂げつづけているシェイクスピア作品に出会い、今日には今日のシェイクスピアがあることを学ぶとともに、狂言が非常に優れた技術をもった演劇形態であることを確信して帰国しました。 古典芸能のひとつとして扱われている狂言界にあって、萬斎は、今日の狂言を探りつづけています。そういう意味では、シェイクスピアの根付く英国留学は大変貴重な体験となりました。 帰国後の5年間、萬斎は様々な試みをくり返してきましたが、今回の作品はその集大成というべきものになることと確信しています。 この作品にかける意気込みを萬斎は「狂言の根本的な意識として決して喜劇をやろうとはしていない。『ここにいる人間を表象する』というか。喜劇というよりも人間劇をやりたい。」と語っています。 抱腹絶倒の喜劇と言われるシェイクスピア作品『まちがいの喜劇』を一体どのように作品化して、新作狂言として創りあげるのか大変興味がもたれます。 |
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◆一人二役・二人二役・二人一役◆ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
『まちがいの狂言』は二組の双子の兄弟の取り違えが巻き起こす騒動を描いた『まちがいの喜劇』を基に、舞台を室町時代の瀬戸内海沿岸の小国、黒草の国に移して描かれます。 白草の国の商人、直介(野村万作)には息子がおり、同じ頃近隣で生まれた父なし子の双子を従者として引き取り、一緒に育てていましたが、ある日、妻と赤ん坊四名を伴い旅に出たところ、瀬戸内海で嵐に巻き込まれ、妻と息子一人従者一人と生き別れになってしまいます。成人した直介の息子が(白草の石之介)が生き別れた兄弟に会いたがったため、直介は諸国を歴訪しつづけて5年目のある日、白草の国と敵対する黒草の国に上陸します。物語はここからはじまります。 白草の国と黒草の国の石之介二役を石田幸雄、白草の国と黒草の国の太郎冠者二役を萬斎、他の出演者に野村万之介、小川七作など万作の会のメンバーが総出演します。 |
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◆「まちがいの狂言」、7月ロンドン・グローブ座へ◆ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
この作品は4月に世田谷パブリックシアターで初演した後、7月にジャパン2001の参加作品としてロンドンにあるグローブ座で上演されます。 1997年に開場したグローブ座はシェイクスピアが座付作家をしていたエリザベス朝様式のグローブ座を再現した屋外劇場です。『まちがいの狂言』は海外で誕生した良質なシェイクスピア作品を招聘する「グローブ・トゥ・グローブ」というシリーズに招待され、上演されることとなりました。 |
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* ジャパン2001 2001年5月から2002年初頭にかけて開催される日本文化紹介行事。1991年に大きな話題とな ったジャパン・フェスティバルから10年、今回は教育プログラムを柱として、英国全土で日 本の文化とライフスタイルを紹介する大型の文化事業です。 |
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プロフィール 高橋康也 作 1932年東京生まれ。昭和女子大学教授、東京大学名誉教授。国際シェイクスピア学会副会長 として国際的にも著名。また西洋現代演劇や、1970年代以降の日本の小劇場運動をめぐって も活発な紹介・評論活動を展開。さらに能、狂言への深い関心から、ベケットと能、シェイク スピアと狂言の比較研究へと進み、ついにシェイクスピアの『ウィンザーの陽気な女房たち』 を狂言風にアレンジした『法螺侍』(演出・主演 野村万作 1991)を書くにいたった。これ は欧米・香港・オーストラリアなどの海外公演でも好評を博した。 今回の『まちがいの狂言』はシェイクスピアの『まちがいの喜劇』の翻案である。 編著書『サミュエル・ベケット』(研究社)、『道化の文学』(中公新書)、『シェイクスピア・ハ ンドブック』(新書館)、訳書に『ベケット戯曲全集』ピーター・ブルック『なにもない空間』 など。 |
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万作の会 プロフィール 野村万作(のむら まんさく) 1931年生まれ。故六世 野村万蔵(人間国宝、芸術院会員)の次男。祖父初世野村萬斎及び父に師事。 重要無形文化財総合指定者。早稲田大学文学部卒業。3歳で初舞台。狂言の最高秘曲である「釣狐」の演技で芸術祭大賞を受賞した他、紀伊国屋演劇賞、芸術院賞、紫綬褒賞、坪内逍遥大賞など多くの受賞歴をもつ狂言界の第一人者。国の内外で狂言普及に貢献。古典はもとより、新しい試みにもしばしば取組む。 名古屋女子大学客員教授。著書に「太郎冠者を生きる」(白水社)。 野村萬斎(のむら まんさい) 1966年生まれ。万作の長男。祖父及び父に師事。東京芸術大学音楽学部邦楽科卒業。70年「靭猿」で初舞台。87年「狂言ござる乃座」を発足させ現在に至る。94年文化庁芸術家在外研修制度により渡英。近年は狂言の脚色、演出も務め、現代に生きる狂言の普及を目指している。また、映画『乱』(黒澤明監督)や舞台『ハムレット』『子午線の祀リ』や『花の乱』『あぐり』(NHK)に出演するなど古典芸能にとどまらない活動を幅広く行っている。著書に『萬斎でござる』(朝日新聞社)。 野村万之介(のむら まんのすけ) 1939年生まれ。故六世万蔵の五男。父に師事。重要無形文化財総合指定者「万之介狂言の会」を主宰。 狂言会の代表的演者の一人である。芸術選奨新人賞受賞。大学の狂言研究会を指導して久しい。 石田幸雄(いしだ ゆきお) 1949年生まれ。万作に師事。重要無形文化財総合指定者。35年の舞台歴をもち、数々の大曲を初演し、中堅狂言師として活躍している。また実験的な試みにも意欲的に取組んでいる。 |
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