ワークショップ・レクチャー

「ドキュメンタリー演劇」とは何か
パブリックシアターのためのアーツマネジメント講座2010

近年、「ドキュメンタリー演劇」という名のもと、さまざまな形での上演・実践がなされており、現代演劇において重要な手法のひとつとなっています。
本講座では、改めてドキュメンタリー演劇とは何なのかを再考します。いくつかの作品を具体的に検証しながら、演劇におけるフィクション/リアリティ/現実の関係性を探り、演劇に何が可能かを広く考えていきます。
どうぞふるってご参加ください。

 
 
日程 2010年
(1) 「演劇における〈ドキュメンタリー的〉なもの ― その方法と可能性をめぐって」
10月10日(日)13時~15時
講師:森山直人(演劇批評家)

(2) 「ドイツにおけるドキュメンタリー演劇、その背景と歴史:リミニ・プロトコル(と)の仕事を手がかりに」
10月28日(木)19時~21時
講師:萩原 健(明治大学国際日本学部専任講師)

(3) 「ドキュメンタリーという手法」
11月11日(木)19時~21時
講師:谷岡健彦(東京工業大学外国語研究教育センター准教授)

 
 
内容 (1)「演劇における〈ドキュメンタリー的〉なもの―その方法と可能性をめぐって」(講師:森山直人)
最近、「ドキュメンタリー演劇」という言葉を耳にする機会が増えつつあります。かつては政治演劇の文脈で理解されていたこの方法は、いまでは観客を「虚構」と繋ぐための、あるいは「虚構」と「現実」を繋ぐための新たな方法として再認識されています。この講座では、このトピックにかんする歴史的な概観を行いつつ、「ドキュメンタリー映画」のアクチュアリティ等も参照しながら、できるだけ広い視点から、演劇における「ドキュメンタリー的なもの」を考察したいと思います(可能であれば、ジャン・ルーシュ監督『人間ピラミッド』のDVDを見ておいてください)。

(2)「ドイツにおけるドキュメンタリー演劇、その背景と歴史:リミニ・プロトコル(と)の仕事を手がかりに」(講師:萩原 健)
 近年注目されている「ドキュメンタリー演劇」のうち、戯曲や劇場、ひいては俳優といった既成の枠組みを離れ、リアリティーを追求するものがしばしばあります。その代表格と言えるのがドイツのリミニ・プロトコルの作品群でしょう。ただ、彼らのそのような作品は突然生まれたわけではなく、ドイツにはそれ以前に、何らかの、ドキュメンタリー的な演劇を生む背景や歴史があったのではないでしょうか?  本レクチャーでは、リミニ・プロトコルの日本公演で通訳および字幕翻訳・制作・操作を務めた講師自身の経験談を交えながら、ドイツの演劇における「ドキュメンタリー演劇」の背景と歴史について考察します。

(3)「ドキュメンタリーという手法」(講師:谷岡健彦)
鉄道事故であれ金融危機であれ、現実の出来事を題材にするからといって、べつにドキュメンタリー演劇の手法で戯曲を書かねばならないわけではない。むしろ、この手法を用いると、実在の人物の発言を恣意的には変更しにくいぶん、作り手の側の自由度は大きく減じてしまう。では最近、制約の多いこの形式を採用する演劇人が増えてきているのはなぜなのだろうか。ドキュメンタリー演劇を作る困難をも作中に描き込んでいるグレゴリー・バークの『ブラック・ウォッチ』(2009年オリヴィエ賞受賞)を見ながら、この手法の特性と魅力を考察してみたい。

 
 
場所 世田谷文化生活情報センター セミナールーム(三軒茶屋キャロットタワー5階)
 
 
講師 《プロフィール》
森山直人(もりやま なおと)
1968年生まれ。演劇批評家。京都造形芸術大学芸術学部舞台芸術学科准教授、舞台芸術研究センター主任研究員。主な論考に「ある亡霊との対話――高山明『雲。家。』の演出について」(『F/T09 DOCUMENTS』)「〈ドキュメンタリー〉が切り開く〈舞台〉」、「過渡期としての舞台空間――小劇場演劇における「昭和30年代」」(以上『舞台芸術』)他。

萩原 健(はぎわら けん)
明治大学国際日本学部専任講師。現代ドイツ演劇(演出の歴史)および関連する日本の演劇。ドイツ語戯曲の翻訳(『ノルウェイ.トゥデイ』『黒い獣、哀しみ』)、またドイツ語圏からの来日公演の字幕翻訳・制作・操作および舞台通訳を手がける(『ノーラ』、『エミーリア・ガロッティ』、『カール・マルクス:資本論、第一巻』ほか)。

谷岡健彦(たにおか たけひこ)
東京工業大学外国語研究教育センター准教授。スコットランドを中心に、現代英国の演劇を研究対象としている。2008年から2010年まで『シアターアーツ』誌の演劇時評を担当。おもな翻訳戯曲にサラ・ケイン『4時48分 サイコシス』、デイヴィッド・ハロワー『雌鶏の中のナイフ』など。

 
 
参加費 各回1,500円
※受講当日に会場にてご精算いただきます。
※受付は15分前より開始、お申込後キャンセルの場合は必ずご連絡ください。

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★「レクチャープログラム回数券」販売のお知らせ
世田谷パブリックシアターのレクチャーにお得な料金でご参加いただける2種類の回数券 を販売します。
世田谷パブリックシアターで2010年度内に開講される以下の講座(60程度)がすべてが 対象です。
・パブリックシアターのためのアーツマネジメント講座
・世田谷パブリックシアター シアターゼミナール
・上演作品レクチャー
・世田谷アーティストトーク

(1)18~24歳の方
種類:5回券 4,000円 【1講座当たり800円】
販売方法:オンライン販売(U24) 

(2)一般の方
種類:5回券 6,000円 【1講座当たり1,200円】
販売方法:オンライン販売 

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対象 各回40名
※先着順に受付いたしておりますが、万が一定員に達してご参加いただけない場合はご連絡いたします。
 
 
申込み方法 以下申込みフォームか、または劇場(03-5432-1526)までお申込みください。
 
 
お問合せ 世田谷パブリックシアター学芸 03-5432-1526
 
 
備考 アサヒビール芸術文化財団
平成22年度文化庁芸術拠点形成事業
 
 
受付は終了致しました。
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