ワークショップ・レクチャー

『劇場における公共性―劇場空間の可能性』

本講座では、ドイツ、フランス、アメリカの劇場のあり方を出発点に、劇場空間が持ちうる可能性について考えていきます。各回毎の参加も可能ですので、ご興味のおありの方は是非ご出席下さい。

※なお、本講座は、世田谷パブリックシアターレクチャー2007『公共圏としての劇場―劇場空間の可能性』と内容が重複する部分がございます。ご了承下さい。

 
 
日程 2009年
1月10日(土)14時~17時 佐伯隆幸
1月22日(木)19時~21時 谷川道子
1月27日(火)19時~21時 青野智子
1月31日(土)14時~16時 八角聡仁
 
 
内容 1月10日(土) 14時~17時 佐伯隆幸 
『「公共の演劇」とは何か─日本とフランスを引較して』
「公共劇場」と呼ばれるものがこの国でスタートして約十年が経 た。その間、さまざまに厖大な試行はあったものの、「パブリックな表現に関わる/による新らたな関係の場の構築」という演劇の「かたち」はいぜん不鮮明であり、その将来的方向も創造者・観客相互に必ずしも共有的な土台上でみいだされているわけではない。こういう現在時を踏まえ、いまなにが考えられるか、どのような布置図を「公共の演劇」の基層や周辺にみさだめるべきなのかという問題構成を、場合によってはヨーロッパ演劇の実例を使っていくつかの補助線を引きつつ、もう一度更地から組み立ててみたい。

1月22日(木) 19時~21時 谷川道子 
『〈演劇王国〉ドイツの公共劇場制度―その歴史と現在』 2005年の「日本におけるドイツ年」を契機にドイツから今が旬の舞台がたくさん来日し、「ドイツ現代戯曲選30」なるシリーズも刊行されて、ドイツ演劇の独特な相貌に気づかれた方も多いかと思います。それを支えているのがドイツの公共劇場制度であり、またそれを生み出したドイツ独特の歴史でもあります。その独自性を浮かび上がらせられればと思っています。

1月27日(火) 19時~21時 青野智子
『アメリカ・リージョナルシアターにおける公共性の発見―日本における地域演劇政策の発展のために』
指定管理者制度導入後の我が国の公立劇場・ホールにおいては、文化振興の明確な理念モデルが不在のまま、質の高い「芸術」性と採算性の高い「娯楽」性を同時に実現せよという一般的には不可能な目標を、行政や一般市民から突き付けられているように思われる。他方、戦後のアメリカ合衆国においては、「芸術」 でも「娯楽」でもなく「公共」的価値に依拠することによって、リージョナルシアターが、独自の公共劇場モデルを地域において構築してきた。本報告では、アメリカのリージョナルシアターが、地域のなかで公共性を発見していった歴史過程を明らかにし、我が国の公立劇場・ホールの今後を考えるにあたっての有効な視角を与えたい。

1月31日(土) 14時~16時 八角聡仁
『劇場的思考の現在---視線と空間のアルケオロジー』
舞台芸術の公共性をめぐる今日的な問いを、ソフトウェアとしての作品とハードウェアとしての劇場の関係から歴史的に捉えなおし、劇場の内側(舞台/客席)と外側(社会)における視線と空間の構造を読み解いていきます。かつて「世界」を表象する装置であった劇場が、「複製技術の時代」にどんな社会的機能を持ちうるのか。映像資料等を用いて古今東西の事例を参照しながら、なるべく身近な問題を通して考えます。

※1月10日の佐伯さんの回の講 座時間のみ3時間の設定となっております。
※受付は15分前より開始、お申込み後キャンセルの場合は必ずご連絡ください。
 
 
場所 世田谷文化生活情報センター セミナールーム(キャロットタワー5階)
 
 
講師 [プロフィール]
佐伯隆幸(さえき・りゅうこう)
演劇評論家、学習院大学教授。専門はフランス演劇のなかでも近代以降のフランス演劇史。批評家としては、アングラ期以来の日本の現代演劇の動向を追う。

谷川道子(たにがわ・みちこ)
東京外国語大学教授。専門はドイツ演劇、なかでもブレヒトやハイナー・ミュラー、ピナ・バウシュを中心としたドイツ語圏現代演劇・表象文化論。また、その日本の現代演劇への影響関係にも関心を持つ。

青野智子(あおの・ともこ)
諏訪東京理科大学講師。アメリカ演劇・文化政策。全米各地のリージョナルシアターにおいて調査を行い、日米演劇の社会的・文化的基盤についての比較研究をすすめている。

八角聡仁(やすみ・あきひと)
批評家、近畿大学文芸学部教授、京都造形芸術大学舞台芸術研究センター客員研究員。演劇、ダンス、写真、映画、文学などの分野で広く執筆するかたわら、編集・出版や公演の企画などにも数多く携わる。
 
 
参加費 各回1,500円
4回5,000円
※参加費は、受講当日に会場にてご清算いただきます。
 
 
募集人数 各回25名 (先着順、定員になり次第受付終了)
 
 
締切り ※先着順に受付しておりますが、定員に達した場合は受付を終了しますので、予めご了承ください。
 
 
申込み方法 下記申込みフォームか、または劇場(03-5432-1526)までお申込みください。
 
 
お問合せ 世田谷パブリックシアター学芸 03-5432-1526
 
 
備考 [助成] アサヒビール芸術文化財団
 
 
受付は終了致しました。
ひとつ前のページへ戻る