ワークショップ・レクチャー

『舞台芸術/史論II』
パブリックシアターのためのアーツマネジメント講座2008

全6回講座からなる本講座は、4名の講師の方々が各々選んだある歴史的視座を切 り口に、現代の日本の舞台芸術、その系譜を読み解いていきます。

 
 
日程 2008年
●Aコース:コンテンポラリーダンス&舞踏
7月29日(火) 19時~21時 (講師:貫成人)
7月30日(水) 19時~21時 (講師:國吉和子)

●Bコース:演劇
8月20日(水)・22日(金) いずれも19時~21時 (講師:西堂行人)

●Cコース:演劇
8月23日(土) 15時30分~17時30分、
   24日(日) 18時30分~20時30分 (講師:森山直人)
 
 
内容 ●Aコース:「90年代以降のコンテンポラリーダンス」 (講師:貫成人)
「コンテンポラリーダンス」が誕生してすでに22年。その間にコンテンポラリーダンスをとりまく状況も変化した。ウィリアム・フォーサイスがフランクフルト市立バレエ団を失ったのはその表れである。コンテンポラリーダンスの前身のひとつ、ヌーヴェル・ダンスはフランス文化省の強力な文化政策によって生まれたが、90年代以降のダンスもまた文化政治、さらに世界システムの変化と無縁ではない。ヨーロッパに おけるフェスティバルの増加はそのあらわれとも言える。冷戦型文化政策が失効したあとの「ポスト・モダン」状況(ネグリ/ハート『帝国』)においてコンテンポラリーダンスはどのように変貌したのか考えてみたい。

「舞踏をめぐる言説について―舞踊批評からみた暗黒舞踏」 (講師:國吉和子)
暗黒舞踏登場の背景には、戦前からの日本の近代舞踊の流れがあるが、当時の舞踊批評家は舞踏をどのように受けとめたのだろうか。この類例のない表現の挑戦をうけて、彼等はどのような言説をもって対応したのだろうか。舞踏はこれまで文学的オマージュの中で語られることが多かったが、今回の講座では舞台批評を中心とした批評言語をとおして、舞踏初期にあたる1950年代後半から1960年代の舞踏作品とともに、戦後日本の舞踊批評について考えてみたい。

●Bコース:「1995年<以後>の演劇をどう考えるか」(講師:西堂行人)
  20世紀の歴史は、こと日本においては最後の最後で決定的な転換点を迎えた。1995年、関西地方を襲った阪神大震災、および東京の地下鉄サリン事件を契機として、それまで50年間続いてきた「戦後体制」が大きく揺さぶられたからである。舞台芸術もまた同様の「危機」に見舞われたのではないか。その引き金になった舞台を二つ挙げるとするならば、その一つはダムタイプの『S/N』である。亡き古橋悌二が最後に渾身の力を振り絞って発表した舞台であるとともに、その後の演劇と現実のアクチュアルな関係を示唆した。もう一つは、解体社の『TOKYO GHETTO』である。この舞台は世界各地で上演され、物議をかもし問題作となった。人間の身体の危機が問われ、と同時に日本の近代以降の社会や体制が根幹から問い直されたのがこの時期ではなかったか。表現と歴史の同時代的な関わりを、舞台芸術を通して考察しようとするのが、今回のレクチャーの主旨である。
※参考文献『演劇は可能か--1995年<以後>の劇的想像力』(晩成書房、2008)および『演出家の仕事3--八〇年代・小劇場演劇の展開』(れんが書房新社、近刊予定)

●Cコース:「現代演劇における『1968年』を読む」(講師:森山直人)
今年は「1968年」からちょうど40年目にあたる。他でもない私自身をはじめとして、政治や社会思想から芸術文化に至るまで、さまざまな領域にとっての大きな節目となったこの年代を、実体験として共有していない世代は確実に増えつつある。この講座では、ひとまずそうした前提をふまえ、日本の現代演劇におけるこの「時代」を、今日的な視点から、どのような世界的同時性において把握することが可能かを考察していく。その際、できる限り同時期の他の芸術ジャンルとの関係に留意しながら、「アヴァンギャルド」や「アンダーグラウンド」等の概念の射程の再検証を試みていきたい。

※受付は15分前より開始、お申込み後キャンセルの場合は必ずご連絡ください。
 
 
場所 7月30日 世田谷文化生活情報センターワークショップルームA(キャロットタワー4階)
それ以外 世田谷文化生活情報センターセミナールーム(キャロットタワー5階)
 
 
講師 貫成人(ぬき・しげと)
哲学、舞踊研究。舞踊学会常務理事。「日本ダンスフォーラム」ボード。専修大学文学部教授。『ダンス・マガジン』『照明家協会雑誌』などに舞踊批評を執筆。著書『真理の哲学』(ちくま新書)など、論文「‘コンテンポラリーダンス’という概念」『上演舞踊研究』、「舞踊装置:身体性・作品性・官能性」『講座文学』(岩波書店)など。

國吉和子(くによし・かずこ)
舞踊研究・評論。早稲田大学等、非常勤講師。舞踊学会理事。日本洋舞史研究会事務局。「舞姫の会」(土方巽研究)主宰。トヨタコレオグラフィーアワード審査員(2002~2004)。著書『夢の衣裳、記憶の壺――舞踊とモダニズム』。共著『日本洋舞史年表』Ⅰ~Ⅳ。編著に市川雅遺稿集『見ることの距離――ダンスの軌跡1962~1996』

西堂 行人(にしどう こうじん)
演劇評論家。近畿大学教員。国際演劇評論家協会(AICT)会長。日韓演劇交流センター副会長。最新刊に『演劇は可能か--1995年<以後>の劇的想像力』。他に『演劇思想の冒険』『ハイナー・ミュラーと世界演劇』『ドラマティストの肖像』 韓国演劇への旅』『現代演劇の条件』『劇的クロニクル』など。編著に『演出家の仕事--60年代・アングラ・演劇革命』『同3--80年代・小劇場演劇の展開』 がある。

森山直人(もりやま・なおと)
演劇批評家。京都造形芸術大学芸術学部舞台芸術学科准教授。同大学舞台芸術研究センター主任研究員。機関誌『舞台芸術』編集委員。主な論考に「過渡期としての舞台空間-小劇場演劇における「昭和30年代」」(『舞台芸術』連載)、「〈ドキュメンタリー〉が切り開く〈舞台〉」他。
 
 
参加費 A、B、Cコースとも各3,000円
A~Cコース全参加は8,000円
  ※参加費は、受講当日に会場にてご精算いただきます。
 
 
募集人数 20名 (先着順、定員になり次第終了)
 
 
締切り ※先着順に受付しておりますが、定員に達した場合は受付を終了しますので、予めご了承ください。
 
 
申込み方法 下記申込みフォームか、または劇場(03-5432-1526)までお申込みください。
 
 
お問合せ 世田谷パブリックシアター学芸 03-5432-1526
 
 
備考 [助成] アサヒビール芸術文化財団
 
 
受付は終了致しました。
ひとつ前のページへ戻る