ワークショップ・レクチャー

『地域社会と芸術』
パブリックシアターのためのアーツマネジメント講座2009

アートの力を、地域の活力に活かそうとするさまざまなプロジェクトが全国各地で実践されています。そうしたプロジェクトを推進されている方々をお招きし、活動例や考え方をお話していただく中で、芸術が社会と結びついていくための関係の在り方を検討していきます。また、プロジェクトがどのように地域の魅力ある拠点―オープンスペースを作り上げていっているのかも考えていきたいと思います。

 
 
日程 2009年
(1)10月20日(火) 19時~21時
第1回「創造性と他者との関係性」
講師:田野智子(NPOハート・アート・おかやま代表理事、アートリンクセンター岡山代表)

(2) 11月25日(水) 19時~21時
第2回「アートなまちづくり」
講師:仲原正治(横浜市役所職員)

(3)12月22日(火) 19時~21時
第3回「死と生を接続する場として:お寺のコミュニケーションデザイン」
講師:山口洋典(浄土宗應典院主幹・應典院寺町倶楽部事務局長)

(4)2010年1月14日(木) 19時~21時
第4回「混浴温泉世界とこれから 」
講師:山出淳也(NPO法人 BEPPU PROJECT 代表理事/アーティスト )

 
 
内容 (1) 第1回「創造性と他者との関係性」
アートを「世界観の拡大」と捉えると、アーティストは「概念を作る人」といえ、一方障害のある人は、生まれながらに我々を揺さぶる「概念」を持っている。常に新たな価値の創造を行うアートの現場が、広く地域社会と繋がることで、障害のある人や高齢者、子どもなど自由な表現を行う人を含めた地域のエンパワーメントが図られる。その価値の提案、普及活動こそが企画者及びアーティストの役割である。障害の有無や年齢や分野を超えた人々のそれぞれの真摯な日常をテーマに、彼らの密接な交流から生まれる新しい価値を、地域ごとの特色ある伝承文化との比較から見出そうと、さまざまなプロジェクトを展開しているが、それらのプロジェクトの一部を紹介していく。

(2) 第2回「アートなまちづくり」
日本は様々な課題を抱えているが、飢えることのない社会を実現している。そして、非成長の時代に求められるのは物資的ものよりも、教育、旅、芸術など、心の豊かさを作り出すものである。日常生活の中で非日常的な楽しみ提供すること、「アート」や「クリエイティブな動き」をいかに提供できるかが、都市の魅力要素となっている。なぜ、横浜で三十数年間「デザインやアートなまちづくり」を目指してきたか、そして、「クリエイティブシティ・ヨコハマ」は、どこに行こうとしているのか。いくつかの事例を通して、「まち」へ出て行くことの必要性と重要性を語る。

(3) 第3回「死と生を接続する場として:お寺のコミュニケーションデザイン」
超高層のオフィスビルやマンションが建ち並ぶ大阪ミナミの繁華街から徒歩10分にある下寺町界隈に、劇場仕様の本堂を要する寺院がある。350年の歴史をもつ應典院は、1997年に鉄とガラスとコンクリートで出来た現代建築と外観を変えたが、内外で展開されている各種プロジェクトは、むしろ温故知新によるお寺の原点回帰とも受け止められる。同寺の住職、秋田光彦師は、「芸術の究極の目標は死への恐怖を乗り越えることにある」と表現者たちに説く。なぜ、お寺でアートなのか、コミュニケーションデザインという観点から接近する。

(4)2009年4月~6月にかけて別府市全域を舞台に開催された、別府現代芸術フェスティバル2009 。混浴温泉世界の事業報告と、進行中のプロジェクトや今後の計画についてお話しします。地方の温泉地である別府市が、アート活動によってどのような変化が生まれつつあるのか具体的に紹介します。

 
 
場所 世田谷文化生活情報センター  セミナールーム(キャロットタワー5階)
 
 
講師 ≪プロフィール≫
(1)田野智子(たのともこ)
小学校教諭、岡山県吉備の里能力開発センターのシステム開発を経て、表現を通して個々の可能性と社会との接点を見出そうと、1999年にNPOの前身の団体を起こし、現在に至る。主に岡山県内の障害者施設や高齢者施設、就学前の子どもと親のクラブなどで創作活動を企画。讀賣プルデンシャル福祉文化賞奨励賞受賞。

(2)仲原正治(なかはらしょうじ)
福祉、横浜美術館、みなとみらい21などの仕事に従事し、現在クリエイティブシティ・ヨコハマの担当としてBankART、ZAIM、急な坂スタジオ等の支援を行っている。他に、赤煉瓦ネットワーク運営委員、スーパーピュア実行委員会(障害者等の展覧会)事務局長などNPO的活動を行っている。

(3) 山口洋典(やまぐちひろのり)
1975年静岡県磐田市出身。立命館大学・院で環境システム工学を学び、2000年より大学コンソーシアム京都に勤務し、産官学地域連携の企画・研究事業に従事。2006年4月より應典院の主幹に着任。「呼吸する、お寺」と銘打つお寺に務める僧侶として各事業を統括し、地域に開かれたお寺と社会との関係づくりを担う。

(4)山出淳也(やまいでじゅんや)
NPO法人 BEPPU PROJECT 代表理事/アーティスト。アーカスプログラムによるレジデンス(茨城県、1996-7)、ACCによる助成を受けNY、PS1でのインターナショナルスタジオプログラム参加(2000-1)。ポーラ美術振興財団の助成による欧州滞在(2002)。文化庁在外研修員としてパリに滞在(2002-2004)。帰国後、地域や多様な団体との連携による国際展開催を目指して、2005年にBEPPU PROJECTを立ち上げ現在にいたる。

 
 
参加費 各回1,500円
※受講初日に会場にてご精算いただきます。
 
 
募集人数 40名
※先着順に受付いたしておりますが、万が一定員に達してご参加いただけない場合はご連絡いたします。
 
 
申込み方法 以下申込みフォームか、または劇場(03-5432-1526)までお申込みください。
 
 
お問合せ 世田谷パブリックシアター学芸 03-5432-1526
 
 
備考 [助成] アサヒビール芸術文化財団
平成21年度文化庁アートマネジメント重点支援事業
 
 
受付は終了致しました。
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