ワークショップ・レクチャー

シリーズ講座『舞台芸術の現在』
パブリックシアターのためのアーツマネジメント講座2009

本講座は、舞台芸術の現在状況を振り返っていくシリーズ講座です。歴史的社会的背景を踏まえつつ、現在進行形の舞台芸術について概観し、舞台芸術の現在、そして今後を検討していきます。

 
 
日程 2009年
(1) Vol.1「管理国家とクリエイティビティ―シンガポールの現代演劇」
9月18日(金)19時~21時
講師:滝口健(シンガポール国立大学)

(2)Vol.2「グローバリゼーションの時代における演劇的抵抗と実践」
10月2日(金) 19時~21時
講師:鴻英良(演劇批評家)

(3)Vol.3「21世紀のフランス語圏演劇ー「演出家の時代」の終わり、ドラマの回帰?」
10月9日(金) 19時~21時
講師:横山義志(SPAC-静岡県舞台芸術センター)

(4)Vol.4「〈マルチメディア的〉アメリカ」
10月28日(水) 19時~21時
講師:内野儀(東京大学大学院総合文化研究科教授)

(5) Vol.5「加速する枠のゆらぎ~ドイツ語圏の演劇、21世紀初頭の展開」
11月12日(木)19時~21時
講師:萩原健(明治大学国際日本学部専任講師)

 
 
内容 (1) Vol.1「管理国家とクリエイティビティ―シンガポールの現代演劇」
「管理国家」、「警察国家」というネガティブな国家イメージから抜け出し、地域のクリエイティブ・ハブとしてのブランドを築き上げようとしているシンガポール。現代演劇は、そのための手段として重要な役割を期待され、さまざまな支援策が打ち出されている。政治と演劇とが分かちがたく結びつく中で、アーティストたちは何を考え、どのように活動しているのか。歴史的な経緯も踏まえながら、多民族の都市国家における現代演劇の現状を報告する。

(2)Vol.2「グローバリゼーションの時代における演劇的抵抗と実践」
ポーランドの演出家タデウシュ・カントールは、1990年、その死の直前に「マーケットのテロルはコミュニズムのテロルよりも悪質かもしれない」と語った。金融資本とネオリベラリズムの跳梁のなかで、その予言的言説は見事に的中し、世界はまさに瓦解過程の只中にあるが、そのようなときにアーティストはどのような戦略とともに世界に応答しながら、作品をつくりつつあるのだろうか。私はこのレクチャーで、その瓦礫のなかで展開されている幾つかの試みを紹介しつつ、芸術活動におけるエチカとは何かについて話そうと思う。

(3)Vol.3「21世紀のフランス語圏演劇ー「演出家の時代」の終わり、ドラマの回帰?」
近年のフランス語圏演劇を見ていると、20世紀に隆盛を迎えた「演出家の時代」に一つの区切りがつけられたように思われます。フランス古典劇の成立から20世紀まで足早にフランス演劇の歴史をたどり、世田谷パブリックシアターやSPACなどで見ることができた作品にも触れながら、最近フランス語圏で注目されている演劇人たちの活動を紹介してみたいと思います。

(4)Vol.4「〈マルチメディア的〉アメリカ」
伝統的な戯曲演劇/ミュージカル・シアターとパフォーマンス・アートという二極で展開するアメリカ現代演劇の地図をいったん離れ、グローバリーゼーション以降の社会環境への介入を試みているアメリカのパフォーマンス集団の活動をいくつか紹介する。取り上げる予定の集団は、プロジェクト中心主義のゴート・アイランドとクリティカル・アート・アンサンブル、マルチメディア・パフォーマンスのビルダーズ・アソシエーションとエレベーター・リペア・サービス等。できるだけ映像資料を参照する。

(5) Vol.5「加速する枠のゆらぎ~ドイツ語圏の演劇、21世紀初頭の展開」
まず導入として、ドイツ語圏の演劇がもつ歴史的・社会的な背景、制度面・制作面 での特徴、これまでの代表的な演劇人たちの仕事について、手短に概観します。そのあと、21世紀初めの現在、意欲的な活動を展開するドイツ語圏の劇場・劇団のレパートリー、座付き演出家・劇作家・俳優の仕事、またそうした枠組みの外に位置する、いわゆるフリーシーン、およびフェスティヴァルの動きについて、近年の来日公演を手がかりに、具体例を多くまじえながらお話しします。
 
 
場所 世田谷文化生活情報センター セミナールーム

 
 
講師 ≪プロフィール≫
(1) 滝口健(たきぐちけん)
シンガポール国立大学博士課程で日本と東南アジアの演劇交流を研究しつつ、劇団ネセサリー・ステージ(シンガポール)運営評議員、クアラルンプール・パフォーミングアーツセンター(マレーシア)国際プログラム開発担当コンサルタントとしても活動。元国際交流基金クアラルンプール日本文化センター副所長。

(2) 鴻英良(おおとりひでなが)
演劇批評家。著書に『二十世紀劇場ー歴史としての芸術と社会』(朝日新聞社)、野田秀樹との共著に『野田秀樹;赤鬼の挑戦』(青土社)、巻上公一との編著に『反響マシーン:リチャード・フォアマンの世界』(けい草書房)、翻訳に『イリヤ・カバコフ自伝ー60年代ー70年代、非公式の芸術』(みすず書房)、『タルコフスキー日記』(キネマ旬報社)など。

(3) 横山義志(よこやまよしじ)
SPAC-静岡県舞台芸術センター文芸部に所属、Shizuoka春の芸術祭などの運営に関わる。パリ第十大学演劇科で博士号を取得。専門はフランス演劇・演技理論史。『舞台芸術』、『未来』などで現代演劇に関する記事を執筆。

(4) 内野儀(うちのただし)
東京大学大学院総合文化研究科教授(パフォーマンス研究)。日米の現代演劇を主たる研究対象とする。著書に『メロドラマの逆襲』(1996)、『メロドラマからパフォーマンスへ』(2001)、『Crucible Bodies』(2009)、『舞台からの視座』上下巻(近刊予定)等。セゾン文化財団評議員。神奈川芸術文化財団理事。

(5) 萩原健(はぎわらけん)
明治大学国際日本学部専任講師。現代ドイツ演劇(演出の歴史)および関連する日本の演劇。ドイツ語戯曲の翻訳(『ノルウェイ.トゥデイ』)、またドイツ語圏からの来日公演の字幕翻訳・制作・操作および舞台通訳を手がける(『ノーラ』、『エミーリア・ガロッティ』、『カール・マルクス:資本論、第一巻』ほか)。
 
 
参加費 各回1,500円
※受講初日に会場にてご精算いただきます。
 
 
対象 30名
※先着順に受付いたしておりますが、万が一定員に達してご参加いただけない場合はご連絡いたします。
 
 
申込み方法 以下申込みフォームか、または劇場(03-5432-1526)までお申込みください。
 
 
お問合せ 世田谷パブリックシアター学芸 03-5432-1526
 
 
備考 [助成] アサヒビール芸術文化財団
平成21年度文化庁アートマネジメント重点支援事業
 
 
受付は終了致しました。
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