ワークショップ・レクチャー

『舞台芸術/史論Ⅲ』
パブリックシアターのためのアーツマネジメント講座2009

日本におけるコンテンポラリーダンス史や舞踏史、演劇史を、日本の社会体制の変化や思考の転換を紐解きつつ、現在的視点から再考していきます。
またさらに、現代日本の舞台芸術を歴史的視座からどのように捉え、どのように語りうるかを考えていきます。

 
 
日程 2009年
●Aコース:コンテンポラリーダンス&舞踏
(1) 「コンテンポラリーダンスという文化戦略」
8月11日(火)19時~21時 講師:貫成人

(2) 「現代舞踊の『1968年』考」
8月12日(水)19時~21時 講師:國吉和子

●Bコース:演劇
(1) 「1980年代の小劇場演劇を再考する」
8月6日(木)、7日(金)19時~21時 講師:西堂行人
※8月6日18時30分まで03-5432-1526にて申込受付します。


(2) 「〈演じること〉のアルケオロジー――現代口語演劇の彼方へ」
8月26日(水)、27日(木)19時~21時 講師:森山直人

 
 
内容 ●Aコース:コンテンポラリーダンス&舞踏
「コンテンポラリーダンスという文化戦略」(講師:貫成人)
冷戦終結後、世界各地に生まれたコンテンポラリーダンスは、フランス(「国立振付センター」「振付開発センター」)、ドイツ(タンツプラン)、イスラエル、リトアニアなどで国家的支援がなされている。日本においてもコンテンポラリーダンスの上演数は一定数を保っているが、確たる「戦略」は見えない。この状況と意味を検証する。

「現代舞踊の『1968年』考」(講師:國吉和子)
世界的に大きなパラダイムチェンジが起こった1968年、政治的にも文化的にも未曾有の事態にあって、暗黒舞踏の土方巽は『土方巽と日本人』と題した最後のソロ公演を行った。この年、日本の現代舞踊ではなにが起こっていたのか。あるいはなにが終焉したのか。これまであまりにも言及されることのなかった当時の現代舞踊を、暗黒舞踏と同時代の営為として検証したい。

●Bコース:演劇
「1980年代の小劇場演劇を再考する」(講師:西堂行人)
この講座では、「1960年代までの日本近代/現代演劇の流れ」(07)、「1995年<以後>の演劇の変容」(08)についてこれまで取り組んできた。今回はその間にある「1980年代」について考えてみたい。 80年代はこれまで「小劇場ブーム」など一過的な流行現象として捉えられることが多かった。なるほど、時代の好景気に乗って、そのように見られることにも理由のないことではなかった。だが、舞台の現場をつぶさに見ていけば、この80年代にもいくつもの層があり、特に86年以降のいわゆる「バブル経済」の以前と以後では、演劇の様相が決定的に変わったことも指摘できるのである。
そこで80年代を「若者演劇」の先頭を走った野田秀樹や鴻上尚史らと、他方で「沈黙劇」で前衛的・実験的な演劇を志向した太田省吾の幅で考えたい。
また1960年代以降の「アンダーグラウンド」と80年代に始まる「サブカルチャー」の相克も対比して考察する。
※参考文献:『続・演出家の仕事‐‐80年代・小劇場演劇の展開』(れんが書房新社、近刊予定)および『現代演劇の条件』『演劇は可能か』(晩成書房、2006、08)

「〈演じること〉のアルケオロジー――現代口語演劇の彼方へ」(講師:森山直人)
自分ではない、別の何者かになること――言葉にすれば、たったそれだけのことであるにもかかわらず、長い人類史上のなかで、「演技」という営みは、実に多様な幅と広がりを持ち得てきた。たとえ、〈自分自身〉を演じるドキュメンタリー性の高い演劇であっても、一度観客の前に立てば、そこには確実に日常生活とは違うフィクションの論理が動き始める。この講座では、1990年代以降、日本の現代演劇における「現代口語演劇」とその周辺がもたらした一定の変化と成果を踏まえつつ、あらためて、〈演じること〉がどんな営為であり、どんな可能性を持ちうるのかを、演劇人類学的な知見からブレヒトの方法論まで参照しながら、もう一度考えなおしてみたい。
※『人間ピラミッド』(ジャン・ルーシュ監督、1961年)という映画があります。もしも近くのビデオ屋などで借りることができそうだったら見ておいてください。講座でもきちんと紹介しますので、無理に購入していただく必要はありません。

※受付は15分前より開始。お申し込み後のキャンセルの場合は必ずご連絡ください
 
 
場所 世田谷文化生活情報センター セミナールーム(キャロットタワー5階)
 
 
講師 《プロフィール》
●貫 成人(ぬき しげと)
哲学、舞踊研究。舞踊学会常務理事。「日本ダンスフォーラム」ボード。専修大学文学部教授。『ダンス・マガジン』『照明家協会雑誌』などに舞踊批評を執筆。著書『真理の哲学』(ちくま新書)など、論文「‘コンテンポラリーダンス’という概念」『上演舞踊研究』、「舞踊装置:身体性・作品性・官能性」『講座文学』(岩波書店)など。

●國吉 和子(くによし かずこ)
舞踊研究・評論。多摩美術大学客員教授。早稲田大学等、非常勤講師。舞踊学会理事。日本洋舞史研究会事務局。「舞姫の会」(土方巽研究)主宰。トヨタコレオグラフィーアワード審査員(2002~2004)。著書『夢の衣裳、記憶の壺――舞踊とモダニズム』。共著『日本洋舞史年表』Ⅰ~Ⅵ。編著に市川雅遺稿集『見ることの距離――ダンスの軌跡1962~1996』

●西堂 行人(にしどう こうじん)
演劇評論家。近畿大学教員。国際演劇評論家協会(AICT)日本センター会長。日韓演劇交流センター副会長。最新刊に編著『続・演出家の仕事――80年代・小劇場演劇の展開』。他に『演劇思想の冒険』『ハイナー・ミュラーと世界演劇』『ドラマティストの肖像』『韓国演劇への旅』『現代演劇の条件』『劇的クロニクル』『演劇は可能か――1995年<以後>の劇的想像力』など。編著に『演出家の仕事――60年代・アングラ・演劇革命』

●森山 直人(もりやま なおと)
1968年生まれ。演劇批評家。京都造形芸術大学芸術学部舞台芸術学科准教授、舞台芸術研究センター主任研究員。主な論考に「過渡期としての舞台空間――小劇場演劇における「昭和30年代」」(『舞台芸術』連載)他。

 
 
参加費 Aコース3000円
Bコース(1)3000円 (2)3000円
※参加費は、受講当日に会場にてご精算いただきます。
 
 
募集人数 30名(先着順、定員になり次第終了)
 
 
締切り 先着順に受付しておりますが、定員に達した場合は受付を終了しますので、予めご了承ください。
 
 
申込み方法 以下申込みフォームか、または劇場(03-5432-1526)までお申し込みください。
 
 
お問合せ 世田谷パブリックシアター学芸 03-5432-1526
 
 
備考 [助成] アサヒビール芸術文化財団
平成21年度文化庁アートマネジメント重点支援事業
 
 
受付は終了致しました。
ひとつ前のページへ戻る