ワークショップ・レクチャー

『公共圏としての劇場―劇場空間の可能性』
世田谷パブリックシアターレクチャー2007

 
 
日程 2007年
(1)10月8日(月・祝) 14時~16時 佐伯隆幸
    『「公共の演劇」への導線いくつか──「民衆演劇」の歴史、共同体、あるいは、
   公共圏、差異と同一性。日本と主にフランスの場合を引き較べながら』
(2)10月26日(金) 19時~21時 齋藤純一
   『「現われの空間」としての公共圏』
(3)11月16日(金) 19時~21時 谷川道子
   『〈演劇王国〉ドイツの公共劇場制度―その歴史と現在』
(4)12月5日(水) 19時~21時 八角聡仁
   『劇場のコスモロジーとその〈外部〉』
(5)12月12日(水) 19時~21時 松井憲太郎
   『演劇の内と外にある(社会)』
※《各講座の内容》についての詳細は下記備考欄をご参照ください
※受付は15分前より開始、お申込み後キャンセルの場合は必ずご連絡ください。    
 
 
場所 世田谷文化生活情報センター セミナールーム(キャロットタワー5階)
 
 
講師 [プロフィール]
佐伯隆幸(さえき・りゅうこう)
演劇評論家、学習院大学教授。専門はフランス演劇のなかでも近代以降のフランス演劇史。批評家としては、アングラ期以来の日本の現代演劇の動向を追う。

齋藤純一(さいとう・じゅんいち)
早稲田大学政治経済学術院教授。政治理論/政治思想史専攻。自由、公共性、セキュリティなど政治学の鍵概念の再検討を研究テーマとしている。

谷川道子(たにがわ・みちこ)
東京外国語大学教授。専門はドイツ演劇、なかでもブレヒトやハイナー・ミュラー、ピナ・バウシュを中心としたドイツ語圏現代演劇・表象文化論。また、その日本の現代演劇への影響関係にも関心を持つ。

八角聡仁(やすみ・あきひと)
批評家、京都造形芸術大学舞台芸術研究センター教授。演劇、ダンス、写真、映画、文学などの分野で広く執筆するかたわら、編集・出版や公演の企画などにも数多く携わる。

松井憲太郎(まつい・けんたろう)
世田谷パブリックシアタープログラムディレクター、演劇批評家。公演及び学芸プログラムの企画立案を統括する。
 
 
参加費 各回1,500円
5回7,000円
※参加費は、受講当日に会場にてご清算いただきます
 
 
募集人数 各回25名 (先着順、定員になり次第受付終了)
 
 
締切り ※先着順に受付しておりますが、定員に達した場合は受付を終了しますので、予めご了承ください。
 
 
申込み方法 下記申込みフォームか、または劇場(03-5432-1526)までお申込みください。
 
 
お問合せ 世田谷パブリックシアター学芸 03-5432-1526
 
 
備考 《各講座の内容》
(1)10月8日(月・祝)佐伯隆幸…括弧つきではあれ、「公共劇場」と呼ばれるものがこの国でスタートして約十年が経 た。その間、さまざまに厖大な試行はあったものの、「パブリックな表現に関わる/ による新らたな関係の場の構築」という演劇の「かたち」はいぜん不鮮明であり、その将来的方向も創造者・観客相互に必ずしも共有的な土台上でみいだされているわけではない。「公共」が関与する演劇の成立空間の生成装置という、一見自明な到達点がみえ、そのための機構があるかのごとく映りながら、実際は日々の営みも基本となる思考の枠組も辿るべき経路もなにひとつあらかじめ確定されているわけではない、恐ろしく困難な道筋、それにわたしたちはようやく気づきはじめたばかりだという程度だろう。他方で、公共劇場なるものそのものが新しい関係性の「創造 =行為」なのだという軸さえ失念気味の現況もなくはない。こういう現在時を踏まえ、いまなにが考えられるか、どのような布置図を「公共の演劇」の基層や周辺にみさだめるべきなのかという問題構成を、場合によってはヨーロッパ演劇の実例を使っていくつかの補助線を引きつつ、もう一度更地から組み立ててみたい。演劇は演劇に留まらず、世界全体を前提し、内包するのだということをいかにしてわたしたちは呼吸法とするかを現代(演劇)批評の位相から再び考究する企て=行為である。

(2)10月26日(金)齋藤純一…公共圏は人と人との<間>に成立する意見形成・意思形成の空間です。そこでは、互いの異なったパースペクィヴが交換され、世界にさまざまな角度から光が当てられます。この講演では、人々がその言葉や行為において互いに出会う「現われの空間」としての公共圏のもつ意味を明らかにするとともに、具体的な他者との間身体的な関係性である親密圏と公共圏がどのような関係にあるかについても考えてみたいと思います。

(3)11月16日(金)谷川道子…2005年の「日本におけるドイツ年」を契機にドイツから今が旬の舞台がたくさん来日し、「ドイツ現代戯曲選30」なるシリーズも刊行されて、ドイツ演劇の独特な相貌に気づかれた方も多いかと思います。それを支えているのがドイツの公共劇場制度であり、またそれを生み出したドイツ独特の歴史でもあります。その独自性を浮かび上がらせられればと思っています。

(4)12月5日(水)八角聡仁…舞台芸術の公共性をめぐる今日的な問いを、ソフトウェアとしての作品とハードウェアとしての劇場の関係から歴史的に捉えなおし、劇場の内側(舞台/客席)と外側(社会)における視線と空間の構造を読み解いていきます。かつて「世界」を表象する装置であった劇場が、「複製技術の時代」にどんな社会的機能を持ちうるのか。映像資料等を用いて古今東西の事例を参照しながら、なるべく身近な問題を通して考えます。

(5)12月12日(水)松井憲太郎…日本の近現代の劇作家が描いた市民像や共同体のありようを振り返ることをつうじ て、社会と演劇のあいだに、演劇人がどのような関係作りを構想したのかを考えてみます。さらに、そのような演劇の歴史の連続のなかにいまの公共劇場の活動があると位置づけた場合に、そこではなにが新たに生まれ、なにが実現されないままなのかを検証してみたいと思います。

[助成] アサヒビール芸術文化財団
 
 
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