公演情報

『ピランデッロのヘンリー四世』

公演期間
2009年02月12日(木)~2009年03月01日(日)
劇場
シアタートラム
チケット前売り開始日
一般 : 2009年01月10日(土)~
友の会会員先行予約 : 2008年12月23日(火)~
せたがやアーツカード会員先行予約 : 2008年12月27日(土)~
チラシ画像
画像/『ピランデッロのヘンリー四世』串田和美         秋山菜津子      白井晃 撮影=二石友希

07年の『ヒステリア』、今年2月の『ジャックとその主人』に続く、串田和美×白井晃作品の第3弾。演出家、俳優としても活躍する二人が今回おおくりするのは、イタリアのノーベル文学賞作家ルイジ・ピランデッロ原作の『ヘンリー四世』です。イタリアに住む一人の貴族が、落馬事故を起こし、自らを中世ドイツの皇帝ヘンリー四世だと思い込む。20年の時が過ぎ、男がかつて愛した恋人や医者が正気に戻そうと試みるが…。

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演出の白井晃さんよりメッセージが届きました。

串田和美氏と組んだこの企画も、今年で三回目を迎えます。
2007年の『ヒステリア』、2008年の『ジャックとその主人』、そして今年が、『ピランデッロのヘンリー四世』となります。一年ごとに演出を交代しながら、今回は私が演出いたします。
ともに演出家であり俳優でもある身。演出する時は必ず自分も俳優としても出演すると言うのを約束にしてきました。それはお互いがかつて劇団を主宰し、同じ立場でやってきただけに理解し合えるからです。
氏と私の出会いはもう20年近く前になります。渋谷に出来た「シアターコクーン」の芸術監督になられた串田氏から、何か一緒に出来たらとお誘い頂いたのが最初でした。しかし当時はお互い劇団のスケジュールを抱えた身。うまくスケジュールが合わないまま話は立ち消えになっていました。
それが2006年、串田氏出演の作品の演出をというお話を頂き、ならば一回だけで終わるのではなく少なくとも三年続けてみようと言うことから、この『串田×白井』プロジェクトが始まりました。

私にとって「オンシアター自由劇場」を主宰する串田和美氏や同世代の方々は、演劇の世界に入るきっかけになった人たちです。「黒テント」の佐藤信氏、「状況劇場」の唐十郎氏、「早稲田小劇場」の鈴木忠志氏、「天井桟敷」の寺山修司氏、「転形劇場」の太田省吾氏。既成の演劇の枠組みを取り払い、小劇場、テント、廃墟など劇場を飛び出しての演劇作品には度肝を抜かれ、私は演劇の虜になりました。
それから30年余の時間の流れの中で、その世代を受け継いだ私たち世代の演劇人は、確かに演劇をよりポピュラーなものとし多くの観客を獲得してきました。劇場は増え、演劇を見る機会も増え、演劇が商業のラインに乗せられるようにもなりました。それはそれで、確かに喜ばしいことかも知れません。
しかしながら、私たちが生きる世界を凝縮し、その中に生きる自分を見つめ直すというような芸術性や、時代を映す鏡としての演劇の力をどこか見失ってしまったようにも思えるのです。
そこで、「現代演劇の再生」と言う、少々大上段に構えたテーマを敢えて標榜することでこのプロジェクトの持つ意味を考えようと思ったのです。

さて、今回の『ピランデッロのヘンリー四世』ですが、1922年にイタリアのノーベル文学賞作家、ルイージ・ピランデッロの書いた『エンリコ四世』をイギリス演劇界の気鋭トム・ストッパード(「恋に落ちたシェイクスピア」の脚本でも有名)が新たに英訳しコンパクトにまとめ上げた戯曲です。
仮装パーティで馬から落ちて気がふれて、それ以来二十年、その時の衣装のまま自分がヘンリー四世だと思い込んで生活している人物の物語。そこにかつての恋人と友人たちが現れて、現実と虚構が入り乱れ始めます。
と言うわけで、シェイクスピアの「ヘンリー四世」と言う歴史劇とは全く関係のない現代劇です。

私は、元々『作者を探す六人の登場人物』などピランデッロ作品の持つメタシアトリカルな劇世界に大変興味がありました。それは、劇世界の中にさらにもう一つ劇世界が入り込んでいる二重構造を持つ演劇です。
今回の作品では、それは狂気のヘンリー四世が思い込んでいる世界が虚構であり、そこに現れる元の恋人や友人の世界が現実として表されます。しかしながら、果たして、どちらが狂気でどちらが正気であるのか?どちらが虚構でどちらが現実なのか?そのことが我々に強く突きつけられるのです。
「人は自分の都合のいいように世界を見る。」
ピランデッロが常に作品の中に込める大きな観念です。自分が見ているものが現実であり、他者が見ているものは虚像である、人は常にそのように世界を見るものです。果たして真実と言うものは存在するのか?この作品からそのような思いが浮かび上がってきます。

今回の作品には、千葉哲也氏、秋山菜津子氏と言った私が敬愛する俳優が参加してくれました。串田氏とともに作るこの世界がより確かな俳優たちと創作することで、大きな世界が生まれるのではと期待しています。
87年前に書かれたこの戯曲は、全く色褪せずに現代を照らします。
情報が渦巻く中、我々は自分の見たい情報だけを選択し触れようとします。そして否応なく自分の世界に益々はまり込んでいます。これは他者から見たとき狂気といっても過言ではなく、私たちひとりひとりがより「ヘンリー四世」化していると言ってよいかもしれません。

この作品と向き合うにあたって、このような思いに日々浸っています。
是非、この虚実入り交じった世界を共有していただければと願っています。
2009年2月
 白井 晃

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劇場ツアー開催情報
「世田谷パブリックシアター上演作品レクチャー2009 Feb-Mar」情報

[作] ルイージ・ピランデッロ
[演出・出演] 白井晃

[出演] 串田和美/秋山菜津子/千葉哲也/長谷部瞳/中山夢歩/櫻井章喜/反田孝幸/大林洋平/佐藤卓/池田六之助

公演日程

2009年2月

日 月 火 水 木 金 土
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12
19:00
13
19:00
14
14:00
15
14:00
16
休演
17
19:00◎
18
14:00
19
19:00◎
20
19:00
21
14:00
22
14:00■
23
休演
24
19:00
25
14:00
26
19:00
27
19:00
28
14:00

2009年3月

日 月 火 水 木 金 土
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14:00
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※上演時間は約1時間45分(休憩なし)予定。
※当日券は開演の45分前より、劇場ロビーにて販売。
◎=ポストトークあり
※ポストトーク出演者は、当日劇場にて発表します。
■=視覚障害者のための舞台説明会あり
※未就学児童はご入場いただけません。また、開演後は本来のお席にご案内できない場合がございま す。予めご了承ください。

料金

全席指定
一般5,000円

TSSS2,500円

友の会会員割引 4,500円

せたがやアーツカード会員割引 4,700円

チケット取扱い

劇場チケットセンター 03-5432-1515
パソコン(要事前登録)
チケット購入・予約の方はこちら

携帯:http://setagaya-pt.jp/m/

会員登録・入会申込の方はこちら
TSSS
(TOYOTA Student Support at SePT)
(要事前登録。24時間受付)
電子チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:390-980)
http://pia.jp/t/
イープラス http://eplus.jp/
ローソンチケット 0570-000-407(オペレーター)
0570-084-003(Lコード:33401)
http://l-tike.com/
TICKETS@TOKYO(当日券チケット予約販売) TICKETS@TOKYO
(要事前登録。前日18時より受付)
世田谷区民割引は劇場チケットセンター(Tel&店頭)で前売のみの取扱いとなります。世田谷区在住の方は、事前に「せたがやアーツカード」にお申込みいただくと世田谷区民割引がオンラインでご購入いただけるようになりました。「せたがやアーツカード」の詳細はこちらから

観劇サポート

車椅子スペース
 

世田谷パブリックシアター、シアタートラムとも車椅子のままご観劇いただける車椅子スペースがございます。定員に限りがございますので、ご利用にあたり予約が必要です。

【料金】:該当エリアチケット料金の10%割引【付添者は1名まで無料】
【申込】:03-5432-1515 劇場チケットセンター

ご利用希望日の前日の19時まで受付けますが、定員になり次第締め切らせていただきます。お早めにご予約ください。また、お座席でご観劇になる場合も、スムーズにお席にご案内させていただきますので、予め劇場までご連絡ください。

託児サービス
 

世田谷パブリックシアター、シアタートラムで行われる、前売入場券を販売する公演では基本的に託児サービスがございます。

【料金】:2,000円(1名につき)
【対象】:生後6ヶ月以上9歳未満
【申込】:03-5432-1526 世田谷パブリックシアター

ご利用希望日の3日前の正午まで受付けますが、定員になり次第締め切らせて頂きます。お早めにご予約ください。また、障害のあるお子様についてはご相談ください。

委託:キッズルーム・てぃんかぁべる三茶

お問合せ

劇場チケットセンター 03-5432-1515

[主催]
財団法人せたがや文化財団
[助成]
財団法人地域創造
[企画・制作]
まつもと市民芸術館
[協力]
東京急行電鉄/東急ホテルズ/渋谷エクセルホテル東急
[後援]
世田谷区
平成20年度文化庁芸術創造活動重点支援事業